いっけなーい、不足、不足!

2018-12-13 12:55:53 | 生活

 

 

 

 

 

某クソアニメみたいな題名で始めてみましたが、今回は「12世紀ルネサンス」の流れで異文化交流、というか移民の件でも話そうかと思います。

 

「日本の経済成長は無理」という意見が出て論争になったり炎上したりしているが、社会の実態を見ればわかる通り、もはや現状維持すら困難な状況になっているのは明らかである(成長しないことを肯定する発言に対して、「いやいや色々問題が生じるんだぜ」と噛みつくのはまあわかるが)。

 

たとえば『地方消滅』が出版されたのはもう4年以上前だが、全県を旅した実感としても、これは納得できる。たとえば、商業施設もないただの田舎というのなら「昔のまま」で話は終わるかもしれないが、かつて色々な店が入っていたであろう建物が無人化したまま林立している「死の町」も様々見てきた(稚内、青森etc)。これは各所で衰退が始まっていることの傍証だろう。

 

そんなんお前の個人的な体験やんと思うなら、他にも空き家率上昇、人手不足、人口動態(超高齢化社会確実ってーか2020年に女性の半分は50才以上!)、といくらでも数字的なエビデンスはあるわけで、ここまで来て「いやまだ大丈夫」とか「漠然とした不安にすぎない」程度のもので終わっているなら、それはもはやただの否認である(まあ沈む沈む言ってると資本主義ってのはより一層回らなくなるんで、嘘でも「いけまっせー」言うとかんともっとヤバくなると思ってる連中もいるかもしれん。でも、なんかその流れって大本営発表ぽくね?と思うのは私だけですかね)。

 

まあこうして問題が同時多発的に起こっていて、もはやこれまでのシステムじゃ立ち行かねーべとなっているが、全体として見た場合、変化は遅々として進んでない。むしろ、女子の医学部入試操作に見られるように、旧来のシステムを維持しようとして変化の足を引っ張ってさえいる者たちが散見される有様なわけだ(これも、業界内の人間としては「合理的適応」であることを指摘しておく必要がある。まあもっとも、昔なら国公立大の点数開示すらなかったのではあるが。そういう「情報公開の問題」については近いうち別で書きたい)。 

 

とはいえ、動画内で宮台が言及している日本の地縁主義(血縁よりも近似性=日常の慣れ親しみを重視する)が実際日本で一般的なのだとしたら、時に言われる「変わるのが苦手な日本人」というのはかなりの程度的を射ていることになるだろう。なぜなら、変わるということは「慣れ親しみを捨てる・そこから離れる」ということに他ならないのだから(わかりにくい人は、慣れ親しみ=ライナスの毛布とでも考えていただければ)。

 

こう考えると、今回の入管法通過って結果的にかもしれんがまあ上手いことやりおったなあ(注:褒めてません)と感じられる。つまり、

1.地方の漁業・農家やコンビニを典型として、人手が足りない

2.賃金や待遇を改善するのは無理ゲー(というか雇う側・会社側とした避けたい)

3.移民は入れたくない(というか入れますと言うと世論にボコられる)

こういうわけで、「移民ではない」外国人労働者が多数日本で働いているという状況を作り、10年後には「もう現状いっぱい外国人いるから無理っすね~」と言い、大戦のときと同じで「今さらやめられない」「今さら変えられない」空気を醸成して世論を無理やり納得させる作戦ではないかと。

 

と偉そうに言ったが、ここまでは動画で宮台真司が指摘している内容w
ここで私が一つ気になるのが、たとえば銀行やドコモなどが打ち出している従業員大量削減である。これはAIの発達などによって人手を減らせることを見越しての方針と言われているが、要するに技術の発達により今の人手不足は解消される部分がある、ということだ(これは単に事務受付だけでなく、ドローンによる測量など肉体を使った労働も含まれる)。つまり、10年・20年経つと、一時的に人手不足が叫ばれていたところに技術が追い付き、今度は人余りになったり、「日本人で十分足りる」状況が作れる可能性がある(もっとも、それを見通すことは容易ではないのか、そういった予測が公表されているケースを、少なくとも私は見たことがない)。

 

