中国のGPS機能付き携帯電話機-2011年に10倍以上に拡大?-
(2007/07/10 日経エレクトロニクス)
米iSuppliは,中国の消費者の間でナビゲーションサービスに対する需要が高まっており,ナビゲーションサービスが今後,ARPU(1契約当たりの月間平均収入)の下落を抑える重要なサービスになると携帯電話事業者が見込んでいるとレポートした。中国における07年のGPS機能付き携帯電話機の出荷台数は140万台。iSuppliは,GPS機能付き携帯電話機の平均販売価格(ASP)の下落によって,中国市場のGPS機能付き携帯電話機の出荷台数は2011年に2007年比10倍以上の1650万台に達すると予測する。
中国の通信事業者であるChina MobileとChina Unicomはどちらとも,07年からナビゲーションサービスを開始した。現在のナビゲーションサービスの1ヶ月当たりの料金は, 5Mバイトの回線容量で2.50米ドル。
簡易型ナビゲーション機器のPNDと異なり,GPS機能付き携帯電話機は無線通信によって地図データを受信する。したがって,地図データを端末内部に組み込む必要がなく,ナビゲーション・ソフトウエアのみ搭載すればよい。オプションでGPS機能付き携帯電話機に完全な地図データをインストールすることもできる。iSuppliによると,中国市場における地図データの主要メーカーは北京に拠点を置くLingtu SoftwareTechnologyや深センに拠点を置くCareland Information System,北京に拠点を置くGuantu Information Technologyの3社。
iSuppliは,GPS機能付き携帯電話機の普及に最も大きな障壁となっているのは高額な販売価格と分析する。GPS機能は06年末において,主に700米ドル以上するスマートフォンの上位機種に搭載されていた。
06年にGPS機能付き携帯電話機を販売したメーカーは,「Mio A701」を販売した台湾MiTACや「P800」を販売した中国Dopodなどである。
国内のOEMメーカーも,積極的に市場に参入している。例えば中国Amoi Electronics は07年2月に,GPS機能搭載の「E860」を発売した。この機種は米SiRF Technology製のGPS対応チップセットや米Intel製のアプリケーション・プロセッサ,Lingtu Software TechnologyのGPS向けソフトウエアを搭載する。OSは米Microsoftの「Windows Mobile 5.0」。E860の販売価格は450米ドルで,この手ごろな価格によって,5月に最も売れたGPS機能付き携帯電話機となった。また,中国の携帯電話機メーカーは,GPS機能を携帯電話の上位機種に搭載しようとしている。これらの端末はGPSモジュールとマルチメディア・プロセッサを内蔵するが,アプリケーション・プロセッサとOSを除けば,250米ドルの販売価格も可能だとiSuppliはいう。
iSuppliは,GPS機能付き携帯電話機の出荷台数の増加によって,GPS対応チップセットやマルチメディア・プロセッサといったICの需要が増加すると予測する。そして,GPSチップセットの価格は台湾のファブレス・メーカーの参入による競争激化に伴い,08年前半に急速に下落すると見込む。また,台湾や韓国,中国のマルチメディア・プロセッサ・メーカーの競合によって,GPS機能付き携帯電話機のコストは,07年に下がり続ける見通しという。
NTTドコモ-「15階以上」が圏外?超小型基地局を提供へ-
(2007/07/11 毎日新聞)
マンションの高層化が進み、携帯電話会社が頭を悩ませている。高層階は電波が混線しやすく、15階以上ではつながりにくいことが多いからだ。NTTドコモは10日、マンションの自宅に設置できる超小型基地局の提供を今秋から始めると発表した。ソフトバンクモバイルも来年度から同じシステムの実用化を目指している。ただ、この基地局は「設置費用が数十万円かかる」(NTTドコモ)とみられ、利用者にどの程度負担してもらうかは未定。
携帯電話向けの電波を発信する屋外基地局のアンテナは下向きがほとんどで、高層階では電波は弱くなる。高層階は微弱電波も飛び交い、混線を招きやすく、高層階は「携帯の弱点」(NTTドコモ)という。高層階に住んで初めて、携帯がつながらないことに気付く人もいるという。高層階でつながりにくいという苦情は毎月30~40件ほどNTTドコモに寄せられている。
高層階に電波が届くアンテナを備えたシステムもあるが、数千万円程度かかるため、商業施設やオフィスビルの一部にしか導入されていない。NTTドコモとソフトバンクは、超小型基地局を活用して高層階や地下の通話エリアを拡大し、個人への提供も行う予定。
マンションの場合、1戸につき超小型基地局が1台ずつ必要となる可能性が高い。NTTドコモは、利用者に設置料金の一部を負担してもらう方針だが、負担割合は未定。NTTドコモ内には「利用者が限定されているため、個人の負担は高額にならざるを得ない」との声も出ている。
レノボ-WIN対応通信モジュール内蔵のモバイルノートパソコン-
(2007/07/11 日経)
