goo blog サービス終了のお知らせ 

ポルトガルの空の下で

ポルトガルの町や生活を写真とともに綴ります。また、日本恋しさに、子ども恋しさに思い出もエッセイに綴っています。

あの頃ビア・ハウス:第10話:「無情の夢」と「コロッケの唄」

2018-02-16 22:53:18 | あの頃、ビアハウス
2018年2月16日      
       
♪あきらめましょうと 別れてみたが
 なんで忘りょう 忘らりょか
 命をかけた恋じゃもの~
 
アサヒの常連多しと言えども、続けて2曲歌わせてもらえるのはこのお方だけです。しかも、ビアハウスのその日最後の第3ステージの「トリ」です。

歯医者の沢田先生。毎晩毎晩おいででした。身長154cmのわたしよりお小さかったです。入り口近くのテーブルにいつもひとり静かに座って、ビールをすすっていらっしゃる。

あまりおしゃべりしませんが、こと歌になると、ときどきこっぴどく意見されました。

    

写真、左から二人目が沢田先生

先輩歌姫の宝木嬢が名前を呼んで指定する必要がないくらい、ヨシさんの弾くアコーディオンのイントロが鳴ると、まるで全てが最初から打ち合わせができているかのように、座っていた席から急がずゆっくりとステージに向かって歩んで行きます。

そして、タイミングよくステージにあがり、「あーきぃいらぁめぇまぁしょおと~」が始まるのです。このタイミングの良さは、長年の経験で常連歌い手と息を合わせることにかけては、抜群の腕を持っているアコのヨシさんの人知れぬ配慮でしょう。沢田先生はこの歌を一番しか歌いません。続いてすぐ、「コロッケの唄」が続けられるのです。

♪嫁をもらって うれしかったら
 いつも出てくるおかずは コロッケコロッケ
 今日もコロッケ 明日もコロッケ~~
 
「明日もコロッケ~」の後に、ここで文字では表現不可能な愉快な笑いが入るのですが、沢田先生、これが実にうまい!
もうこれだけで、先生、お客さんをしっかり掴み大拍手を受けます。

沢田先生の歌い方は堂にいったもので、もしかしたら若いとき歌手の道を目指したことがあるのかな?と何度か思ったものですが、とうとう最後までそのようなことは聞かずじまいで、ポルトガルに来てしまいました。

アサヒビアハウスが改装され、「アサヒスーパードライ梅田」となった後、一度もお名前は耳に入って来たことがありません。あの頃ですでにお歳でしたからね。

今日もコロッケ、明日もコロッケ。日本のコロッケがいかに繊細にできていて美味しいものか、この唄を思い出すにつけ、異国のポルトガルに住んでつくづく思ったものです。

次回はこれまたアサヒの名物常連「A.D.」についてです。