あまくさ人のひとりごち

あまくさ人のひとりごち、つまり独り言です。
撮りだめした写真も併せて載せます。

牛深小森海岸の夕陽

KKC48

第2293回 史上最年長の芥川賞

2013-01-16 19:48:19 | 
芥川賞に75歳の黒田夏子さん 史上最年長 異色の小説で
2013年01月16日 熊本日日新聞

 第148回芥川、直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が16日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞は黒田夏子さん(75)の「abさんご」(早稲田文学5号)に決まった。贈呈式は2月中旬、東京都内で開かれる。賞金は各100万円。80年近い同賞の歴史で最年長の受賞。

 黒田さんは1937年東京生まれ。早稲田大教育学部を卒業後、教員や校正者を経て昨年、受賞作が早稲田文学新人賞に輝き、話題になっていた。

 受賞作は横書きで片仮名や固有名詞を使わない異色の小説。(共同)


ワタクシの母親がちょうど黒田夏子さんと同年代である。
それを思うと、なんという快挙だ! と思う。

それまでの最年長記録が、1973年に受賞した森敦の63歳であることを考えると、すげえ! である。
さすが日本は世界に冠たる高齢社会・・・! って、違うかwww

芥川賞てのは、純文学で新人の人に贈られる賞なので、
こんなに年配の方がとることはまずありえない。
綿矢りさが19歳で芥川賞を受賞したのが象徴的である。
可憐な文学少女といった感じだった彼女ももう30近いですよ。
時の流れは速いなあ。

ちなみに、芥川賞(と直木賞)が菊池寛によって創設されたのは1935年。
黒田さんはその2年後に生まれたことになる。
これも、すげえ! ですな。

ところで、受賞作の「abさんご」。
横書きなのにカタカナや固有名詞を使わない小説ということですが、
その分、アルファベットは大量に使っておられるのでしょうか。
題名が「abさんご」なだけに。

第1973回 田中慎弥ふたたび

2012-02-14 20:41:49 | 

<芥川賞>毒舌…いえ、無口でまじめ 素顔の田中慎弥さん (毎日新聞) - Yahoo!ニュース


 「都知事閣下と都民各位のために、もらっといてやる」--先月の芥川賞決定記者会見の発言で、一躍時の人となった田中慎弥さん(39)=山口県下関市在住。受賞作「共喰(ともぐ)い」(集英社)の発行部数は、純文学としては異例の20万部に達した。すっかり毒舌のイメージが広まったが、素顔の本人は?【渡辺亮一】

【「もらっといてやる」発言の真意】芥川賞に選ばれて:言いたいこと、あの夜と今=田中慎弥

 受賞決定から2週間後の1月31日夜。北九州市内で、田中さんを囲んで祝杯をあげる数人の集まりがあった。受賞会見に話題が及ぶと、田中さんは「葉室(麟)さんと円城(塔)さんに申し訳なくて……」。例の発言のためにメディア(特にテレビ)の関心が自分に集中し、ほかの芥川・直木賞受賞者の存在がかすんでしまったことをしきりに気にしていた。

 文芸担当として07年ごろから接してきた記者の目に映る田中さんは、周囲にこびない、無口でまじめ、発する一言一言に説得力がある--といった印象。確かに社交的ではなく、取材を始めて10分ほどで話題が尽き、長い沈黙が続いて焦ったこともあるが、人を寄せ付けないタイプでは決してない。

 酒好きと聞き、飲み会に誘うと、初対面の相手ともよく飲み、文学談議で盛り上がった。同席した一人が作家志望で、自作の小説のコピーを託されると、驚いたことに約1カ月後、小説の感想とアドバイスを書いたファクスが送られてきた。酒席での約束も忘れない誠実さと律義さがある。

 芥川賞受賞後、燃え尽きて創作から遠ざかる作家も散見されるが、田中さんにはそんな心配は無用。なにせ発表の当てもないのに20歳から毎日書き続けてきた。田中さんの作品世界は、父と子の関係や血脈の問題をテーマに、悪夢的な暴力の世界が描かれる例が多い。「共喰い」の主人公は、性行為の最中に相手に暴力をふるってしまう男子高校生。海峡の町を舞台に、濃密な空気をたたえながら、物語は展開する。

