日立製作所-厚さ35mm・世界最薄の液晶テレビを年内に発売へ-
(2007/10/24 Itmedia・日経・産経新聞・朝日新聞)
日立製作所は23日、モニター部の厚さが35mmと世界最薄の液晶テレビ「Wooo UTシリーズ」を12月中旬から順次発売すると発表した。薄型のモニターとチューナーユニットを分離することで、壁掛けにするなど自由に設置できるとしている。
42V型(1920×1080ピクセル、08年4月上旬発売)、37V型(同、08年2月上旬発売)、32V型(1366×768ピクセル、12月中旬発売)の3機種。オープン価格で、実売予想価格は42V型が43万円前後、37V型が33万円前後、32V型が23万円前後。
レイアウトフリーをコンセプトに、モニター部とチューナー部「Woooステーション」を分離する設計を採用。薄型IPS液晶パネルの採用でモニター部を薄くできた上、外部機器との接続性や室内での設置の自由度が向上するとしている。別売りユニットの追加で、ワイヤレス化にも対応。Woooステーションは脱着型HDD「iVDR」に録画も可能。チューナー部の大きさはA4サイズ。
液晶テレビの回路基板などの電力効率を高めて、従来製品比で3分の1とした薄型電源部品を搭載した。
液晶パネルのバックライトも薄型化した。最も薄い部分が35mmで重量は32型で10.9kgとなっている。高集積化したことによる熱の問題も大型サーバの放熱技術を採用して解決したという。
オプションで発売する壁掛けユニットも薄型にこだわった。従来はテレビと壁掛けユニットを含めて17cmの厚みになっていたが、UTシリーズ用の壁掛けユニットを使うと全体で6cmの厚みで済むという。また、厚さ7cmで角度を前傾に20度まで変えられる可変型の壁掛けユニットも用意した。
同日会見した日立の江幡誠執行役常務は新製品について、「プラズマには力を入れていたが、液晶テレビでは差別化できていなかった。開発リソースを急遽集中させて他社に先行して薄型商品を実現できた」と語った。液晶テレビはシャープや日本ビクター、韓国サムスン電子なども超薄型機種の開発を進めている。
08年2月以降、37型、42型も発売、3機種で月産計3万5000台を見込む。今年度の販売目標は計5万台で、これは日立の液晶の下期出荷見込みの3分の1を占める。当面は国内で販売するが、08年春以降に海外にも投入する。
日立製作所-超薄型テレビの開発を加速-
(2007/10/224 日経エレクトロニクス・BCN)
日立製作所は,表示部の厚さが35mmと薄い液晶テレビ「Wooo UTシリーズ」を発売する。まず,32型の1366×768画素品を07年12月中旬に発売,その後,37型の1920×1080画素品を08年2月上旬,42型の1920×1080画素品を08年4月上旬に発売する。同社従来品の厚さは,32型で約100mmだった。
現行の液晶テレビに対して,「高付加価値品」と位置付けており,価格設定にもそれを反映する。価格はオープンだが,市場想定価格として32型品は23万円前後,37型品は33万円前後,42型品は43万円前後になる見込み。「従来品より5万円以上上乗せした価格」(日立製作所)という。
薄くできた理由の一つは,表示部とチューナ部を分離したこと。表示部は,パネルに電源回路や必要最低限の回路を組み合わせた,いわば「モニター」である。チューナ回路などは「Woooステーション」として分離し,表示部とHDMIケーブルで接続する。
オプションで,表示部とチューナ部をワイヤレスに接続できる。別売りのワイヤレス・ユニット(表示部に追加する受信機と,チューナ部に追加する送信機)を購入すれば,映像信号を最大約9mの距離でワイヤレス・ユニットの市場想定価格は9万円前後という。
チューナ部を分離しただけでなく,表示部の薄型化に向けて幾つかの工夫を組み合わせた。ポイントは
(1)パネル・モジュール,(2)熱解析,(3)電源,(4)構造設計の4つ。
(1)のパネル・モジュールは,厚さを従来比約1/2となる20mmに薄くした。主に,自社開発したバックライトの工夫である。「単にバックライトを薄くするだけだと,蛍光管の管ムラが生じてしまうが,これを新たに開発した拡散板で回避した」(日立製作所)という。パネルは,32型と37型についてはIPSアルファテクノロジが生産する「IPSαパネル」を採用した。42型については,IPSアルファテクノロジで生産していないため「他社のIPS方式のパネルを採用した」(日立製作所)という。ただし,パネル・メーカーは明らかにしなかった。
