生活全般でそうかというと、それは違います。
しかし、こと馬に関しては非常に人の影響を受け易いと自覚しています。
何故かと言うと、自分自身の劣等感です。自分の技術は低いと常に意識しています。だから自分が良いと感じたことは必死で取り入れようとするし、場合によっては180度方向が変ったりしたこともあります。
ま、それは時間の経過によって再び180度変り、元に戻ったりしているのですが・・・。
1月の西条馬場での練習だったのですが、久しぶりに見た1年生がとんでもない姿勢になっていることにビックリしました。短い鐙、引っくり返った上体、突っ張った拳。典型的な腰掛乗りの悪い見本で、本人及び指導している人間に何を指摘すれば一番的確であるかを思いました。
それは簡単なことで、鐙をつま先できちんと踏むこと。ただそれだけです。
しかし、鐙をつま先できちんと踏むことを簡単な事と思うなかれ、です。そのためには、柔軟な足首、正しい脚位置及び股関節の動きなど、馬上で力を抜くという動作が凝縮されています。
自分が運動する時もそのことを意識しながら乗っていたのですが、それらの過程で体の後半分を鞍に接して乗るよりも、体の前半分を鞍に接して乗ることの方が正しい股関節の位置が得られると再認識しました。男子であれば、○玉の裏を鞍から離さないで乗るということです。勿論それで体が前傾してしまったのでは意味が無いし、下腹を突き出して上体がそっくり返るような姿勢になってもいけない。だから個々人に合った指導は必須です。
それと、男子と女子は体の構造が違うから、体の前半部分を鞍に密着させることを要求しすぎると痛みを伴う場合がある。だから女子の場合にははっきりと、『痛いか、痛くないか?』を私は聞きます。痛ければ鞍を変えてみるとか、ショーツを2枚重ねにしてもらってみるとか、何らかの対応を検討です。
それらの指導を通じて、柔軟な下半身を要求していくのですが、先日TRFに遊びに来たM笠君が持っていたDVD,『バランス イン ムーブメント』を見て、私が最近感じていたことが画像及び解説となって整理されているな~と思いました。
私は意識していなかったのですが、DVDによると、柔軟でない踵は膝関節が硬くなり、結果として太ももがせり上がり骨盤の硬直を生じさせる。骨盤の硬直は更に硬い状態につながり、そのことが硬い肩肘、棒のような腕~ガンガン揺れる拳にも表われる・・・、とありました。
私は硬い状態が硬い下半身~足首と繋がっていくのかと思ったのですが、DVDは足首→膝→股関節→骨盤→上体と硬さが遡上していくと言っています。
それらのことはさておき、人の運動に注目する際に骨盤が柔軟であるか否かということを一番注目して観察するようになりました。
さて、今日は西条馬場で学生を指導したのですが、そのような視点で物事を見ますと、まともな人間は学生・指導者を含めて一人も居なかったと言えます。勿論、私を含めてです。
部員が、そして馬を調教する指導者が、更に上を目指して何かをする場合、目標となる指針がその辺りにあると本日確信しました。
私は人の(外部の)影響を受け易い人間です。
先日までは肩だ、肘だ、拳だと指導をしていたと思います。でもこれから暫らくの間は、『骨盤の柔軟性』ということを言い続けると思います。特に上級生に対しては。
だから何なんだ・・・なのですが、ただそれだけのことです。駈歩からのシンプルチェンジが全く出来なくて、バンバン中間速歩が入っていた学生達。今までの私なら、減却が悪いとか推進が足らないとか、バランスバックの要領が悪いとか指導したでしょう。しかしこれからは柔軟な上体(骨盤)で馬の駈歩をコントロールし、駈歩を絡め取るように減速するという方向性で指導するでしょう。
ま、先は長いです。