 受賞後第1作は、1月23日付の本紙西部本社版に掲載された掌編「竹やぶ」。短編の名手として知られるが、初の長編にも挑んでいる。文芸誌「群像」に連載中の「燃える家」は最終的には1000枚の分量に上る予定で、作家としての新境地を示す。

 下関市在住の直木賞作家、古川薫さん(86)は「『共喰い』は下関の方言を巧みに織り込み、成功させた初の小説。言葉が音楽的で、ユーモラスな感じも出ている」と評価。田中さん本人は「当面は下関から動く予定はない」と言い、「生まれ住んだ土地でただ小説を書いているだけ」。今回の20万部については「これほど多くの人に読んでもらえるのは最初で最後かも」と話す。

 パソコン、携帯を持たず、原稿は手書き。古風な文士のスタイルは、今後も変わりそうにない。

 さて、17日は芥川賞の贈呈式。毒舌を“期待”する向きもあるが、本人は決して騒ぎは起こさないと明言している。

 ◆たなか・しんや 山口県下関市出身。高校卒業後一度も職に就かず、05年「冷たい水の羊」で新潮新人賞を受け作家デビュー。08年「蛹(さなぎ)」で川端康成文学賞、「切れた鎖」で三島由紀夫賞を受賞。芥川賞受賞決定時の記者会見にはワイン2杯を飲んで現れ、「もらって当然」などと発言。選考委員で東京都知事の石原慎太郎氏をやゆした会見の模様が、テレビのワイドショーなどで大きく取り上げられた。
 


毒舌じゃないでしょ。
ただ単に率直なだけでしょ。
そして、反骨精神が旺盛なだけでしょ。
エラソーなのが大嫌いなだけでしょ。


マジメでなきゃ、こつこつと小説を書き続けるわけないでしょ。


何を今更、という感じがする。


ところで、TSUTAYAで『共喰い』を買いました。


まだ読んでませんけど。


芥川賞受賞作という理由で買ったのは、綿矢りさの『蹴りたい背中』以来かな。


第1939回 反骨の男 田中慎弥をよろしく 

2012-01-18 20:36:10 | 

田中慎弥氏、石原氏に逆襲!芥川賞「もらっといてやる」 ― スポニチ Sponichi Annex 社会


 第146回芥川、直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が17日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれ、芥川賞は円城塔さん(39)の「道化師の蝶」と田中慎弥さん(39)の「共喰い」、直木賞は葉室麟(はむろ・りん)さん(60)の「蜩(ひぐらし)ノ記」に決まった。田中さんは受賞会見で選考委員の石原慎太郎東京都知事にかみつき、「(賞を)もらっといてやる!」と言い放った。

 東京・丸の内の東京会館で行われた受賞会見で、荒々しい早足で登壇した田中氏。5回目のノミネートでつかんだ受賞に「確かシャーリー・マクレーンでしたっけ?アカデミー賞で何度も候補に挙がりながらダメで、受賞の時に“私がもらって当たり前だ”と言ったそうですが、だいたいそんな感じです」と言い放ったかと思うと、「さっさと終わりましょう」と吐き捨てるように話した。
 受賞作「共喰い」は、昭和の終わり、「川辺」と呼ばれる小さな集落に生きる高校生が主人公。抑制が利かない自らの性欲と暴力性が、父親から受け継いだことを自覚し、逃れられない宿命におののく姿を描いた。関係者によると、若者の内面を描くことに定評が高いという。受賞の知らせは待機していた飲食店で聞いた。
 08年に「蛹(さなぎ)」で川端康成文学賞、「切れた鎖」で三島由紀夫賞を受賞した実力派。しかし、石原知事は6日の定例会見で、若い作家に欠けているものを問われ「自分の人生を反映したリアリティーがないね」と批判し、さらに芥川賞候補作品に関して「今も読んでいますけれど、苦労しながら、ばかみたいな作品ばかりだよ、今度は」と酷評していた。
 田中氏はそんな態度を腹に据えかねていたようで、自分から「これだけ落とされて、(受賞を)断ってしまいたいところなのですが、断りを入れて気の小さい選考委員が倒れてしまうと都政が混乱しますので、もらっといてやる!」と表情を変えずにまくし立てた。
 報道陣からそんな石原知事への一言を求められると、「おじいちゃん新党を作ってらっしゃるみたいなんで、それにいそしんでください」と選考委員の引退勧告とも受け取れるような発言まで飛び出した。
  