レノボは10日、CDMA 1X WIN対応通信モジュールを内蔵したモバイルノートパソコン「シンクパッドX61/X61s」を、11日に発売すると発表した。KDDIが提供する通信モジュール「KCMP」(京セラ製)を本体に内蔵しており、下りで最高2.4Mbpsのインターネット接続が行える。
ベースとなっているのはシンクパッドX61/X61s。最新のセントリーノプロプラットフォームに対応したモバイルノートで、12.1型液晶ディスプレーやデュアルコアタイプのCPUを搭載する。これにKCMPを追加している。
KCMPは、PCIエクスプレスミニカードスロット経由で接続する通信カード。OTA(Over The Air)機能を搭載しており、加入者データの通信端末への書き込み処理(利用開始・解約処理)を、auの無線通信ネットワーク経由で行える。外付けの通信カードと比べると、KCMPではパソコン内蔵のアンテナを利用するため、通信感度の面で有利という。
この通信モジュールを利用するにはKDDIの「パケットWINシングルサービス」を契約する必要がある。ウィルコムやイー・モバイルのような完全定額制プランではなく、無料利用分を超えた分は従量制となる。
全日本空輸-07年内に紙の航空券を廃止-
(2007/07/10 Itmedia)
全日本空輸(ANA)は、07年中に国内線において従来の航空券を廃止し、非接触IC「FeliCa」もしくは「QRコード」を用いた搭乗サービス「スキップ(SKIP)サービス」に全面移行すると明かした。9月4日から愛媛県松山空港にて移行トライアルが始まり、10月以降、国内線全空港に順次拡大する模様。
SKIPサービスは、06年9月からANAが導入したチェックイン不要の搭乗サービス。従来からある紙の航空券の代わりに、FeliCaを搭載したANAのマイレージ会員証「ANAマイレージカード」や「ANAカード」、ANAマイレージクラブのICアプリを導入した「おサイフケータイ」、携帯電話画面への表示や紙にプリントした「QRコード」などを使う。このサービスを利用すれば、座席の予約から保安検査場の通過、搭乗まですべて“チケットレス”になる。
現在、保安検査室(持ち物X線検査)にSKIPサービス用の読み取り機が設置されている。また、搭乗口のの自動改札には、SKIPサービス用の読み取り機のほかに、航空券の挿入口がある。今後は、SKIPサービス利用のみの改札機が導入される模様。ANAではSKIPサービスの利用促進に力を入れており、羽田空港など主要空港ではSKIP利用者専用の保安検査ブースが用意されている。また、今年に入ってから
は、新型キオスク端末「ANA SKY KIOSK」でビジネスユーザーからの要望が多かった領収書発行機能が用意された。
しかしその一方で、SKIPサービスの認知度不足や従来型航空券の利用が根付いていることがハードルになり、その利用者は「月間利用率で搭乗客全体の10~20%程度」(全日本空輸広報室)なのが現状。ANAは従来型の航空券を廃止し、国内線の搭乗方法をSKIPサービスに全面移行することで、同サービスの利用促進と導入効果の拡大を図りたい考え。
「SKIPサービスではチケットの予約購入から搭乗までの手続きが簡略化され、スムーズにご搭乗いただけます。また、チェックインが不要で、予約変更手続きなどが簡単かつ迅速にできるなどのメリットがあります。SKIPサービスに全面移行すれば、空港での様々な手続きや搭乗までにかかる時間が短縮され、定時運行にも貢献します。これらは結果的に、お客様の利便性向上に繋がると考えています」(広報室)
ANAマイレージクラブの会員がSKIPサービスを利用する場合、予約・購入時の会員番号が購入情報になる。搭乗に当たっては、手持ちの「ANAマイレージカード」かクレジット機能付きの「ANAカード」、もしくはAMCアプリを導入した「おサイフケータイ」が航空券の代わりになる。ANAマイレージクラブの会員でない場合は、QRコードが印刷された「ご利用案内書」やPCでプリントした「予約書」、携帯電話画面へのQRコード表示をかざせば、SKIPサービスが利用できる
SKIPサービスへの全面移行は、松山空港から開始する 確かに搭乗方法がすべてSKIPサービスに統一されれば、FeliCaやQRコードのシステムを使う“スピード向上”のメリットを最大限に引き出すことができる。
また、松山空港から新たに導入される搭乗改札機は、FeliCaとQRコードの読み取り部しかないため、中にチケットを通すための駆動部が必要ない。改札機で最も故障が発生しやすいのは、チケットを通すための駆動部分。“非接触”への完全移行は、鉄道の改札機と同様に、機器メンテナンスコスト削減のメリットが見込める。
なお、今回の全面移行のトライアルで松山空港を選んだ理由としてANAでは、「東名阪の主要空港からの就航がまんべんなくあり、ビジネス客と観光客の両方にお使いいただいている空港なので(トライアルとして)最適だった」からだとしている。