(2)の熱解析は,薄くすることで課題となる放熱に関する工夫である。ファンを設けない放熱構造を開発した。表示部の上部と下部に設けた排気口を利用して,熱を下から上に逃がす構造にした。大型サーバなどの開発で培った技術を応用したと説明する。表示部背面は,上下に設けた排気口以外は,フラットなきょう体で覆われている。「後ろから見てもキレイ」(日立製作所)な仕上がりになった。
(3)の電源については,薄型電源回路基板を新たに開発した。厚さを従来比で約1/3となる12.3mmに薄くした。
(4)の構造設計については,薄型化に伴って弱くなる強度を保つための工夫である。強度解析を実施し,薄型軽量と剛性を両立したと説明する。
表示部とチューナ部を分離した理由について,同社は次のように説明する。「表示部は画質の向上や,薄さなどのインテリア性を追求する必要がある。チューナ部は増えていくコンテンツや周辺機器に対応したり,機能を追加したりする必要がある。双方を,従来のような一体型で追求していくのは難しい。分離することで,それぞれが独自にあるべき姿を追求できるようになる」
こうした上で今後,表示部はより薄くするなど,自由なレイアウトを可能する開発を進めるとした。一方,チューナ部は機能を増やしながら「自己主張しない」方向に開発を進めるという。将来像として,同社は「一家に1台のチューナ部が存在し,表示部が各部屋に置かれている。それぞれの表示部に対して,1台のチューナ部からワイヤレス接続する」という姿を示した。
具体的なロードマップとして,表示部については,今回の厚さ35mmをベースに08年は画面寸法やデザインのバリエーションを増やしていくという。そして,09年には液晶テレビとして厚さ19mm品の製品化を目指す。PDPテレビについても薄型化を進め,09年には薄型のPDPテレビも発売予定であるとした。「PDPの薄型化については,現在,研究所で開発を進めている段階。具体的に,厚さを何mmにするという数値は明言できないが,液晶と同等の厚さまで薄くできる」(日立製作所)という。
一方,チューナ部についても開発を進める。08年には放送/通信の融合,09年には各種サービスへの対応という項目を挙げた。
今回発売した液晶テレビについては,ワイヤレス接続はオプションになっている。しかし,09年には,ワイヤレス接続を標準搭載にする考え。
薄型という点で可能性を秘める有機ELテレビについては,次のようにコメントした。「将来のデバイスとしては楽しみ。しかし,大型化,寿命,コストなどの点でまだ課題が多い。まだ大型テレビの実用化には時間がかかると判断しており,まずは,そうした有機ELテレビの時代が来る前に,現行の液晶やPDPの技術で薄型化を提供していく考え」。
シャープ-モバイル機器用の業界最薄ディスプレイを開発-
(2007/10/24 産経新聞)
シャープは23日、業界最薄となる厚さ0.68mmのモバイル機器用液晶ディスプレイを開発したと発表した。実用化され始めた有機ELに対抗する狙いがあるとみられる。
携帯電話やデジタルカメラなどのモバイル機器では現在、厚さ1.5~2.5mmの液晶ディスプレーが主流。
シャープは昨年、0.89mmの開発に成功したが、今回はガラス基板やバックライトのさらなる薄型化に取り組み、2.2型で0.68mmという薄さを実現した。来年以降、同社の携帯電話などの新商品に組み込みたい考え。
モバイル機器用液晶ディスプレイをめぐっては、台湾の液晶パネル大手AUOが先週、1.9型で厚さ0.69mmの開発を発表するなど薄型化競争は激しさを増している。
次世代ディスプレイとして期待される有機ELがモバイル機器向けに搭載され始めており、液晶各社も薄型化を進めて対抗する戦略とみられる。
米SanDisk-PCコンテンツをテレビで見るUSBメモリー型プレーヤー-
(2007/10/24 Itmedia・毎日新聞)
米SanDiskは22日、PC内のコンテンツを簡単にテレビで見られるメディアプレーヤー「Sansa TakeTV」を米国で発売した。
Sansa TakeTVはUSBドライブのような形をしており、ユーザーはこれをPCのUSBポートに差し込んで、ビデオファイルをドラッグ&ドロップで移動できる。その後TakeTVをクレードル経由でテレビに接続して、テレビ画面に表示されるガイドに従って、付属のリモコンでビデオを再生する。
