Papers,Please:ある種の「アイヒマンRTA」ゲーム

2021-10-22 11:12:12 | ゲームよろず

 

アルストツカに栄光あれーー(混ざってる)!!ガバ審査でたくさんの危険人物を入国させた希望者を入れてあげた鬼がこちらにいると聞いてきたのですが。

 

え、牢屋行き!?そんなん聞いとらんかった余( ̄▽ ̄;)なあ通してくれよ、国で母ちゃんが困ってて稼がなきゃなんねーんだ余・・・

 

というわけで、ホロライブが誇る「かわ余」こと百鬼あやめによるPapers,Pleaseというゲーム実況動画でございますよと。内容としては入国管理官となって適切に入国・拘束などを行いながら家族を養っていくのだけど、お嬢が危険人物をモリモリ入れまくることと言ったら・・・もう、ポンコツなんだからwコメント欄に「受付嬢としては120点」とあったけど、あまりに適切すぎて笑っちまいましたわ(・∀・)

 

まあ書類の色々な部分を見ながら、発言との不一致にも気を付ける、というマルチタスク型のゲームなので、Among usやワードウルフのような、生身の人間だからこそ起こる発言の微妙の揺らぎみたいなのを察知するのとは勝手が違うんじゃろうなあ。

 

ちなみにコロナ副反応でお休みしてる間に

 

 

天開司の実況もフルで見やした。
飲み込みが速い上に、貯えがヤバいとなったら迷わず家族の暖房費や食費を(死なない程度に)削るあたりのゲーム慣れ、そして怪しげなところをスピーディーかつ正確に見抜く事務処理能力の高さ、しかしある種の人物には人間味ある対応というか「見せ場」も作るお手本のような配信だったと感じやした。

 

ところでこのゲーム、一見するとただ書類や発言を確認しながら入国の可否を決めるだけのゲームに見せかけてそうではない。苦しい生活で家族が飢えたり病気になったりする(薬代も引かれるし普通に死ぬ)ことで入国希望者をスピーディーにさばかないと生活が維持できないという緊張感、テロや外交的配慮によって日々変化する入国の書類や審査基準(振り回される現場の悲哀・・・)。

 

これらにより、ノルマもないしただの作業ゲーだろと思わせといて、巧みな緊張感の演出により精神的に追い詰められた状態で審査を行わなければならない、という作りは非常に上手いなと思った(こういう状況だからこそ、賄賂も効いてくる。必死にその日暮らしをしている中、これをもって安泰だと思ったらシュタージュKGBよろしく密告で奈落の底に真っ逆さまとか、まんま共産主義国じゃあないですかぁ!という「味」な展開だ)。

 

もちろん、これはあくまでフィクション内の出来事ではあるけれど、こうして肉体的・精神的両面で追い詰められる中、徐々に人の入国を「処理」する「歯車」になっていくゲームという意味では、「凡庸なる悪」になる追体験、つまり「アイヒマンRTA」もしくは「アイヒマン追体験ゲーム」と言えるかもしれない(まあアイヒマンは作中のような下っ端官吏ではないけど。ちなみに視野狭窄した世界のみを描いてその閉塞感を追体験させるというのは、ずっと戦車の中しか描かれない「レバノン」そもそも視点すら定まらない「サウルの息子」といった映画にもみられる手法)。まあ入国管理官に限らず、事務受付でも接客業でも(会員制でもない限り)対応する相手は「マス」であり、どうしてもそこには作業的な側面は出てくるんだけどね。

 

割と少なくない人が、人間って追い詰められても人間性をそのまま持ち続けられると思っているけど、拷問でよくある不眠状態とか、あるいは家族を人質に取られる(「稼がなきゃ死ぬ」は実質そういう状態)とかになったら、結構容易におかしくなるからねえ(おかしくなりやすい「柔らかい部分」と、比較的耐性のある「硬い部分」は人によって多少違うにしても)。たいていの人間は、それを追体験してみなければ容易にはわからないのに、わかると思い込んでおり、何だったら「そういう状況でも今と同じように振舞える」と臆面もなく思っていたりする。

 

こういうゲームをやることで、そういった思い込みがある種相対化され、以前『夜と霧』に関連して述べた、「収容所では残虐な官吏が、家庭では温かい人間でありうる」ということ、つまりは「立場や環境が人を作り上げる」ということを考える契機にもなるんでねーかな?と感じた次第である。

 

え?そんなん考えすぎやろって?確かに、食費も暖房費も切り詰めてるから、ちょっと最近体調おかしくなってるのが影響しとるのかも( 。∀ ゜)連続企画の第三弾も書き終わったことだし、ちょっと怪しい仮面のヤツに金をせびりに行ってくるわ。

 

アルストツカに栄光あr


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