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sky is blue

言わなければよかったのに日記

今をかきならせ @SHIBUYA-AX (2)

2006-06-27 17:35:47 | エレカシ
前日に引き続き、渋谷AX。2日間連続で観るのは久しぶり。しかし、前日で既に満たされた気分だったから、オマケというかデザートというかアンコールというか、そんな気分で会場へ。そんなこと言ったって、今日だって立派な一公演なのだから。いやぁ、贅沢。

本日は、MUSIC ON! TV(M-ON)での生中継あり。だからなのか、浮かれ気分っぽいところもあったかも。浮かれ気分っていうと聞こえは悪いけど、皆の前に出られて嬉しー!みたいな。TV中継がなくたって、今までだって皆の前に出てたけど、やっと地上に出た!みたいな。「スタートライン」って言ってたけど、そんな感じだったなぁ。トミの病気があったりして、この4人で活動できる喜びとかを再確認したってのもあるんだろうけど、このフレッシュさは何なんだ? こんなこと言うのはなんだけど、今回のことはすごいタイミングだったのかも。

ライヴの方は、前日でお腹一杯なのもあって、まぁ、前の記事で感じたことに、それほどプラスはされてません。なので、メモ的なもの少々とセットリストのみで。

「so many people」の、ギターを何度かチャラララ~とやってから入る入り方、結構ハマってたかも。

「甘き絶望」のあと、「理想の朝」に入ろうとしてたんだけど、突如「男は行く」に切り替えた(と思う…あれ?それは前日だっけ?記憶があやふや)。その強引な入り方で鳴らされる「男は行く」のイントロが、カッコ良かった。

「理想の朝」のコーラス、面白い。お茶目。エレカシって、コーラスの付け方がうまいというか、ユーモラスで特徴的だと思う。CDではミヤジも重ねてるコーラス部分を、ライヴだと石君や成ちゃんの声で聴けるから、コーラスの魅力に改めて気づかされる。

「ああ流浪の民よ」、<生まれついた 民族の血は 忘れたくはない>なんて言葉を、こんな風な説得力で響かせるのは、やっぱりすごいことだと思う。音の隙間、無音の部分、間(ま)にしびれる。無音なのに、何かを語りかけてくる。<いじけた ああ流浪の民よ>。

「はじまりは今」、<迎えに行くよ町に咲く花を 君の両手に届けに行こう>ってところで、花を持って届けに行くようなポーズ。何だか分かんないけど、喜びのオーラ感じたなぁ。

と思ったら、次、「ガストロンジャー」。

「武蔵野」のとき、「武蔵野」と分かるまで時間がかかった。

石君は、異様な形相でギターを弾いていることが分かった。いや、本当に。

ミヤジは、熱くなっても、全体を見てるというか、冷静だ。でも、熱い。冷静と情熱を行ったり来たり、そこらへんが落ち着きなく見えるのかな? でも、だから、心は熱くしてくれて、頭は冷やしてくれる。そんな気がする。

*** セットリスト (発売年) ***

01. 地元のダンナ (2006)
02. 悲しみの果て (1996)
03. so many people (2000)
04. デーデ (1988)
05. 甘き絶望 (2006)
06. 男は行く (1990)
07. 理想の朝 (2006)
08. すまねえ魂 (2006)
09. おまえはどこだ (1993)
10. ああ流浪の民よ (1989)
11. 人生の午後に (2006)
12. シグナル (2006)
13. 今をかきならせ (2006)
14. I don't know たゆまずに (2006)
15. なぜだか、俺は祈ってゐた。 (2006)
16. はじまりは今 (1998)
17. ガストロンジャー (1999)
18. ファイティングマン (1988)
― アンコール 1 ―
19. ゴクロウサン (1988)
20. 雨の日に… (2006)
21. 今宵の月のように (1997)
22. 武蔵野 (2000)
23. てって (1988)
― アンコール 2 ―
24. 流れ星のやうな人生 (2006)


今をかきならせ @SHIBUYA-AX (1)

2006-06-26 17:28:59 | エレカシ
ここ最近、ずっと「ライヴの記事」ばっかでスミマセン。って、なんで謝るのかよく分からないけど(笑)、懲りずに読んでね☆

リキッドルーム恵比寿から引き続き、行ってきました。エレカシの“今をかきならせ”ツアー。

いやぁ、良かった。

リキッドのときに、最新アルバム『町を見下ろす丘』が素晴らしい作品であることを、「確信した」ではなく、「ほぼ確信した」と書いたのは、ひとつだけ気がかりなことがあったからだ。それは、『町を見下ろす丘』を聴いたときと同じ感想で、これをファンじゃない人が観たら(聴いたら)どう思うだろうってこと。「ファンじゃない人を取り込む力があったかどうか」ってことだ。『町を見下ろす丘』も、リキッドでのライヴも、既にエレカシファンである私にとっては、非常に素晴らしく、グッとくるものであったが、果たして、特にファンではない、前知識ゼロの人も引き寄せることができたのか。「ファンじゃない人も取り込む」ということが、良い作品であるための必須条件だと言いたいわけではない。「ファンだからこそ分かる魅力」というのもあるのだろうから。ただ、『町を見下ろす丘』はどうだったのか――。

