THE BACK HORNの『ヘッドフォンチルドレン』ツアー、『産声チェインソー』に行ってきた。ワンマンに行くのは初めて。
「扉」~「運命複雑骨折」~「墓石フィーバー」と、最新アルバム『ヘッドフォンチルドレン』からのナンバーを連発してスタート。やっぱり、ゼップは広いなぁ。狭い会場には狭い会場にしかないものがあるけど、広い会場でたくさんの人がいるからこそ生まれるものもある。ずっと前、ここでもエレカシを観たんだよなぁ。また、こういうとこでも観てみたいな。
バックホーン、良いなぁ。なんか、純粋に「バンドって良いな!」って気持ちを思い起こさせてくれるんだよね。
強烈なギターリフが鳴って、シングルにもなっている「コバルトブルー」。この曲、かっちょ良いよねぇ。音が消えるその瞬間まで一気に駆け抜ける感じなのに、ちゃんと抑揚があってメリハリが効いてる。この曲は、第二次大戦中に特攻基地が配置されていた鹿児島県の知覧町にメンバーが訪れた際に衝撃を受けてできた曲だという。歌詞でも、<この夜が明ける頃 俺達は風になる>と歌っている。そんな中、クライマックス場面で、<さあ笑え 笑え ほら夜が明ける 今>と歌われる。明日死ぬというときに、笑え笑え、かぁ。でも、ロックってそういうものなのかも知れないなぁ。そのとき、私の頭によぎった曲は、エレカシの「コール アンド レスポンス」。あれなんて、「全員死刑です」って<死刑宣告>されちゃうんだもんね。それで盛り上がって、終いには、<楽しもうぜ>だもんね。
続いて演奏されたのが、「幸福な亡骸」。この流れが良かったぁ。前曲で風になった主人公に捧げる意味で繋げたのかしら。バックホーンは、激しい曲だけじゃなくて、こういう静かな心象風景を描いた曲もあって、激しい曲に負けず劣らず、味が出てるから良い。この曲もまた、ギターが良いんだよなぁ。透明感があって、シンセのような音色と旋律のギター。例を出すなら、シロップの「Mouth to Mouse」のような感じだろうか。郷愁が漂う感じ。照明効果も相まって、“夏の葬列”の独特な雰囲気を醸し出し、それまでの熱を一気にクールダウンさせてて、とても綺麗だった。同じく静かな曲、「夢の花」も良かった。歌詞が胸に響いて届いてきた。<自分さえ愛せずに人を愛せはしない 比べた数だけ汚れてく涙>とか。
レゲエのリズムで、ダブ的な音の響きも聴かせる「ヘッドフォンチルドレン」で、間奏のときだったか、ギターの菅波栄純が、「お前らの顔見てっと、俺は、音楽よりお前らの方が好きなのかも知れないって思えてくるよ。みんな、幸せになってくれ。なんか、良い奴そうだからさ」と、たどたどしい口調で言っていた。あとで考えると、クサい台詞なのだが(笑)、ありがとう。なんか、ヴォーカルの山田将司が白シャツなのもあって、エレカシっぽいなぁ~って思う瞬間もあった。そうそう、エレカシみたいな曲があったんだよね。そうだなぁ~、「風に吹かれて」と「昔の侍」と「友達がいるのさ」が混ざったような曲。ってどんな曲だよって感じだけど(笑)、ほら、マーチみたいなドラムが印象的で、切なくてドラマティックな曲、みたいな。
「サニー」では、スカでおなじみの裏打ちギターを聴かせる。でも、スカを取り入れたって感じがしないんだよね。「ヘッドフォンチルドレン」でも、レゲエ~ダブを取り入れたって感じしないし。良いとこどりをしてる感じがしなくて、バックホーン流に消化しちゃってる。なんか、ジャンルとか手法とかよりも、「バックホーン」って方が勝っちゃってるんだよね(この辺はエレカシとも重なるかな?)。ジャンルとか手法とは別のところに拠りどころがあるというか、自分たちの範疇内でやるというか。でも、蓋を開けてみると、音楽的素養がちゃんとあって、引き出しが結構多いと思うんだよね。そんで、ときどきハッとさせられる。
「光の結晶」では、“溜め”を効かせてた。一瞬、音が消えて、バーンって弾けるやつ。エレカシにも結構あるよね。
そして、ここで衝撃の瞬間がっ!(笑) 確か、それは、本編最後の曲「キズナソング」への入り。感極まった風のギタリスト菅波氏が客席に向かって何かを言おうとした。が、言葉につまって出てこない。そして一言、
「……ギターで言うわ」
そのまま演奏がはじまり、「キズナソング」へ。あの、これ、このときはそんなに気にしてなかったのですが(「キズナソング」聴きたかったし)、あとで冷静になって思い返してみると、すごいよねぇ?(笑) 「ギターで言うわ」って(笑…ごめん、もう一回書いちゃった)。きっと、本人もあとになって恥ずかしくなったに違いない(笑)。さっきの「ヘッドフォンチルドレン」の間奏中の台詞といい、菅波くんったら(笑)。も~、この発言のせいで、「キズナソング」どうだったか思い出せないよ~!(笑) いっそのこと、ギターがんがんの激しい曲だったら良かったのに、泣かせるバラードだからなぁ。いや、良いんだけどさ。あとで、思い出し笑いが止まらなかったです(笑…ごめん)。
