フラグメント231:「本能」よりも「立場」が違いを生む

2020-04-24 11:50:18 | フラグメント
それぞれ違う話題を扱っているように見えるかもしれないが、両方には「交換可能性」というテーマが共通している。
 
 
 
〈無題〉 2018/11/18
 
稼ぎの件。子育ての苦悩の記事。町山智浩(アメリカに行って自分に仕事がなかった頃の話)。ジェーン・スー
 
言説の交換可能性がおもしろい。それは「本能」ではなく、「立場の違い」に過ぎないんじゃないか。少なくとも、本能的差異と思っていたものの多くが、実は立場の差異に過ぎないというケースが多々あるように思えてくる(ちなみにここで、無理やり「全てを同じである」ことにしようとするのも、等しく欺瞞である。男性の中でも、女性の中でも多様性があるのに、どうして男性と女性は全く同じということになるのか)。
 
『ヒヤマケンタロウの妊娠』じゃないが、この作品での交代劇を読んでいると、夫が妻にかけていた言葉が鏡像として見るとどんなものとして響くか、多少なりとも我が事として理解しやすい(自分の母親の件。働きたかった。面倒を見ろと言われたのだろう。キッチンドランカー的になっていた時期?)。
 
あと、意味もなく理想化しないことの大切さ。イクメンや同性婚。歪みの解消や権利、自由の拡大としては必要。というのも、その「流行」に乗っていたずらにもてはやすと、破綻する事例が出た時、ほれ見たことかと叩きの対象、落胆の原因になる。結婚した人々の1/3が離婚するのである。どうして「同性婚は破綻はしない」なんてことがあろうか?「専業主婦がやってられない」という人たちがいる。どうして逆、つまり「専業主夫をやめたくなった人」はいないと思うのか。要するに、兼好法師と同じ過ちを犯しているのだ。勝手に理想化して祭り上げるな。彼らは彼らなりの魂の唄に従って生きている、それだけのことだ。
 
 
 
〈無題〉 2018/11/20
 
生活保護叩きの論理的正当性の欠落。不正受給の割合の低さ・受給率自体の低さを無視。パナマ文書やパラダイス文書については、なぜ怒り狂わないのか?納税回避の「被害額」を考えれば、怒髪天を突くのが当然であろう。金額的に考えて、国家や社会の損失は比べ物にならないのだから。生活保護についてあれだけ憤慨するのだから、稲沼の刑にしようとしてもおかしくない。そうでなくても、「日の当たるところを歩けなくしてやる」、くらいになぜ怒らない?
 
法律には違反してないから?だったら生活保護もそうやろ。そこに違和感。筋が通らない。弱者叩きしたいだけなんじゃね?要するに「お前ら楽しやがって許さん!」てことでしょ?だって国の財政への負担にとなる、とか言ってるなら、しかるべき義務を逃れてる連中も同じじゃん。だとしたら、浅ましいグズそのもの。
 
「自分の金だから別にいいじゃねーか」って?社会の仕組みに無知すぎじゃねーかな?要するにリバタリアンてこと?それならわかる。その上で、今の国民皆保険やといった国家主導の福祉に反対し、かつてのアメリカのように民間の保険会社で基本的にまかなうようにせよ、というのであれば筋は通っている。しかし、そんな言説は日本でほとんど聞いたことがない。
 
つまり、他人の権利は否定しながら、己の権利は当然のように肯定されると思っているのだ。しかも、社会の仕組みについても無知である(というかシステムへの無知と、一般化して考えられないことが根本原因だろう)。これが愚かな偽善者=社会的害悪でなくて何なのだろうか?
 
生活保護についても、タックスヘイブンについても、現行のシステムが全く正しいなんてことはありえない。問題があるならそれをどう調整するかを考えるのが社会的思考なんでは?そういう視点が全く欠落して国家ガ―とか社会ガ―とか言ってるのは単に自分の不全感を大きなもので糊塗してるだけだろう(だから例えば、国内の高額納税者は大事にすべきだ。嫉妬で叩くのではなく、「持ち上げて」気持ちよく納税していただく。そんなにノウゼイしてくれたんすか!?キフしてくれたんすか!!そこに痺れる憧れるっ!的なねw前澤某。メンドクセー国だなとか思わせるのは愚の骨頂)。
 
こいつらが、これからAIの発達の中で失職したり、超高齢化社会の中で不要な存在(=自裁すべき者)と烙印を押された時、それまでの言説をひるがえすのか、それとも蓑田のように己の言説に殉じて死ぬのか、まあ見てみようじゃあないか、と言いたいところだが、その結果として社会問題が放置されて自分にも悪影響が及ぶのはごめん被りたいので、批判「せざるをえない」のである。

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