SKIPサービスはFeliCaとQRコードという携帯電話でも馴染み深い技術を使っており、携帯やPC向けネットサービスとの連携も綿密に図られている。最新のテクノロジーを迅速に普及させ、利用者の利便性向上にどう結びつけるか。ANAの「SKIPサービス全面移行」は、公共交通におけるサービスの高度化と、携帯電話・ネット連携の取り組みの先行事例として、注目のトピックスになりそうだ。
現代自動車-ダイムラーベンツに小型エンジンを供給へ-
(韓国 2007/07/11 NNA)
現代自動車が年内にも独ダイムラー・ベンツにディーゼルを中心に3種のエンジンを供給することが分かった。近く契約を結ぶ予定で、今年は2万~3万台の輸出を予定している。国産車の初生産から52年の歴史を持つ韓国自動車界が、独自に開発したエンジンを輸出するのは初めて。10日付中央日報が報じた。
輸出されるエンジンはガソリンの2000ccとディーゼルの1600ccと2000cc。ガソリンは「ソナタ」に搭載されているもので、ディーゼルは1600ccが「アバンテ」に、2000ccは「ソナタ」と「サンタフェ」に使用されているものと同じという。うちディーゼルは欧州の排気ガス規制基準「ユーロ4」をクリアしている。
昨年、エンジンの輸出を打診してきたダイムラーは、半製品の状態でエンジンを輸入し、コンプレッサー装置を装着して組み立てる予定。既に現代自のエンジンを積んだ車両のテスト走行を終えている。ディーゼルエンジンのうち1600ccは最大出力が117馬力、2000ccは同151馬力で、同じ排気量の欧州メーカーの車両と比較しても、見劣りしないという。
現代自動車の関係者は「近く正式に契約する予定で、今年は2万~3万台を輸出する。来年以降は10万台以上になるだろう」と話す。
現代自動車は01年から3000億ウォンを投入し、ディーゼルエンジンの開発に本格的に取り組んできた。
05年にディーゼル乗用車の国内販売が許可され、年産規模は50万~60万台に増えた。しかし、その後は販売が落ち込んだ。現在のディーゼル車の販売比率は全体の10%以下にとどまっており、突破口を模索していた。
そんな中、ディーゼルと中型以下のガソリンエンジン技術を持たないダイムラー・ベンツが現代自動車の技術を高く評価し、2000cc以下のエンジン供給業者になることをオファーした。
現代自動車は02年にダイムラー・クライスラー、三菱自動車とともにガソリンエンジンの合弁会社を設立。
エンジンの設計・開発を担当し、両社から5700万米ドルを受け取ったが、輸出は初めて。韓国自動車業界にとっても、1955年に国産乗用車「始発」の生産を始めて以来、初めて独自エンジンを輸出することになる。
東芝ライテック-電球形蛍光ランプが寿命時に破損の恐れ・約470万個-
(2007/07/11 日経・朝日新聞)
東芝ライテックは10日、電球形蛍光ランプが寿命で切れた際にガラスカバーが外れ落下・破損する事故が発生したため、対象製品を無料交換すると発表した。同社が確認した事例は4件で、けが人は出ていないという。
対象となるランプの合計出荷数は470万7000個。東芝ライテックが01年3月~06年6月に製造した。同社は他社にも製品を供給しており、東芝ブランド以外に、日立、三洋、NECブランドの製品がある。そのうち東芝ブランドでの販売は450万1000個。
ランプ内部の電流を安定させるインバーター回路の故障により、ランプ内の気圧が高まりガラスカバーが外れたという。同社によると、今も取り付けられていると考えられる対象ランプは約180万~190万個だという。
松下電器-リコール中の電子レンジで火災事故発生-
(2007/07/11 日経エレクトロニクス)
松下電器産業が07年5月31日から無償部品交換(リコール)の対象としている電子レンジで,リコール表明後に火災事故が起きていたことが同年7月10日分かった。事故発生機種は「NE-AC60」。同機種ではこれまで4件の火災事故が起きている。今回の事故原因は,同社がリコール発表時に説明したものとほぼ同じ。だが,対象製品の把握率は「古い製品」ということもあって6.4%(同月7日時点)と低い。
事故は,兵庫県で6月29日に起きた。本体下部より出火し,発煙・発火に至ったという。松下電器産業は,改正消費生活用製品安全法(消安法,同年5月14日施行)に基づき同年7月6日に管轄官庁の経済産業省に届け出ており,経産省が同月10日に公表した。
事故原因は,制御基板のダイオードブリッジの素子と電極を結合しているはんだに亀裂(クラック)が発生し,このクラックによるスパークが素子を溶かして飛散させることで,素子近くにある難燃グレードが低い樹脂製ドアフックに引火するというものだ。製品背面の吸気口にホコリが堆積した場合,製品内部の冷却性能が低下するため,こうした現象が起きやすくなる。
松下電器産業製の電子レンジでは,同じ原因による火災事故が既に9件,NE-AC60に限っても既に4件起きていた。そのため同社は,冷蔵庫や衣類乾燥機と同時に07年5月31日にリコールを発表していた。
電子レンジのリコール対象は12機種/193万1740万台である。しかし,同年7月7日時点で同社が把握している割合(対象製品把握率)は6.4%(約12万3600台)にとどまる。これは,リコール対象が1988年12月~1993年12月に造られた「古い製品」であることが大きい。