コカリナコンサートには欠かせないボーカリスト,矢口周美さんの「うたコンサート」が昨日開かれた。ちょっと迷ったが,東京都,千葉県の両知事のお目こぼしを願い,二つの県境をまたいで,思い切って参加した。
不織布のマスクをもう一枚で覆う二重マスクをつけ,常磐線の往復はグリーン車を奮発し,駅で降りるたびにトイレで手洗いをした。東京,四谷間の中央線が怖かったが,幸いにも優先席に一人で座ることができた。
会場の紀尾井会館は,徹底したコロナ感染対策で,一つ置きの座席はほぼ満席になった。聴衆の大部分はコカリナ愛好家で,会場にはファミリア―な雰囲気が流れていた。
夫君のコカリナ奏者,黒坂黒太郎氏を従えて登場した周美さんは,先ず『上を向いて歩こう』,『夜明けの歌』と馴染みやすい曲で,たちまち歌の世界にわたしをいざなってくれた。
後半には,コカリナ協会公認講師によるアンサンブルが登場し,舞台を盛り上げた。中でも,パブロ・カザルスが編曲し,国連総会で演奏して世界を魅了した,カタロニア地方のクリスマスキャロル,『鳥の歌』は圧巻だった。低音のバスコカリナのメロディーのユニゾンに始まり,その和音をバックに黒坂氏の奏でるソプラノコカリナをまじえた,周美さんの歌声はいつにも増して素晴らしかった。
最後の曲は周美さん十八番の『一本の木』。普段なら聴衆も和して歌うのだが,コロナ感染予防で声は出さず,周美さんに合わせて,出来る人は手話で和していた。
周美さんの笑顔に見送られて会場を出た。頬に当たる風は秋風だった。
至福の時間でしたね。最後に一同で歌う事が出来なかった事は残念でしたね。