いやー、面白い作家が出てきたもんだ。
小説は読んでないけど、この人が書いたんだから絶対面白い! みたいな。

今しがたノーカット版の記者会見を見たが、
実に率直な人だなあ・・・というのが正直な感想。
「おれ、こんなとこ嫌だよ」という気持ちがモーレツに顔に出ていた。

ここ最近ではあまり見かけないタイプの作家であることはまちがいない。
特に、石原サンにやんわりながら噛み付くところなんか。
「気の小さい選考委員が倒れてしまうと都政が混乱しますので」云々なんて発言は、なかなか出ないよ。

「おじいちゃん新党を作ってらっしゃるみたいなんで、それにいそしんでください」とまで言っちゃって。

だからというわけではないが、なんと石原サン、芥川賞の選考委員をやめるとか。

石原氏「刺激にならない」と芥川賞選考委員辞意(読売新聞) - goo ニュース


 芥川賞の選考委員を務めている東京都の石原慎太郎知事は18日、報道陣に対し、「全然刺激にならない」と述べ、選考委員を今回限りで退く考えを明らかにした。
 石原知事は、「いつか若いやつが出てきて、足をすくわれる戦慄を期待していたが、刺激にならない。自分の人生にとって意味合いもない」と語った。
 石原知事は、1995年から同賞の選考委員に加わっていた。



田中慎弥の「引退勧告」を受け入れたってこと!?
そう取られても、しかたのないことだけど・・・


それにしても、「共喰い」ねえ。


今度文藝春秋が出たら、読んでみよう。


 


第1866回 やがて小学館も少年画報社のように

2011-12-01 21:08:48 | 

小学館が学習雑誌「小学三年生」「四年生」も休刊へ 残るは2誌に (産経新聞) - Yahoo!ニュース

 小学館(東京都千代田区)は1日、月刊学習雑誌「小学三年生」と「小学四年生」を来年2月発売の3月号で休刊すると発表した。四年生は大正12年、三年生は同13年に創刊。昭和48年には、三年生が4月号で102万部、四年生も同号で82万部の最大部数を記録したが、今年度に入ってからは、3年生が4-5万部、4年生は3-4万部になっていた。
 休刊の理由について、小学館広報室は「『学年別』『男女共通』で『総合的な内容を持つ』雑誌という刊行形態の枠内では、成長と変化が著しい小学生世代のニーズに必ずしも合致しないという現状になってきている」と、児童の趣味や価値観の多様化を挙げている。
 同社の学習雑誌では、「小学五年生」「小学六年生」の2誌が平成21年度内で休刊。残る「小学一年生」「小学二年生」については、来年度以降も発行する予定という。


昔、『少年画報』という雑誌があった。


『赤胴鈴之助』『まぼろし探偵』などの人気漫画を擁して、
昭和30年代には100万部を突破したこともあった。
それまで「明々社」と名乗っていた出版社は「少年画報社」と改めるほどだった。
しかし、雑誌の週刊化の波には逆らえず、昭和46年に休刊。
「少年画報社」という社名だけが残ってしまった。


