冷 蔵 庫
冷蔵庫が氷を作らなくなった。
これまでにも何回かそんなことがあり、数日にして回復していたが、今回は10日以上続いて、とうとう製氷室の氷がなくなり、コンビニで氷を買ってくる羽目になった。
いつもお願いしている電気屋さんに電話したら、購入後15年と聞いて、部品がもうないのではといわれたが、とにかくきて調べてもらうことにした。
顔なじみの電気屋のTさんはわが家に入ってくるなり、「それが故障の始まりでだんだんつかえなくなりますよ。」と、カタログを広げ始めた。
その勢いに押されて、「どれどれ」とカタログを覗き込んで話しているうちに、買い替えるのが既成事実化し、搬入の日まで決めることになってしまった。
その次の日、カミさんが「冷蔵庫が氷を作っているわよ。」というのを聞き、氷室をのぞいてみると立派な氷が積みあがっていた。
なんとなく冷蔵庫が延命願をしているような気分になり、カミさんとどうするか相談した。結論は、「このまま使い続けて、どうにもならなくなった時にこちらが体力・金力がなくなっていたらと考えると、今が潮時かもしれない。これは神のお告げである。」ということで、買い替えを決定した。
デイケアに行ったカミさんが仲間にこの話をしたら、みんなから15年とはよく使ったものだと感心されたという。その話を聞いて、なんとなく忸怩としていた気分がさっぱりした。
冷蔵庫君。長い間ありがとう。

カルーセル麻紀さん
朝日新聞の『語る 人生の贈り物』に、カルーセル麻紀さんの経歴が連載され、昨日完了した。何気なく読んだ内容の凄絶さにひかれて毎回目を通してしまった。
15歳で釧路から家出し、世界中を有為転変、82歳の今日に至るまでの経歴が、赤裸々に述べられていた。特にモロッコで性別適合手術を受けたくだりは、凄惨だった。
生まれた時の名前は平原徹男、平成に入って戸籍変更して平原麻紀を名乗る。家族の墓を平原徹男名で釧路に作ったという。
麻紀さんは、今年毎日映画コンクール助演俳優賞を受けた。男優でも女優でもなく、「俳優」である。男女の性別の枠を見事に撤廃させた。
性を超越し、道徳にせよ反道徳にせよ、この人なりのけじめをつけているのであろう。
こんな人生を生きた人がいたのかとひたすら驚き、かつ感心した。
朝日川柳から
「人生は自分が大好き麻紀の声」
東京都 秋山陽香様
STOP WAR!







『語る 人生の贈り物』は良く読みましたが、私の偏見で、カルーセル麻紀さんは、パスしました。ゴメン、ごめん。