そして、アンコール。数曲やって、最後は「奇跡」。かっこ良いー。冷気と熱気を同時に感じて鳥肌立ったよ。ふと、先日観た『アイデン&ティティ』を思い出して、ロックの形に中身が追いついたのかな~なんて考えちゃった。もちろん、そんなことは今にはじまった話じゃないだろうし、そんなこと全然よく分からないんだけど、ただ、なんとなく、そう感じてしまったって、ただそれだけなのよ。
MCは、良い意味で素人っぽさも(笑)。なんか、こんな広いところでやるの初めてみたいな感じで、「2階席盛り上がってんのかー?」とか言って、「反応薄いな…」とか呟いてた(笑)。「2階席とか慣れてないからよぉ」って言ってた(笑)。訛ってるんだよね。東北出身だっけ? らしさが出てて良い感じでした。
バックホーンが、私に、純粋に「バンドって良いな!」って気持ちを思い起こさせてくれるのは、例えばエレカシみたいに、そんなにのめり込んで好きってわけじゃない、その距離感からだろうか。だから、バンドってものを冷静に見つめることができるのかな。ただ、不思議なのは、バックホーンって誰か一人のイメージってのがないんだよね。例えば、エレカシなら宮本浩次、シロップなら五十嵐隆、スピッツなら草野正宗、ブランキーなら浅井健一、みたいなのがあるじゃない。その人が描くものってのが圧倒的に支配してるじゃない。でも、バックホーンって、なんか、そういうんじゃない。今日ずっと観てたけど、そういうんじゃないんだよね。山田将司でも、菅波栄純でも、岡峰光舟でも、松田晋二でもないの。これは、詞の大半を書いてるのがヴォーカルではなくギターの菅波栄純で、山田将司はその言葉を歌っているってこととかが関係してるんだろうけど、その各々の関係性とかバンドとの距離感とかが、バックホーンってバンドを生み出しているからかもなぁ。メンバー一人一人とバックホーンとの距離が等しいっていうか。だから私も、特定の個人は別として、バックホーンってバンドを見つめることができるっていう。その距離感が新鮮なのかも知れない。
「扉」~「運命複雑骨折」~「墓石フィーバー」と、最新アルバム『ヘッドフォンチルドレン』からのナンバーを連発してスタート。やっぱり、ゼップは広いなぁ。狭い会場には狭い会場にしかないものがあるけど、広い会場でたくさんの人がいるからこそ生まれるものもある。ずっと前、ここでもエレカシを観たんだよなぁ。また、こういうとこでも観てみたいな。
バックホーン、良いなぁ。なんか、純粋に「バンドって良いな!」って気持ちを思い起こさせてくれるんだよね。
強烈なギターリフが鳴って、シングルにもなっている「コバルトブルー」。この曲、かっちょ良いよねぇ。音が消えるその瞬間まで一気に駆け抜ける感じなのに、ちゃんと抑揚があってメリハリが効いてる。この曲は、第二次大戦中に特攻基地が配置されていた鹿児島県の知覧町にメンバーが訪れた際に衝撃を受けてできた曲だという。歌詞でも、<この夜が明ける頃 俺達は風になる>と歌っている。そんな中、クライマックス場面で、<さあ笑え 笑え ほら夜が明ける 今>と歌われる。明日死ぬというときに、笑え笑え、かぁ。でも、ロックってそういうものなのかも知れないなぁ。そのとき、私の頭によぎった曲は、エレカシの「コール アンド レスポンス」。あれなんて、「全員死刑です」って<死刑宣告>されちゃうんだもんね。それで盛り上がって、終いには、<楽しもうぜ>だもんね。
続いて演奏されたのが、「幸福な亡骸」。この流れが良かったぁ。前曲で風になった主人公に捧げる意味で繋げたのかしら。バックホーンは、激しい曲だけじゃなくて、こういう静かな心象風景を描いた曲もあって、激しい曲に負けず劣らず、味が出てるから良い。この曲もまた、ギターが良いんだよなぁ。透明感があって、シンセのような音色と旋律のギター。例を出すなら、シロップの「Mouth to Mouse」のような感じだろうか。郷愁が漂う感じ。照明効果も相まって、“夏の葬列”の独特な雰囲気を醸し出し、それまでの熱を一気にクールダウンさせてて、とても綺麗だった。同じく静かな曲、「夢の花」も良かった。歌詞が胸に響いて届いてきた。<自分さえ愛せずに人を愛せはしない 比べた数だけ汚れてく涙>とか。
