すんけい ぶろぐ

雑感や書評など

テリー・ジョージ「ホテル・ルワンダ」

2006-02-19 08:37:40 | 映画評
時間が解決するさ…………と言って逃げたい


東京に出張。一泊二日。
が、用事が初日で済んでしまう。
しかも、切符が企画もので、ホテルのキャンセルも、電車の時間変更もできない。
どうやら泊まった方が安い。

で、一泊。
が、二日目にすることがない。

しょーがないので、映画を見て時間をつぶすことにする。
「せっかく東京に来ているので、東京でしか見れないよう映画にしよう」ということで、有楽町のビックカメラで上映されている「ホテル・ルワンダ」を選ぶ。(公式ホームページは、こちら。)

することもないので、開館前から並びました。

列には、僕のようなネクタイ・スーツ姿の人間は皆無。
さながら「営業をさぼっている営業マン」か、「リストラされたことを家族に告げることのできないサラリーマン」という感じ。

うむ、それもまたヨシ。


さて「ホテル・ルワンダ」。
その日本公開までの紆余曲折については、こちらをどうぞ。

「まぁどうなんだろうでねぇ~。社会派に受けるような小難しいもので、主張は正しいし、つくりも真面目だから、賞もあげなきゃなぁ~で評判になったのか?」と大して期待せずに見たのですが……………、現在は、まだ二月半ばですが、はっきり言って、僕の中では今年一番の作品になると思います。

なにがすごいって、民族浄化というハードなモチーフでありながら、娯楽作品としての完成度が高い。
隙間無くイベントが起こり、巧みに泣き所を配置し、うまーく音楽で盛り上げる(そんなわけで、この物語は、けっこう脚色されているんじゃないかな?)。

もうもう映画館なのに、恥ずかしながら涙が止まらず、でした(いい年したオッサンなのに)。

たしかに「お涙ちょうだい」にはなっているけれども、けっしてスノッブにはならず、ルワンダでの悲劇を貶めることも、茶化すこともないし、妙に神聖化して、見ている方を引かせることない。
主人公と、その家族の危機を心配しているうちに、憎悪の連鎖の恐ろしさを自然と感じることができる映画になっています。


ちょっと引っかかったところでは、「だから先進国(≒白人)の武力介入は必要なんだ!」というメッセージを読み取ることが可能なところ。
製作者としては、そんな文章を入れたつもりはないのかもしれないけれども、そいう解釈することはできるようになっています。

この物語のように、問題(二つの民族の対立)が植民地支配に端を発しているのだとすると、どんな手段・組織にしろ、他国の軍隊の介入は、一時的な平穏を得ることはできても、結局は事態の複雑化・深刻化を招くだけじゃないのかねぇ……………。

「じゃ、眼前に起きている理不尽な暴力に対して、解決する手段を有しておりながら、あなたは理想論を振りかざして非暴力をつらぬくの? それって逃げているだけ、つまりは無責任じゃない?」
と言われると、また、反論できなかったりするよな。

そもそも911事件だって、先進国がアフガンを放置しておいた報いだし。

……………でも、アフガンだって、米ソの冷戦の代理戦争が発端で、あんな状態になっちゃったんだから、やっぱり他国がちょっかいを出すのは碌なことにならんような気がするんだが。

が、一方で、たとえ偽善や打算による軍事介入であっても、そこで救える命があるのも、事実だったりすんだよなぁ……………。

論理がグルグルわまわる~。
結論は絶対にでるこはない~。
難しいね~。