ららみ先生のピアノのおけいこ

自閉症でも、発達障がいでも、
両手でピアノが弾けるんです♪
ピアノが弾けるって、素晴らしい!

矢部太郎さんの「大家さんと僕」

2018-06-21 | 読書、文学など

お笑い芸人の矢部太郎さんが出版された漫画【大家さんと僕】が、
手塚治虫文化賞を受賞されました。

矢部太郎さんは、「進ぬ!電波少年」に出演されていた時からのファンでした。

番組の中では、11ヶ月で、スワヒリ語、モンゴル語、韓国語、
コイサンマン語(アフリカの一部で話されている言葉)の4か国語を学習。

学習したら現地に行き、現地の言葉でお笑いライブをする~と云う企画でした。

矢部さんの学習の様子や、呟きが面白くて、毎週楽しみに観ていました。

その後も矢部さんは、気象予報士の資格を取られ、
TBSの「はなまるマーケット」では、気象コーナーで活躍されていました。

矢部さんは知性派の芸人さんで雰囲気が柔らかく、
小柄な身体や素朴なご性格が、独特な雰囲気を醸し出しています。

芸人さんの中では、貴重な存在なのですが、
最近は、あまりテレビでお見かけすることも無く、残念に思っていました。

ところが今回、本を出版されたので、先月購入して読んでみました

読んでみましたら、想像以上に良い本で、一気に読みました。

 

矢部さんは、元々2世帯住宅として建てられた2階に、間借りをしています。

その下に住んでいらっしゃるのは、
「ごきげんよう。」とご挨拶するような上品な大家さんです。

そんな大家さんとの日常を、ほのぼのとした漫画で描いているのですが、
ページをめくる度に心が癒やされて、こちらも穏やかで優しい気持ちになります。

90歳に手が届きそうなお歳ながら、可愛らしい大家さんの雰囲気も好きですし、
それに応える、矢部さんの優しさも素敵です。

 

以下、手塚治虫文化賞授賞式の、
矢部さん自身のスピーチを紹介させて頂きます。

~~~~~

   この度は手塚治虫先生という「漫画の神様」のお名前がついた賞を受賞させて頂きまして、大変光栄です。神様をも畏れぬことを思い切って言わせて頂きますと、手塚先生はどんなに売れっ子になられても、若い作家の先生の作品を読んで嫉妬されることがあったというお話を聞いたことがありまして、天国の手塚先生に、僕の本を読んで頂き、そしてほんの少しでもいいので嫉妬して頂けたら、嬉しいです。この賞がそういうものだったらいいな、と思います。

 僕はいま40歳で、38歳のときに漫画を描き始めました。38歳で漫画家になると言ったら、普通は周囲が全力で止めると思うのですが、僕の場合は、「作品にした方がいいよ」と言って下さった方がいました。倉科遼先生は僕の漫画をとても褒めて下さって、自分が自費出版してでも出したいと言って下さいました。相方の入江くんもすすめてくれて、入江くんの方は僕はあんまり覚えていないんですが、本人がそう言うので、そうなんだと思います。
 だから、新しいことに挑戦するのが苦手な僕ですが、描き始めることができました。他にも、デジタルで描いているので、文明の利器に助けられたということもあると思います。

   でも一番は、大家さんがいつも、「矢部さんはいいわね、まだまだお若くて何でもできて。これからが楽しみですね」と言って下さっていたのですね。ご飯を食べていても、散歩をしていても、ずっといつも言って下さるので、本当に若いような気がしてきて、本当に何でもできるような気がしてきて……。これはあまり人には言っていないのですが、僕の中では、38歳だけど18歳だと思うようにしていました。だからいま、20歳(ハタチ)なんです。何を開き直っているんだと思われるかもしれませんが、これは本当に効果があって、10代だと思ったら大概の失敗は許せました。

 人生何があるか分からないとよく言いますが、中学生の頃、図書室でひとりで『火の鳥』を読んでいた僕が、いまここにいるなんて思いもよらなかったですし、芸人になって長く経ち、次第にすり減り、人生の斜陽を感じていた僕がいま、ここにこうしていることも、半年前には想像もつきませんでした。
 それでも、あの頃、全力で漫画を読んでいたこととか、芸人として仕事をして創作に関わってきたこととか、子供の頃、絵を描く仕事をする父の背中を見ていたこととか、なんだかすべては無駄ではなく、繋がっている気がしています。それは僕だけじゃなく、みんながそうなのではないかとも思います。

 お笑い芸人が僕の本業なのですが、人前でうまくしゃべることが苦手です。そんな「うまく言葉にできない気持ち」を、これからも少しでも漫画で描いていけたらと思っています。
 本日は本当にありがとうございました。

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