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FOXニュース、20世紀FOX……ところで「FOX」の由来は? もし創業者名なら「フォックスさんて どんな人ぉ❔」

2020年11月22日 | 日記


世のなかには、ときどき「毎日のように言いふらされてるのに、ほとんど誰も意味を知らない言葉」が出現する。

きょうは「そんな知られざる言葉」の中から1語、『FOX』の謎に迫りたい。最近、トランプさんが喧嘩してる「FOXチャンネル」やら、洋画の配給大手だけどディズニーさんに買収されてしまった「20世紀FOX」のFOX、に関してである。なぜFOXか。実は、100%ワカってる人はほとんどいない。米国人ですら、である。大きく三段階に、その理解度を深掘りしつつ調べていこう。
 
 
【知ってるレベル1】 "FOX"とは、20世紀前半のユダヤ系実業家にして興業王、ウィリアム・フォックスの名から採った。



たいたいの人が(知らずとも)憶測できる通り、FOXとはFOX映画会社を1915年に設立した創業者の「フォックスさん」の名が冠されたモノである。ハンガリー(当時のオーストリア=ハンガリー帝国)で生まれ、生後9カ月で両親とアメリカに渡ったユダヤ系ドイツ人。 暦で言うと1879年1月1日 - 1952年5月8日(73歳没)の生涯を生きた。

ソーダ水の行商から衣服販売店を興し、鍛(きた)え上げた巧みな話術で大勢の出資者を集めて映画会社をつくり、大型映写機、大型スクリーンでオペラ観劇のように大衆を集めるエンタメ空間『FOXシアター』を建てる手法が大当たり。一代でゼロから巨万の富を築いた。(従来のトーキー映画みたく)芝居小屋みたいな小空間に少人数を詰め込むのでなく、もっと効率的で開放的、言うなれば社交ホール的な"映画館"を初めて創出した『20世紀型ムービーカルチャー』の開祖、とでも言えようか。

1920~30年代には全米各地に大型劇場『FOXシアター』を建造……自らが
手がけたFOX新作の“旗艦ロードショー館”としてイベント性=集客力を高めた


【知ってるレベル2】 ところで興業王の姓名は、本来なら"FOX"ではない。
 
氏の本名はハンガリー語で「ヴィルモシュ・フリート」と言った。ファーストネームの「ヴィルモシュ」は洗礼名。「勇ましき兜(かぶと) Willing Helmet」が原義で、英語で言う「ウィリアム」に相当。

だから名前は(英語に翻訳しただけの)“準”本名なのだが、姓の方は丸っきり違ってる。本名のまま「フリート」を(ハンガリー語から)米国イングリッシュ流に言い換えたって「フリード(またはフリードマン)」にしか変わらず、“FOX(キツネ)”なんて語の飛び出す余地はない。なぜ彼は成人後、商売を始めるに当たって自分の姓を「フォックス」と改めたのだろう?

その行動の裏には、閉鎖的なユダヤ人家庭における厳格な家父長制と、新教徒の拓いた「自由な米国社会」との間のギャップが潜んでいた。まだ赤子だった氏を米国に連れ立った父親は敬虔なユダヤ教徒で、アシュケナジム (ユダヤ系ドイツ人)の社会階層のなかでも「高尚な家系」の出であり、そのプライドで日々を生きるような旧世代人だった。

当然、米国に移ったのちも「守り続けた伝統の気風」を長男の“ヴィルモシュ(=ウィリアム)”に受け継がせようと、世が世ならパワハラまがいの厳格教育に心血を注いでた。家訓を破ったり怠けたら、容赦ない体罰。自由闊達(かったつ)な発想や夢を好む息子は成長とともに、そんな父親の存在自体がオゾましく醜い障壁にしか思えなくなっていった……。


【知ってるレベル3】 "FOX"と改姓したのは実父との確執ゆえ。「常に心は貧しき側に立ち、大衆を旧い柵(しがらみ)から解き放ちたい」との決意から

彼の両親は近代以前の世代なので、そもそも夫婦の間にすら「身分の格差」があった。それは二人の背負うユダヤ姓にもハッキリ見てとることができた。

と言うのも。

かつてユダヤの平民が「職業や住所に基づく仮のあだ名でなく」社会全体から公認される(王侯部族のように特定の)姓名を持っても良い、とされたとき……ドイツじゃ(だからといって)姓を勝手に名乗り出すことは許されなかった。あくまで「ユダヤ元締めの用意した”姓の価格リスト一覧”から、望む姓を(名乗りたりゃ)買い取りなさい」と定められた。