小学館も、「小学○年生」を発行していたから、この名前になったという。


その「小学○年生」が大ピンチである。
以前、「小五」「小六」の休刊をブログで採り上げたことがあったが、
とうとう「小三」「小四」も休刊することとなった。


そうすると、残る「小一」「小二」はどうなる? ということになるが、
当分は発行する予定だという。
しかし、いつまで続けることができるだろう。


時代の流れとはいえ、さびしいなあ。 



第1537回 団鬼六さん死去

2011-05-07 16:58:37 | 

どうでもいいことですが。
ワタクシ、「S」か「M」かと聞かれたら、
迷うことなく「ドSです」と言い切れる自信がある。



作家の団鬼六さん死去…食道がん、79歳(読売新聞) - goo ニュース


 「花と蛇」などの官能小説で知られた作家の団鬼六(だん・おにろく、本名・黒岩幸彦=くろいわ・ゆきひこ)さんが6日午後2時6分、胸部食道がんのため東京都内の病院で死去した。79歳。告別式は未定。喪主は長男、黒岩秀行氏。
 1931年、滋賀県彦根市生まれ。関西学院大卒。神奈川県内で中学教諭をする傍ら、団鬼六のペンネームで「花と蛇」を執筆。退職後、独特の性愛世界を描く作品群で人気を集めた。87年には横浜に5億円の自宅を建設、89年に断筆宣言をした。
 しかし、バブル崩壊で自宅を売却。95年、賭け将棋指しの生涯を描く「真剣師 小池重明」で復活した。自伝的な「蛇のみちは」「美少年」をはじめ純文学的作品も発表した。


令子という女優が好きで、のように執筆する、昭和年生まれの男。
団鬼六というペンネームはそこから生まれたとか。


神奈川県内で中学教諭をしていたときに、授業中に生徒を自習にしておいて、
教卓でこっそりと「花と蛇」を執筆していたというエピソードはあまりにも有名である。


なぜ家で書かずに、わざわざ授業中の教室で執筆したのか。
本人によれば、生徒に隠れて教室で官能小説を書いているほうが創作意欲が増すからだという。


団鬼六の名を一躍有名にした「花と蛇」、
ワタクシも10年以上前に買った。
予想に反してかなり分厚い本である。
そして長い。


買ってすぐに始めの部分を読んだだけで、あとはそれっきり。


団鬼六が亡くなったのをきっかけに、マジメに読んでみようと思う。


ところで、昔の深夜番組に団鬼六が出演していたのを見たことがある。
団鬼六が敬愛する江戸川乱歩が実はかなりマジメな人であったと同様に、
とても実直そうな人だな・・・というのが第一印象だった。
小説の中で繰り広げられるSMというか調教というか、そんなことを、とても実行できそうにないな。
そう思わせるような人だった。
実際、本人もそういうような発言をしていた。
あれはあくまでも自分の妄想の産物だって。


バイオレンスな小説を書いている人が、実は血を見るのが大嫌いだとか。
ホラー小説を書いている人が、オバケ屋敷が苦手だったりとか。
恋愛小説の名手と呼ばれている人が、ものすごいオクテだったりとか。
そういうことって、創作者ではよくあることだ。
逆に、だからこそ、自分の怖いもの苦手なものが書きたくなったりするのかも。


もちろん、自分の得意分野や趣味を小説に取り入れることもよくある。
団鬼六だって、アマ6段の腕前を持つ将棋をモチーフに小説を書いたこともある。


でも、団鬼六の真価は、
自分の脳内宇宙でかもし出された妄想を文章化した一連の官能小説群にあるのではなかろうか。


まさに、巨匠堕つ。
合掌。


第1113回 ブックオフ 買い取り制度改善

2010-07-31 07:06:59 | 
ブックオフ「本人確認なく、買い取りません」(読売新聞) - goo ニュース


 中古書籍販売最大手のブックオフコーポレーションは8月1日から、古本の買い取りの際、すべての売り手に身分証明書の提示を求めて本人確認を行う制度を始める。
 一般書店側から「万引きされた新刊本が古本チェーンで大量に換金されているのではないか」との懸念が出ていたためだ。
 ブックオフはこれまでも、古物営業法に従って査定額1万円以上やゲームなどの買い取りに身分証明書の提示を求めていた。
 今後は未成年者についても厳格化し、18歳未満や高校生には、保護者の同意書と電話確認、本人確認書類を求めるほか、小学生からの買い取りには保護者の同伴を求める。
 ブックオフは2009年5月、丸善や講談社などから出資を受けるなど一般書店との関係強化を図っている。他の古本チェーンでも買い取り制度の改善が広がりそうだ。
 


