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未来は数式で予想できるのか?|脳と自由意志#9

2021-09-11 06:10:35 | 哲学の窓

哲学チャンネルより 未来は数式で予想できるのか?|脳と自由意志#9を紹介します。

ここから https://www.youtube.com/watch?v=Z7Xocqyb_c8

※関連した過去動画 【<わたし>はどこにあるのか】の解説をします|脳と自由意志 #0 https://youtu.be/vQltzaI9ZHY 【脳白紙説】脳に先天的な構造は備わっているのか?|脳と自由意志 #1 https://youtu.be/6COUkg3I5GE 脳は先天的に何かの構造を持っているのか?|脳と自由意志 #2 https://youtu.be/NapwMeFIFos 生まれか、育ちか?|脳と自由意志 #3 https://youtu.be/as93k8EPdwE 人間の脳はどのように進化したのか?|脳と自由意志# 4 https://youtu.be/dbMZJe8NfCM 脳の再編成(脳に司令塔はいるのか?)|脳と自由意志#5 https://youtu.be/3EV16sUSqyc 左脳と右脳は別人格なのか?|脳と自由意志#6 https://youtu.be/udin52liLAw 管理者がいないのに脳が正常に動く理由|脳と自由意志#7 https://youtu.be/bgjQ9ojMoJ0 <わたし>の根源は左脳にある?|脳と自由意志#8 https://youtu.be/APqwL6p3VVI 無秩序から秩序が生まれる仕組み【創発】|脳と自由意志#10 https://youtu.be/vqp-nSezNwE <わたし>はどこにあるのか|書評  脳と自由意志#11 https://youtu.be/HngIjRW8aX4 ※書籍 〈わたし〉はどこにあるのか――ガザニガ脳科学講義 https://amzn.to/34nFlxJ
 
動画の書き起こし版です。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 17世紀。 ニュートンの登場で、それまでの科学が一変しました。 かのアリストテレスは、物体の運動は外からの力が働かない限り 自然と運動量が落ちていずれは停止すると考えていました。 一方でガリレオ・ガリレイは、摩擦のような外からの力が働かなければ 物体は一定速度を保ち、永遠に動き続けると考えたのです。 ガリレオは計測と測定でそれを裏付けようとしました。 その計測結果に目をつけたのがニュートンです。 ニュートンはガリレオが実験で得たデータを精査し そのデータを代数方程式で表すことに成功します。 さらに、その方程式によって過去に見いだされた様々な法則を 説明できることを示しました。 これによって生まれたニュートン力学は 宇宙と時間すべてを記述できる数式、いわゆる『統一理論』へのスタートとなりました。 同時に、物理法則がすべて数式で表されるのであれば 世界は物理法則で動いているのだから、これから起こることも すべて数式で表すことが可能で 翻って、世界の行く末は物理法則によってすべて決められているのではないか? いわゆる【決定論】に関する議論が熱を帯びます。 しかしながら【自由意志】を持つ人間は特別です。 ある意味これが決定論に対する有力な反論だったのですが、 遂に人間も物理法則に支配された自動機械である可能性が高くなりました。 やはり決定論は正しいのでしょうか? ここではまず『決定論が正しいのなら、未来のことを完璧に予想することはできるのか?』 ということに関する疑問点を見ていきましょう。 1900年。 フランスの数学者【ポアンカレ】はニュートン力学のネックである 【三体問題】についての研究で大きな発見をします。 ニュートンの法則では、天体の運動などはほぼ完璧に計算することができました。 しかし、問題は【三個以上の天体】が相互作用する系においての【観測】でした。 どんなに丁寧に観測してもその位置と運動の情報は絶対的正確には把握できません。 微少な誤差は必ず出てしまうのです。 単純な天体系であれば、その誤差は許容できる範囲に収まりますが 三個以上の天体がある系での結果を予測しようとすると、 観測時の誤差がどれだけ微少でも、時間経過とともにその誤差は大きくなり 最終的にはでたらめな予測と大差ない結果になってしまうのです。 このような系を【カオス系】と呼びます。 この理論を世に知らしめたのは気象学者のローレンツです。 1950年代、ローレンツは自身で気象予報のプログラムを作りました。 コンピューターのプログラムはまさに決定論的です。 同じ指示を出し、同じ計算をさせれば毎回同じ答えが返ってくるはずです。 ある偶然があって、ローレンツは一回目に初期情報で『0.506127』と指定したものを 再計算の際に『0.506』と小数点第4位以下を切り捨てて入力してしまいました。 通常は切り捨てても関係ないと思われていたほどの超微差です。 しかし、プログラムがはじき出した結果はまるで違う数値でした。 気象のような変動要素がたくさんあるカオス系において それぞれの情報を完璧に測定することは不可能です。 そして、最初の誤差は時間経過とともに許容しがたい開きを生み、 最終的には全く偶然ともいえる結果を返します。 南米での蝶の羽ばたきが、アメリカのハリケーンを生む。 ローレンツはこれを【バタフライエフェクト】と名付けました。 同時に、量子力学の世界でも決定論に疑問を呈する理論が現れました。 原子の世界ではニュートン力学では説明できない運動が行われていることがわかったのです。 原子は物質の構成要素なのに、マクロな物質と同じ法則が成り立たない。 この事実は科学界に衝撃をもたらしました。 有名なシュレディンガー方程式などにおいては ミクロな世界の波の動きの変化を記述することができますが 現時点での電子や原子の動きを把握することはできません。 仮に電子の位置を装置で測定できるとしても、 測定という影響を与えた以上、何もしなかったときの値にはならないからです。 軌道上の電子を測定する場合、その要素は位置と運動量のふたつですが、 一方を精密に測定すればするほど、他方の精度が落ちてしまうのです。 このような定理のことを【不確定性原理】と呼びます。 20世紀半ばの物理学においては、 『因果関係を元に未来を予測する』という理想は放棄されたといえます。 (現在は未来の【確率】だけは予想できるとされています) しかし、仮に未来のことを予測できないとしても 『決定論的に未来は決まっている』という主張を否定することはできません。 次回はそんな決定論に決定的な疑問を投げかけた 【創発】という概念について触れたいと思います。
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