いささか旧聞に属するが、福澤徹三の『怖い話』を読んだ。
この本を読んで、初めて「日本四大恐怖CM」なるものがあるのを知った。
90年代に流れたAC(公共広告機構)のCM。
俗に「あよね」と呼ばれる。
80年代に流れた覚せい剤撲滅を呼びかける政府公報。
俗に「キッチンマザー」と呼ばれる。(ん?)
90年代に流れたフジテレビの自社CM「JUNGLE」。
そして、80年代に流れた某電機メーカーの石油ファンヒーター回収を呼びかけるCM。
これに、クリネックスティシューのCMを加える人もいる。
説明を聞くと、どうやら昔ワタクシが見たCMばかりのようなので、
懐かしさも手伝って(てか怖いモノ見たさで)YouTubeで見ることにした。
まず、ACのCM。
やせ衰えた子どもの大写しに、
「あ~~よ~~ね~~ ね~ね~と~てぃ・・・」←後はよくわかりません。
どうもアフリカかどこかの民謡らしい(子守唄じゃないかな?)のだが、
確かにこれがいきなり流れてきたら誰だってのけぞる。
ナレーション「毎年、294万人の子どもたちが死んでいく」
子どもの姿に、真っ赤な「HELP」の文字が。
その文字が溶けると、あとからフリーダイヤルの番号。
ナレーション「お電話ください。ワクチンで助かる命のために」
まじめなCMなのだが、夜中に一人で見るCMではない。
次に、政府公報。
怖いCMの代表格だが、今年このCMを見た人は確実にアノ事件を思い出す。
ナレーション「最近、覚せい剤は家庭の主婦や青少年、サラリーマンをむしばんでいます。興味半分の、一本の覚せい剤。それが、あなた自身を廃人にしてしまうばかりか、あなたの家庭をも破壊します」
テロップ「覚せい剤を追放しよう 政府公報」
基本的に、母子のツーショット。
画面向かって左側の女の子の泣き叫び方がハンパではない。
隣では母親が覚せい剤を打っている。
パトカーのサイレン。
その間ずっと、女の子は泣き叫びまくる。
うーん。
率直に言って、今こそこれぐらいインパクトのあるCMを流した方がよいのでは。
フジテレビの自社CM「JUNGLE」。
ワタクシが見たのは、「ドールズ編」と「ハート編」なのだが、
どちらも制作意図がよくわからん。
「ドールズ編」は画面中央の「ひとがた」を中心に、激しいフラッシュ。
最後には焼けただれた人形が散らばっているショットに「JUNGLE」のテロップ。
耳に残りそうな男性コーラスのしらべに乗って。
(ウィキペディアでは「授かりし 命 乱れ 成りがたい(ありがたい) 命」という歌詞だという)
「ハート編」は画面中央にでかいピンクのハートが現れる。
映画「七人の侍」のオープニングテーマをポップにした感じの太鼓連打に合わせて
ピンクだったハートがまだら模様に黴びていく。
よく見ると、カビのまだら模様が、「AIDS」と読めてくる。
深夜にこのCMが流れていたころは、ちょうどバブル崩壊したてのころで
深夜番組が何かと話題を集めていた頃。
「(深夜番組は)なんでもありのごちゃまぜでいい」というのが「JUNGLE」のコンセプトだそうだが。
なんで戦争とエイズを想起させるようなCMを作ったのかがよくわからん。
某石油ファンヒーター回収告知CM。
「○○電気からの、お詫びとお願いです」
という男性のナレーションで始まるこのCM。
静止画像ばかりで構成されている。
石油ファンヒーターに重大な欠陥があったため、
そのまま使用を続けると死亡事故につながる恐れがあるので回収に協力してほしい、という告知である。
(このファンヒーターが原因で、実際に死亡事故が起こっている)
要するにただそれだけのCMだが、淡々と流しているところがかえって不気味さを醸し出しているというか、なんと言うか・・・。
そして、クリネックスティシューのCM。
「赤鬼版」と「天使版」がある。
特にこの「天使編」、実は世界三大広告賞の一つ「国際放送広告賞」を受賞した由緒ある作品。
そんな名作が、なぜ「怖いCM」になったのか、クリネックスとしては心外だろうけど。
ブルガリアンボイスに合わせて、かわいらしい天使がティッシュを上に次々と放り投げている。
ただそれだけのCM。
「赤鬼編」は、女性のアカペラに乗せて、
松坂慶子と赤鬼がティッシュを中心に戯れている。
ただそれだけのCM。
だけど、さすがに都市伝説を生み出しただけに、インパクトは大。
夜中に一人で見るのは気が引ける。