検察庁法改正の状況整理:陸山会事件と田代調書も含めて

2020-05-18 11:00:00 | 歴史系

 

5/15に「『検察庁法改正案論争』という現象」を書いた。これはあえて突き放した表題にした上で論点整理と、その上で内閣(行政府)の不自然な動きについて述べた。その翌日には神保哲夫と宮台真司のvideonewscomが5/16にわかりやすく状況を整理した動画を出してくれたようなので、参考として掲載しておきたい。

 

これを踏まえれば、改めて繰り返すなら、検察庁の独立性に問題がある事(その典型例が陸山会事件だったわけだが)と、内閣が介入する法改正を拙速に行うことの合理性を一緒くたにするのはミスリーディングだとの結論になるだろう。なお、陸山会事件と田代調書に関する解説はこちら。

 

 

 

さて、私はコロナ禍がその前の外交戦略失敗から繋がっている半分「人災」だと述べ、現政権を生き長らえさせるのは止めるべきだと書いた(まあとはいえ、今の野党勢力に政権渡してもねえということで前掲のような書き方をしたわけだが)。

 

そこでは控えたが、政権交代をした際には、安倍政権で溜まりに溜まった「膿」が一気に出てくる可能性は十分ある。それらの扱いに失敗すれば、むしろ新政権の汚点として処理されてしまうことも想定しておくべきだ(何をバカなと思われるかもしれないが、例えば今の萩生田文部科学大臣が英語の認定試験に関する発言で炎上して延期となった件を想起されたい。あれはそもそも現大臣の問題ではなく前々から動いていた話なのに、ともすれば認定試験に関する不満を全て現大臣の「やらかし」としてフォーカスしかねない状況だった。背景を調べることもクロスレビューをすることもしない近視眼的な世論というのはその程度のものであって、それを踏まえて政治的行動を選定すべきだということである)。

 

その意味では、今回の検察庁法改正と次の検事総長の人事はポスト安倍政権の運営にも大きく関わってくる極めて重要な案件と言えるように思う。

 

最後になるが、そもそも日本人の法意識自体に問題がある、という点は川島武宜の『日本人の法意識』、検察庁の成り立ちについては倉山満『検察庁の近現代史』代用監獄制度については「それでもボクはやってない」などを参照されたい。


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