近着の学士会会報950号に,人類学者で北海道大学大学院准教授の山口未花子さんが書いた,面白い記事が載っていた。
山口さんは,学生に「この1週間で動物に触れた人は?」と問う。数人が,ペットに触れたと答える。次に,「この1週間で肉を食べた人は?」と訊くと,ほとんどの学生が,食べたと答える。これはある意味で意地悪な質問だが,学生だけでなく,ほとんどすべての都市生活者は,食物の肉が動物に由来することを意識しない例証だと,山口さんは言う。
狩猟採集時代には,ヒトは狩りの獲物を自分でさばき,食物や毛皮とした。狩りに参加しないものも,それを見て承知している。
山口さんがフィールドワークの対象としている,カナダ・ユーコン地区の先住民もそうである。彼らにとって肉や皮は動物からの贈り物である。贈り物であるから,売り買いすることはしない。お裾分けで分配する。そして,贈り物へのお礼の儀式を行う。こうして,食物の贈り主の動植物と心を通わせる。
現代の都市生活では,贈り主とそれに与るものとの間は分断されている。しかし,人類の歴史の99%以上は,狩猟採集時代に占められていて,われわれには狩猟採集へ適応する素質が備えられているのではないか。都市生活にあっても,食べ物が元はどのように生きていたものからくるのかを思い起こし,動物との関係を見つめ直すことが必要ではないか。山口さんはこう指摘している。
前に書いたことだが,ガーナのカカオ生産農民は,チョコレートを知らないそうだ。これは,上に述べたことと裏腹の現象である。食べ物が何/何処からどのようにして来たのかを意識することは,とても大切なことだと,わたしは考える。
私の周りには、畑は少しだけありますが、田んぼは、全くなくなりました。
いる事を意識・感謝しなければなりませんね。現在迄
全く無意識であった自分に気が付きました。
羽花山人さんの「ブログ」を通し、多くの事を学び
心打たれる事に感謝です。