TakeTVのクレードルは標準的なAVコンポジットあるいはS-Video端子に接続できる。DivXやMPEG-4などさまざまなビデオフォーマットに対応し、Windows Vista、Windows XP、最新版のMac OSとLinuxをサポートする。またフラッシュメモリを使っているため、小型で耐久性・携帯性が高いという。
TakeTVは4Gバイト版が99.99ドル、8Gバイト版が149.99ドル。4Gバイト版は約5時間分のビデオを格納できる。
TakeTVに合わせ、SanDiskは新しいコンテンツ配信サービス「Fanfare」のβ公開を発表した。ユーザーはFanfareで、TakeTVにテレビ番組や映画などをダウンロードできる。Fanfareからコンテンツをダウンロードしてテレビで見るには、TakeTVの購入が必要。
コンテンツには無料のもの(広告付き)と有料のものがあり、CBS、Jaman.com、Showtime Networks、Smithsonian Networksなどが供給する。著作権保護付きのコンテンツには、SanDiskが開発したセキュリティ技術「TrustedFlash」を採用。同社はまた、IBM、Extend Mediaと共同で、コンテンツを保護しつつ配信を自動化することにも取り組んでいるという。
米Apple-30%近い増収・Mac販売台数がまたも過去最高-
(2007/10/23 日経エレクトロニクス)
米Appleの07年7月~9月期決算は大幅な増収増益だった。売上高は前年同期比28.5%増の62億1700万米ドル,営業利益は同74.3%増の10億6000万米ドル,純利益は同66.8%増の9億400万米ドル。
パソコン「Macintosh」の販売台数は前年同期比34.4%増の216万4000台となり,過去最高を達成した直前四半期の実績をさらに40万台,上回った。内訳はデスクトップ型が同30.9%増の81万7000台,ノート型が同36.6%増の134万7000台である。地域別には欧州での成長率が45.9%と大きい。
携帯型音楽プレーヤ「iPod」の販売台数は前年同期比16.9%増の1020万台だった。携帯電話機「iPhone」の販売台数は111万9000台,関連製品やサービスを含めた売上高は1億1800万米ドルとなっている。
07年10月~12月期については,売上高92億米ドル(前年同期比29.3%増),希薄化後の1株当たり純利益は1.42米ドル(同24.6%増)を見込む。CEOのSteve Jobs氏は「12月期も好決算が期待できる。当社最高の製品群をそろえてホリデー・シーズンに臨む」としている。
首都高速道路-ETC非搭載の車両で料金収受するシステムを発表-
(2007/10/23 日経エレクトロニクス)
首都高速道路は22日,首都高で走行距離ごとに利用料を課金する「距離別料金」の導入に向けて,ETC非搭載の車両に対して料金収受するシステムの発表と,このシステムに対応する試作機のモックアップを披露した。現在,首都高の利用料金は定額制で,08年秋ごろに距離別料金の導入を予定している。距離別料金はETCを搭載した車両を前提としており,非搭載の車両への対応策が望まれていた。現行のETCを利用するためには,クレジット・カードが必要だが,今回のシステムでは不要である。ただし,現行のETCであれば利用できる時間帯割引サービスなどを受けることができない。利用範囲も首都高だけ。
このシステムは,電子マネーを利用できる専用のカードと車載通信機を使う。専用カードは,既存の電子マネー・システムを利用する予定で,どのシステムを使うのかは未定。車載通信機は,現行のETCと同様に5.8GHz帯のDSRCを使う。電源はシガー・ソケットを利用する。通信機のメーカーは未定で,外形寸法は69mm×49mm×13.5mmである。
ユーザーは専用カードを首都高入り口付近の店舗やパーキング・エリアなどで「数百円」(同社 執行役員の渡口 潔氏)で購入できる。車載通信機は数千円の保証金を支払って借りなければならない。加えて通信機のレンタル料を支払う必要がある。通信機を返却する際に,保証金からレンタル料を差し引いた金額が電子マネーとして返却されるという。レンタル料は未定だが「3000~4000円程度を想定している」(同氏)