レゲエのリズムで、ダブ的な音の響きも聴かせる「ヘッドフォンチルドレン」で、間奏のときだったか、ギターの菅波栄純が、「お前らの顔見てっと、俺は、音楽よりお前らの方が好きなのかも知れないって思えてくるよ。みんな、幸せになってくれ。なんか、良い奴そうだからさ」と、たどたどしい口調で言っていた。あとで考えると、クサい台詞なのだが(笑)、ありがとう。なんか、ヴォーカルの山田将司が白シャツなのもあって、エレカシっぽいなぁ~って思う瞬間もあった。そうそう、エレカシみたいな曲があったんだよね。そうだなぁ~、「風に吹かれて」と「昔の侍」と「友達がいるのさ」が混ざったような曲。ってどんな曲だよって感じだけど(笑)、ほら、マーチみたいなドラムが印象的で、切なくてドラマティックな曲、みたいな。
「サニー」では、スカでおなじみの裏打ちギターを聴かせる。でも、スカを取り入れたって感じがしないんだよね。「ヘッドフォンチルドレン」でも、レゲエ~ダブを取り入れたって感じしないし。良いとこどりをしてる感じがしなくて、バックホーン流に消化しちゃってる。なんか、ジャンルとか手法とかよりも、「バックホーン」って方が勝っちゃってるんだよね(この辺はエレカシとも重なるかな?)。ジャンルとか手法とは別のところに拠りどころがあるというか、自分たちの範疇内でやるというか。でも、蓋を開けてみると、音楽的素養がちゃんとあって、引き出しが結構多いと思うんだよね。そんで、ときどきハッとさせられる。
「光の結晶」では、“溜め”を効かせてた。一瞬、音が消えて、バーンって弾けるやつ。エレカシにも結構あるよね。
そして、ここで衝撃の瞬間がっ!(笑) 確か、それは、本編最後の曲「キズナソング」への入り。感極まった風のギタリスト菅波氏が客席に向かって何かを言おうとした。が、言葉につまって出てこない。そして一言、
「……ギターで言うわ」
そのまま演奏がはじまり、「キズナソング」へ。あの、これ、このときはそんなに気にしてなかったのですが(「キズナソング」聴きたかったし)、あとで冷静になって思い返してみると、すごいよねぇ?(笑) 「ギターで言うわ」って(笑…ごめん、もう一回書いちゃった)。きっと、本人もあとになって恥ずかしくなったに違いない(笑)。さっきの「ヘッドフォンチルドレン」の間奏中の台詞といい、菅波くんったら(笑)。も~、この発言のせいで、「キズナソング」どうだったか思い出せないよ~!(笑) いっそのこと、ギターがんがんの激しい曲だったら良かったのに、泣かせるバラードだからなぁ。いや、良いんだけどさ。あとで、思い出し笑いが止まらなかったです(笑…ごめん)。
そして、アンコール。数曲やって、最後は「奇跡」。かっこ良いー。冷気と熱気を同時に感じて鳥肌立ったよ。ふと、先日観た『アイデン&ティティ』を思い出して、ロックの形に中身が追いついたのかな~なんて考えちゃった。もちろん、そんなことは今にはじまった話じゃないだろうし、そんなこと全然よく分からないんだけど、ただ、なんとなく、そう感じてしまったって、ただそれだけなのよ。
MCは、良い意味で素人っぽさも(笑)。なんか、こんな広いところでやるの初めてみたいな感じで、「2階席盛り上がってんのかー?」とか言って、「反応薄いな…」とか呟いてた(笑)。「2階席とか慣れてないからよぉ」って言ってた(笑)。訛ってるんだよね。東北出身だっけ? らしさが出てて良い感じでした。
バックホーンが、私に、純粋に「バンドって良いな!」って気持ちを思い起こさせてくれるのは、例えばエレカシみたいに、そんなにのめり込んで好きってわけじゃない、その距離感からだろうか。だから、バンドってものを冷静に見つめることができるのかな。ただ、不思議なのは、バックホーンって誰か一人のイメージってのがないんだよね。例えば、エレカシなら宮本浩次、シロップなら五十嵐隆、スピッツなら草野正宗、ブランキーなら浅井健一、みたいなのがあるじゃない。その人が描くものってのが圧倒的に支配してるじゃない。でも、バックホーンって、なんか、そういうんじゃない。今日ずっと観てたけど、そういうんじゃないんだよね。山田将司でも、菅波栄純でも、岡峰光舟でも、松田晋二でもないの。これは、詞の大半を書いてるのがヴォーカルではなくギターの菅波栄純で、山田将司はその言葉を歌っているってこととかが関係してるんだろうけど、その各々の関係性とかバンドとの距離感とかが、バックホーンってバンドを生み出しているからかもなぁ。メンバー一人一人とバックホーンとの距離が等しいっていうか。だから私も、特定の個人は別として、バックホーンってバンドを見つめることができるっていう。その距離感が新鮮なのかも知れない。