あまくさ人のひとりごち

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牛深小森海岸の夕陽

KKC48

第1574回 何れの日か是れ帰年ならん 福島

2011-05-30 20:03:17 | 東北
放射能から守りたい 小中学生の県外避難広がる 福島(朝日新聞) - goo ニュース

   東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴い、原発から約60キロ離れた福島市や福島県郡山市で、子どもを県外へ避難させる動きが続いている。
 福島市教育委員会によると、住民票を残したまま市外に転校する「区域外就学」をした小中学生は4月から5月27日までに216人。このうち206人は海外2人を含む県外だ。
 郡山市でも、市内の小中学校から県外への転校が、同市教委の調べで同13日までに403人にのぼった。
 両市教委とも「放射能への不安から避難したケースが多い」とみる。
 

江碧鳥逾白    江は碧にして 鳥逾(いよいよ)白く
山青花欲然    山青くして 花然(も)えんと欲す

今春看又過    今春看(みすみす)又過ぐ
何日是帰年    何れの日か是れ帰年ならん

福島の状況を見ていると、上記の杜甫の名詩「絶句」を思い浮かべる。


(訳)川のみどりを背景に鳥はいよいよ白く、山の青さの中で花は燃えんばかりだ。今年の春も見る間に過ぎ去って行く。何時になったら、故郷へ帰れるのだろうか。

人間到る処青山有り
(訳)世間には自分が骨を埋めるにふさわしい場所はどこにでもある。
というふうに自分を慰めてみても、
それでも沸き起こるのが望郷の念だ。
しかも、原発事故はいっこうに収束の兆しを見せない。
果たして、自分の生まれ育った土地に生きているうちに帰ることができるのだろうか。

さて、上記記事である。
福島第一原発からおよそ60キロ。
県庁所在地の福島市や郡山市でも、子どもの避難が相次いでいるという。
これを過剰反応と呼ぶのはあまりにも酷すぎる。
やはり不安で不安でたまらないのだ。親としては。
原発から何百キロと離れた東京でも水道水から放射性物質が検出されたし、
神奈川の茶葉からも検出された。
そんな報道を聞けば、福島県内はどこも危険だと思うのが人情だろう。
「福島市は特に心配はない」と言われても、どのくらいの人が信じるのだろうか。


まして、
政府と保安院と東電のあいだで、
海水注入をめぐるしょうもない論議がなされる昨今では。


「狭い日本だ。逃げ場所なんてないよ」
またまた黒澤明の『夢』の「赤富士」での原発職員の言葉がこだまする。


「そんなことはわかってるよ。逃げたってしょうがない。でもねえ、逃げなきゃしょうがない。他にどうしようもないじゃないか」
それに応じる子連れの女の叫び。


まさに福島の親たちの心情は、この一言に尽きるのではないか。


天草西海岸の夕陽