ユーザーが首都高に入る際は料金所で一旦停止し,収受員に専用カードを渡して首都高を利用する際に最も高い料金を電子マネーで支払う。現在の予定では1200円となる。それと同時に,車載通信機が路側機にユーザーの入場場所のデータを送り,そのデータを路側機が「首都高センター」のサーバーに送信する。首都高を出る際は停止する必要はなく,退場場所の記録を車載通信機が路側機を介してサーバーと交信する。最初に支払った金額と実際に支払う金額との差額は,翌日以降に専用カードに電子マネーとして返金される。
JR北海道-モーター・アシスト(MA)式ハイブリッド車両を公開-
(2007/10/24 毎日新聞・フジサンケイビジネス)
JR北海道が世界で初めて開発した「モーター・アシスト(MA)式ハイブリッド車両」が23日、報道関係者に公開された。ディーゼルエンジンに補助動力の電動モーターを組み合わせた動力システムを持ち、発車時はモーターだけで、時速45キロを超えるとディーゼルエンジンが自動的に始動して加速する。従来の気動車に比べて燃費が15~20%改善されるといい、試験走行を経て3年以内の実用化を目指す。北海道新幹線が部分開業する2015年に、新函館(仮称)-札幌駅間の在来線に投入する計画。
MA式ハイブリッド車両は気動車にバッテリーと整流器、モーター、歯車式の変速機を新たに搭載して、エンジンとモーターのどちらでも走行出来るようにした。線路の傾斜など、条件によってはエンジンとモーターを同時に駆動させて、よりスムーズな走行が可能という。モーター併用でエンジンも小型化した。
モーターは発電機を兼ねており、エンジン走行中はブレーキをかけた際に生じるエネルギーを電力に変えて内蔵バッテリーに蓄積し再利用する。モーターとガソリンエンジンを組み合わせた乗用車は既に実用化されているが、駆動用モーターと発電機は別になっている。MA式はモーター1台で駆動と発電両方の役目を果たすのが特徴。
同社は02年にプロジェクトチームを作り、05年からMA式ハイブリッド車両の開発に取り組んでいた。JR東日本も既にエンジンで発電機を回し、モーターを駆動する仕組みのハイブリッド車両(シリーズ・ハイブリッド)を開発している。JR東日本のシステムについて、JR北海道は「エンジンやバッテリーなどはJR東日本の装置の半分ほどに小型化出来た」と説明している。
ホンダ-09年にハイブリッド低価格車を投入へ -
(2007/10/24 日経)
ホンダは2010年にもエンジンとモーターを併用するハイブリッド車の世界販売台数を06年の10倍近い年40万~50万台に拡大する。ガソリン車との価格差を20万円以内に抑えた低価格システムを専用車などに搭載し、09年以降投入する。先行するトヨタ自動車を価格競争力のある商品で追い上げる。日本勢が環境対応車で世界のけん引役になる。
ハイブリッド車の拡販などにより、ホンダ全体で2010年に世界販売500万台を目指す。これまで2010年の目標は450万台以上としていた。まず「シビック」より小型のハイブリッド専用車を開発。09年に日米欧や中国など全世界で発売する。トヨタの「プリウス」などハイブリッド車は200万円以上するが、専用車は普用車は普及価格帯で100万円台に抑える。
トヨタ自動車-全長3メートルの超小型車を来秋に日欧で発売へ-
(2007/10/24 朝日新聞)
トヨタ自動車が08年秋をメドに、全長3メートルを切る超小型車を日本と欧州で発売する方針が23日、明らかになった。軽自動車よりも小さいトヨタ最小サイズだが、大人3人と子供1人が十分乗れる。欧州で強化される新環境規制も視野に、ガソリン車では最高の燃費性能を持つ戦略車と位置づけ、小型車の人気が高い両市場を掘り起こす「起爆剤」にしたい考え。
27日からの東京モーターショーで一般公開されるコンセプト車「iQコンセプト」(全長2.98メートル、幅1.68メートル、高さ1.48メートル)をベースに08年10~12月ごろの市販化を予定している。
タイヤを車両の四隅ぎりぎりに置くなどし、居住性を確保。小回りが利くなど、渋滞が多い都市圏での使い勝手のよさをアピールする。前輪駆動で、国内はガソリンエンジンは1リットルと1.3リットルの2種類。価格は小型車「ヴィッツ」並みの120万~150万円で、月販3500台を計画する。
欧州では09年から、走行距離1キロあたりの二酸化炭素排出量をメーカー平均で140g以下に抑える環境規制が日本車メーカーに課される。欧州の調査会社によると、トヨタの05年の排出量は163g。プリウス並みの排出量100g程度となる超小型車投入で、規制達成を目指す考え。