あ、そうなんだ。
古本を買い取ってもらう際には、買取金額の多寡にかかわらず、
身分証明書(ほとんどは免許証なんだけど)を出すのが義務と思っていた。

マンガ本2~3冊くらいでは免許はいらなかったのね。

ところで、本の場合はそれでよしとして、
CDの買い取りの場合はどうなのだろう。
同じように扱われるのだろうか。

てか、同じように扱われないとヘンだろ。


第713回 ウルトラマンになった男

2010-01-15 19:41:36 | 
ウルトラマンになった男
古谷 敏
小学館

このアイテムの詳細を見る

最初はとてもイヤだったという。
TBSが「ウルトラQ」の後番組の主役になることに。
「ウルトラQ」でも着ぐるみに入って、大変な思いをした。
あれが一年間も続くのか。
それに、売れなくても俺は俳優だ。
なんで顔を隠してテレビに出なければならないのだ・・・・。

この本は、初めてウルトラマンになった男・古谷敏の回顧録である。


ワタクシはウルトラシリーズ(初期限定)の大ファンだったので、
古谷敏の名前はよく知っていた。
ウルトラマンの役をしていたことも、
「ウルトラセブン」ではアマギ隊員の役をしていたことも。


初めてウルトラマンになった男。
モデルも何もないところから始めなければならなかったため、
ウルトラマンのキャラクターを生み出す苦労は、
並大抵のことではなかったという。


そして、古谷敏が苦心の末に作り出したウルトラマンスタイルが
のちのシリーズに受け継がれていくのだ。


「ウルトラマン」の一エピソード、「遊星から来た兄弟」でやたらと印象に残るシーンがある。
にせウルトラマンに化けたザラブ星人にウルトラマンがチョップをかまして、
その手を痛そうに振る場面。

実は加減をまちがえて強くたたいてしまい、
本当に指を痛めてしまったらしい。


古谷敏のこの本には、
この手の苦労話がたくさん出てくる。
あまりの苦しさに、いっそ番組を降板しようかと思ったぐらいだったという。
そのことを告げるため、円谷プロに向かうくだりが泣けてくる。
ウルトラマンの活躍を知っている人ほど、この本は感動すること間違いない。
また、この本を読んで「ウルトラマン」を見れば、
ますますウルトラマンのことを好きになるにちがいない。


ウルトラマンになった男
古谷 敏
小学館

このアイテムの詳細を見る

第670回 本が売れねぇ

2009-12-26 09:26:44 | 

09年の出版業界、2兆円割れへ デフレの深刻化で(共同通信) - goo ニュース


年末ともなると、いろいろな一年間の総まとめが発表される。


これもその一つ。


数年前までは、あまくさ(本渡市内)で書店といえば、
ブックセンターまつした
ヴィジョン
明林堂書店
の3店だった。
今は3店ともつぶれている。
しかも、建物はそのままだ。


3店がなくなったあとで、書店と呼べるのは
TSUTAYA
ぐらいだった。
つい最近、熊本市の老舗書店・まるぶんが
ジャスコ内に新たに店を開いたので、2店となった。


結局、地元の書店はつぶれ、
残ったのは全国展開している店だけ。


本が売れないからね。
09年の書籍と雑誌の推定販売金額が、89年から20年間維持してきた2兆円台を割る見通しであるらしい。
毎月書籍代に最低3000円は使っているワタクシとしては、なんとも悲しい限りだ。
「今はわからない言葉があったら電子辞書を引けばいいし、小説だってケータイで見る時代だよ」と言われても
「何か違う」と思ってしまう。
何が違うのかはよくわからないが、そんなになんでもかんでもデータ化してよいものかと思ってしまう。


