台風接近中   256

2024-08-16 08:27:10 | 小説

テレビから、台風接近のニュースが、流れて居る。

ゆっくりした速度で、関東地方に、近づいてるらしい。

こんな日は、さすがに、店に来る人もいないだろうと、思いながら、マスターが、店のドアに、本日臨時休業の貼り紙を、貼っている所に、加藤のおじいちゃんが、現れた。

「ああ、やっぱり、お休みするんだね。」貼り紙を見ながら、加藤のおじいちゃんが、悲し気に呟いた。

娘に、こんな日に、出かけるのは止めて下さいと言われたのを、押し切って、出かけてきたが、自分の、愚かさを、知らされたようで、何ともきまりが悪かった。

「店の営業は、休みにしますけど、加藤さんと、おしゃべりしたいから、店に入って下さいよ。」と、マスターが、声をかけてくれた。

それじゃあ、マスターに、申し訳ないからと、言っている所に、ヤマさんが、やって来た。

かみさんに、こんな日に行ったって、お店、やってるわけないって言われたそうだが、コーヒーが飲みたくて、やって来たそうだ。

マスターが、店は、休みますが、プライベートな来客は、歓迎ですと、二人を、店に誘った。

こんな日に必ずやってきそうな冬子さんは、娘さんの所に、泊りに行っているそうだ。

お時間、少しかかりますけど、とびきり美味しい☕入れますんで、おしゃべりでもしていて下さいと、マスターが言った。

店の☎が、何回か鳴ったけど、マスターは、電話に出ようとしなかった。

ヤマさんが、電話に出なくて良いのと、尋ねると、今日は、お二人の貸し切りですからと、答えた。

まだそれほど、雨も風も強くないが、そのうちだんだん、酷くなるのだろう。

地震だ、台風だと、息つく間もなく、天災が、やって来る。

つかの間、マスターの淹れてくれたコーヒーを、味わったら、厳しい現実に、立ち向かって行かなくては、いけないのだろうと、ヤマさんが、考えてる時、

加藤のおじいちゃんが、「80年も生きてきて、まだこんな目に合わなくちゃいけないなんて、人生は厳しすぎる。」と、他人事のように、呟いた、

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