この段になると、外国人労働者は「不要」になるが、正式な移民として受け入れていると、追い返すのは様々な人権問題となる可能性が高い。だから、年限を切った「移民ではない外国人労働者」としておき、技術が発達して人員過剰になりそうなら、粛々とお帰りいただく。一方で技術の発達が追い付かず、将来的に(しばらく?長期的に?)人手不足が解消しないならば、そのままシステムを継続し、安い労働力として使い続けよう・・・とこのような二枚腰の発想をしているのではないかと予測するがどうだろうか。

 

これで一部の人は「なるほどそんな深謀遠慮(?)があったのか!」と考えるかもしれないが、私が思うにこれは絵に描いた餅になる可能性が結構高い。

1.政府は人工知能の開発とかにどれだけ援助してんの?むしろ助成金とか減ってない??

日本人の論文引用本数が下がってきていることは数字から明らかだが、先日の赤ん坊の遺伝子操作のごとく「結構何でもやれてしまう」中国に先を越されるのは、もはや時間の問題だと思うのだが(まあすでに色々なとこで負けてるけど)。

そして、中国であれ欧米であれ、開発の先を越されてしまうと、今のPCのOS(Windows/Mac)や携帯(iphone/Android)が典型だが、土台になるのは海外製品で日本はただの部品作成下請け工場になるって可能性が高い。まあそれでも結局海外から技術を買えばいいんじゃね?という話にはなるが、そのコストはいかばかりでしょうかね?これに関しては、日本政府がこれまでの反省と暗雲立ち込める将来を踏まえ、死力を尽くして人工知能の開発をバックアップしてるように見えないのがえらく気になる。ま、(全員じゃないにしても)今を逃げ切ればいいやと思ってる連中がいっぱいいる可能性は高いけどね(・∀・)

2.そもそも日本に労働者はずっと来続けてくれるの?

「外国人技能実習制度」の悪評はどんどん広まっていくだろう。この情報化時代であればそのシェアは難しくなく、すると日本のコンテンツが好きな人であっても、「日本社会はカス」とみなして来なくなるだろうし、まして(日本が大して好きではなくても)日本で稼ごうと思っている人はなおさら減るであろう。

加えて、中国人の人件費高騰がある。中国の急速な発展は言うまでもないことだが、それは結果として国内の人件費高騰を招いている。だから今では、中国都市部の工場で作っていたものを四川省のような田舎で作ったり、あるいは外国のミャンマーで作ったり、ということが起き始めている(「起き始めている」と書いたが、中国の工場でフィギュアを作っている希有馬屋の本によると、5年以上前からそういう現象は始まっていたようだ)。この流れはよほどの政治的・経済的アクシデント(それこそ前に書いたような共産党政府が倒されるとかね)でも起きない限り不可逆で、すると安い労働力を大量に必要とする中国は、その経済力と剛腕にものを言わせてアジアの労働力をかっさらっていくだろう。

さて、経済的に落ち目で賃金が安く労働環境としては劣悪な日本、経済的に上昇傾向で賃金も上昇していく中国、どちらをアジアの労働者たちは選ぶのか?

こう考えるだけでも、「まあ日本はアジアで一番の国だから、外国人労働者はこぞってやって来るんでむしろそれをどう止めるかで困ってるんだよね~w」的なバブル期左団扇感覚が未だ抜けない感じでいると、5年後10年後に手痛いしっぺ返しをくらうことは十分にありえるだろう(「愛しのアイリーン」でも見て目ぇ覚ませや、という感じ)。 

 

というわけで、強引に通過させた入管法の背景に色々な計算があったとしても、日本の窮状はそうそう変わらんだろーねと思うムッカーでありました。

 

え?じゃあ対策どうするのかって??「二次大戦に敗けた時みたいに現実を徹底的に突き付けられること」かな。たとえば労働環境は、電通の過労死で大きく潮目が変わったけれども、なお各所にブラック企業がはびこってはいるわけで。だから、地方もいくつか「消滅」しないと無理だろうし、労働力不足についても会社がガンガン潰れないと無理で、日本の人質司法についても、ゴーン逮捕が失敗に終わったらようやく外圧で何か変わるかもね、という感じである。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 解決策は卍丸 | トップ | プチエンジェル事件再び!? »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

生活」カテゴリの最新記事