ふと、夢想する。
これからン十年後の未来。
この世の映像・画像・書籍がすべてデータ化される。
夏目漱石もトルストイも、黒澤明もジョン・フォードも、みんな携帯端末でお手軽に見られる時代になる。
ところが、ある日のこと、それらのデータがすべてこの世から消えてなくなってしまう。
フィルムや書籍に頼ろうにも、そんなものはすべて博物館の中にあり、
閲覧するには、高い金を払わないといけなくなってしまった。
文化を享受できる富裕層。
文化を失った貧困層。
貧困層の人たちは、自分たちの記憶を頼りに、自分たちから失われてしまった文化を再現しようとする。
はたまた、新しい文化の創造に挑もうとする。


なんていう小説を、村上春樹あたりが書いてくれないかな。


 



 



第536回 今更名前を隠して何になる その2

2009-10-08 20:50:48 | 

asahi.com(朝日新聞社):光母子殺害実名本「安易に一線越えた」作家ら疑問の声も - 社会


yahooでもgooでもよい。
「・・・殺して何になる」 
という言葉で検索すると、たくさんヒットする。
しかも「・・・」の部分がバッチリ書かれている状態で。


つまり、小学生でも閲覧できる状況にあるのだ。


いくら新聞やテレビが書名を伏せたとて、
ネット上でだだ盛りになっているのが実情だ。


顔写真だって、ネット上にあふれている。
現にワタクシも、数年前に元少年の素顔と実名を知ったというのは、前回のブログで書いた。


まして書店で、堂々と販売されているという事実。
新聞やテレビで、必死に名前の部分を隠しているのが、こっけいに思えてくる。


だから、新聞やテレビで書名の一部を伏せても無意味だと思い、あえて実際の書名を書いたのだ。

上記の記事で、「安易に一線を越えてしまった」と作家が嘆いていたが、
ネットはとっくに、その一線をやすやすと越えてしまっているのだ。

そしてそれはもう、取り返しがつかない。
彼の名前を冠した書名が入ったHPやブログは、日々増殖していく一方だ。
もうこのブログも、匿名の無意味さ故に、その一つになってしまった。
今更だれが、彼を「A君」に戻すことができるというのか?

 


第535回 今更名前を隠して何になる

2009-10-07 22:30:43 | 

母子殺害元少年の実名本が書店に 発売見合わせの動きも(共同通信) - goo ニュース


1999年のことだ。
山口県光市で、23歳の女性とその子どもが殺害された。
犯人は、当時18歳の少年。


殺害状況の異様さもさることながら、
「事件を風化させたくない」という被害者の遺族の行動と
判決をめぐる諸々の騒ぎで、いまだに人々の記憶に残る
光市母子殺害事件。


その犯人となった元少年を、実名で書いた本がこのたび出版された。
新聞などの記事では「A君」と書いたり、
表紙の写真にモザイクをかけたりしているが
一部の書店ではもう店頭に並んでいるということなので、
あえて実名を挙げさせてもらう。


『福田君を殺して何になる』


実はワタクシ、彼の実名を随分前にネットで知った。
で、顔写真も見た。
ずいぶんのっぺりとした顔だなあ、というのが正直な感想だった。


この本については、書店の反応は真っ二つに分かれている。
出版差し止めの仮申請が被告側から出ているからということで、販売を自粛する店。
まだ仮申請の段階だからということで、販売を実施した店。


いらぬことを考えた。
かつて「弁護士に懲戒請求を!」とのたもうて物議を醸した橋下大阪府知事は、今回の一件にどうコメントするのだろうか。
「大阪では一軒たりとも、発売自粛させない!」と言うだろうか。
それと、 被害者の遺族である。
どう感じているか、聞いてみたいものだ。


え? お前はどう感じているかって?
実際に本を読んでみなくちゃ、何とも言えない。



天草西海岸の夕陽