…など記すと「おいおいおい たかが個人ブログだからって、糞フェイクな持論をバラ撒くんじゃねえ」と訝る読者も居よう。なので素性の明らかな出典を併記しとく↓ 近代以降に入っても徒弟制度の揺るがなかったドイツ周辺では、ユダヤ系コミューンにおいても(経済力による身分制を敷くべく)氏名の売買が厳格に行われてた。
> http://www1.s-cat.ne.jp/0123/Jew_ronkou/various/yudayajin_namae.html

上述のムラ社会が律した「価格リスト」において一番高価だったのが、一族の末永き平穏や隆盛を願っての「有難そうでラッキー🎵な意味合いを持つ姓」の数々。

ウィリアムの"代々のユダヤ名家たる"父の家系は その典型例のひとつ=「平和(ソロモン)」を意味するドイツ語『フリード』→ハンガリー発音『フリート』を購入していた。

片や、嫁入りした実母の旧姓『フックス(動物の一般名称キツネ、の意)』は二束三文の“百均プライス”で叩き売られてた「貧民ご用達の“格安”苗字のひとつ」に過ぎない。そんな屈辱的な姓を実家の親兄弟に負わされたウィリアムの母親は、食べるのに困らない日々を得るのと見返りに、暗に、夫への終生の絶対服従を課せられて嫁入りした“奴隷”も同然なのであった。

そんな欺瞞に満ちた"夫婦"の下に生を享けてしまった「根のやさしい」子供なら先々、どうなるだろう。父と母の限りなく不平等な日常生活を来る日も来る日も間近に見るにつけ(たとえ自身は女性より優位と祀られる男子の身であったとしても)高慢キワまる父の傍若無人ぶりを呪い、ただただ忍従にのみ明け暮れる母の境遇を不憫がらぬハズがない❕ のだった。


かくて自分が念願の❕ 成人を果たし、人生の宿敵たる実の父親が老いさばらえると……彼は待ちかねたように(狭いユダヤ人社会でだけ羨望と妬みの的にされる)己の「フリード(フリート)」姓を棄て去り、母親の旧姓「フォックス(フックス)」を掲げるべく改姓の手続きに出たのだった。

それはもう、「この俺は映画と映画館の名において、蔑みの姓"FOX”に永遠の免罪と敬意を轟かせてやる❕❕  金輪際(こんりんざい)、親父のようなエセ文化人、エセ識者を気取った"人間のクズども"ごときに、俺たちピュアで、下層な路上に生きる愛すべき民衆の自由と幸福を搾(しぼ)り盗られてなるものか」という、父子間リベンジ半分の宣戦布告にも似た決意の表明だった。

まさに、人間「ウィリアム・フォックス誕生、魂を懸けた"世直しへの大反攻"開始の瞬間だった─── 。


◆  ◆  ◆  ◆  ◆


最後に、このような由来で「20世紀FOX」の社名に名を残していたFOXであるが、同社がディズニーに買収されたのちも当面「FOXコーポレーション」と名を繋(つな)いだものの、近い将来「社名や映像ロゴからFOXの名を消す」とも表明されてしまった。

そも、ウォルトディズニーという(今や押しも押されぬ天下逸品の)巨大企業にしてからが、ウィリアム・フォックスよりひと回り若かったディズニーという映像プロデュース界のビッグネームを冠してるワケで……「ひとつに集約されるべき"グループ企業イメージ"の要素に、二つの顔があっちゃ💧先々までヨロシくない❕」と言う判断なのであろう。

それは(親会社サイドの経営判断にしたら)当然の帰結だが、以上みてきたような想いで「あえて理不尽に蔑まれてた“FOX”姓を旗印に20世紀の世界を驚かせ、一抹の汚れでも清めたい」と自らが改姓。誤った世界の改革に挑んだ故ウィリアムが知ったとしたら……さぞかし無念を覚え、寂しがるだろうなァ。
=了=

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