ブギーポップの時代:閉鎖空間、アダルトチルドレン、セカイ系

2019-01-04 11:45:59 | レビュー系

 

「ブギーポップは笑わない」が再アニメ化されるらしい(てか今日から始まるみたいw)。PVを見て(少なくとも記憶にない能力を使う人物が出てくるため)オリジナルストーリーか?と思ったが、登場人物をぱっと見ると最初の「笑わない」と2作目の「VSイマジネーター」あたりがメインのようだ(てかエコーズって原作の挿絵からすると短髪やなかったっけ??)。

 

この作品との馴れ初めはだいぶ前に書いてるので省略するとして、「ブギーポップ」シリーズは今でも心のどこかで引っかかっていたりする。理由は3つあって、1つは「これが受容された環境はどのようなものか?」、2つ目は「この作品の影響とはどのようなものか?」、そして3つ目は「東浩紀が対談の中でブギーポップの映像化は失敗だったと言ってたが、あれはどういうことなのか?」。

 

とはいえ、もう小説の方も「ジンクス・ショップ」「ロスト・メビウス」で止まっているし、読み返してもいない。また東浩紀の発言にしてからが、「対談ってことはあの本の中だろう」と予測もしながら確認すらしてない・・・という状況でずーっと放置してきた状態でもあった(ので、東の発言が実写版の話なのかアニメ版の話なのか、それとも両方を指すのかすらはっきり覚えてない)。

 

まあそんなわけで、なんか宿題やり忘れてる気がすんな~(*‘ω‘ *)くらいに思っていたところで再アニメ化とあれば、この機会を逃すわけもなし(・∀・)!ということでおよそ15年越しの調査を開始してみようと思う次第であります。

 

しかしまあPV見ると、アニメ版の「ブギーポップ ファントム」の時も思ったが、めちゃめちゃlainっぽいよな(色調は圧倒的に前者の方が暗いけど)。いや、わざわざ分裂病を連想させる本の題名を見せているくらいだから、Laingを明確に意識はしてるんだろう。

 

まあそこから思い付きを垂れ流すなら、次のようになるかもしれない。
1995~1996年の「エヴァンゲリオン」によるアダルトチルドレンの認知の広がりから、「本当の自分はどこにあるのか?」との問いの裏表にある「どこかにある本当の自分」という観念・妄執が生まれる。これが1995年の阪神・淡路大震災地下鉄サリン事件によって醸成された行き場のない世紀末感と混淆し、90年代後半の空気感を作り上げていた。その典型的な顕れの一つがlainという作品であり、それをファンタジー的に継承したのがブギーポップで、それゆえ当時はまだその言葉すらない「セカイ系」の走りとして様々な人に影響を与えた、と(しばしばそこには、家庭や学校という「閉鎖空間で要求されるワタシ」と「それに耐えられなくて生み出される狂気」というモチーフが登場する点にも注目したい。その意味で言えば、1993~1994年の「リバーズ・エッジ」1996年の「雫」もまた先駆的作品の一つであり、ゆえに今もカルト的人気を誇っているのではないかと考えられる。ちなみに閉鎖空間が描かれるがゆえに、「リバーズ・エッジ」では「宝物」を隠したある場所が、そして「雫」では瑠璃子と出会う屋上が、それぞれ開放される空間として描写される)。

 

・・・てな感じで。 まあこっから「セカイ系ではありつつも、現実ではコンサマトリーで夢を見ない平凡志向のゼロ年代」→「東日本大震災やらで、もはや平凡すらが甘い夢でしかないと突き付けられた10年代」・・・というまとめもできるかもしれんが、まあそこは先走らずに、まずはブギーポップの新アニメを堪能することとしたい(ちなみに経済的発展によって隠蔽されてたものが経済的衰退によって顕在化しただけ、的な話は「秋の日は釣瓶落とし」「愛しのアイリーン」に絡めてここでも書いている)。


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2 コメント

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Unknown (Unknown)
2019-01-04 23:42:00
まったく関係ないですけど、蜘蛛娘があざとくかわいいです。https://www.youtube.com/watch?v=UGa8eReR_ns
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Unknown (ムッカー)
2019-01-05 23:06:05
コメントありがとうございます。

なるほど、確かにかわいいですね。ヤンデレっぽい雰囲気もありながら、天然なのか健気なのかよーわからん・・・だがそこがいい!(・∀・)

という感じでしょうか。
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