で、この日のライヴを観て思ったのは、こりゃ、この日私がエレカシを初めて観たんだとしても、そして、特に思い入れもなく前知識もなかったとしても、きっと、好きになっていた!ってこと。それぐらい「人を取り込む力」があったのだ。強烈に。

ひょっとしたら、それが裏目に出て、コアなファンは、「リキッドの方が良かった」なんて思ったかも知れない。私も一ファンとして、その気持ちも分かるつもりだし、濃さでいったら、リキッドの方が、あるいは濃かったのかも知れない。しかし、じゃあ、この日が薄かったのかといえば、決してそうではない。やっぱり、とんでもなく濃かったよ。と同時に、「ファンじゃない人も取り込む力」を持っていた。私はそう感じた。これはやっぱり、「ツアーを回ってきた成果」なんだろうな。無論、会場の広さってのもあるんだろうけど。

『町を見下ろす丘』を聴いて、作品の匂いから、前々作『扉』の延長上にあるようなアルバムだなぁと思った。そこで、『扉』に伴う“パワー・イン・ザ・ワールド”ツアーを思い出してみると、そのときは、『扉』の楽曲が中心のセットリストだったと思う。ぽつぽつ過去の楽曲も演奏されたが、あくまでも『扉』が主役だった。今思えば、そのときのエレカシは、敢えて過去から距離を置いていたように思う。『扉』に収録されている「化ケモノ青年」の一節に<青春の残像がフイをついてやってくる>とあるように、まるで、青春(の残像)から逃げるように……。

それから約2年。この日は、「ファイティングマン」や「デーデ」など、比較的よく演奏する曲から、「男は行く」や「おまえはどこだ」や「遁世」、「今宵の月のように」や「悲しみの果て」、「so many people」や「ガストロンジャー」、そして「化ケモノ青年」と、これは野音ライヴか!?ってほどの、新旧取り混ぜぶり。もちろん、『町を見下ろす丘』からも8曲演奏されたが、“パワー・イン・ザ・ワールド”ツアーのときの『扉』の曲のように、「あくまでもこっちが主役ですからね」というような主張はなく、過去の曲たちの中に、自然と入り込んでいたように思えた。これは、単純に、過去の曲たちが今のエレカシを通して生まれ変わったとか、今の曲たちが過去寄りになったとか、そういうことだけではない気がする。これは、過去から距離を置いたり、青春(の残像)から逃げたりする必要がなくなったということではないだろうか。『扉』と『町を見下ろす丘』の最大の違いはそこにあるのではないか。……ってなことを考えてみたわけですけど、どうなんでしょ?

簡単に言っちゃえば、過去を受け入れた。過去も含めた上で、今をかきならす。そういうことなんじゃないかなぁって。だから、『町を見下ろす丘』には、既視感が散りばめられているんじゃないかって。言うまでもなく、今ってのは、良くも悪くも、過去の上に成り立っている。『町を見下ろす丘』に、今までにない深みが感じられるのは、それら過去も含めて、今がかきならされているからなんじゃないだろうか。そして、そんなことができたのは、今に自信を持てたからなんだと思う。だから、過去(青春の残像)と向き合えたというか受け入れられたというか。過去(青春の残像)に足を引っ張られない今を手に入れたんだよ!

数々の濃ゆ~い曲を演奏しておきながら、そんな過去の曲に足を引っ張られることなく、そしてまた、それから距離を置くのではなく、その濃ゆ~い過去の曲たちをも飲み込むようにして、そして、そこから描き出される“今”。うう~ん。素晴らしいライヴでした。

*** セットリスト (発売年) ***

01. 地元のダンナ (2006)
02. so many people (2000)
03. 悲しみの果て (1996)
04. デーデ (1988)
05. 男は行く (1990)
06. 理想の朝 (2006)
07. すまねえ魂 (2006)
08. 甘き絶望 (2006)
09. おまえはどこだ (1993)
10. 遁生 (1990)
11. 人生の午後に (2006)
12. シグナル (2006)
13. 今をかきならせ (2006)
14. ガストロンジャー (1999)
15. 今宵の月のように (1997)
― アンコール ―
16. てって (1988)
17. 化ケモノ青年 (2004)
18. I don't know たゆまずに (2006)
19. やさしさ (1988)
20. ファイティングマン (1988)


今をかきならせ @LIQUIDROOM

2006-05-28 15:36:12 | エレカシ
エレファントカシマシのツアー、“今をかきならせ”に行ってきた。このツアーとは別に、3月、4月にも単独ライヴの予定はあったのだけど、トミ=冨永義之(ドラム)の体調不良により中止になってしまった。だからこの日は、ツアースタートと同時に、トミ復活ライヴでもあった(前日の大阪公演も含めて)。

ところで、ゴスペラーズのこんな歌をご存知だろうか?

「愛してる」って最近 言わなくなったのは
本当にあなたを愛し始めたから
(ゴスペラーズ「ひとり」)


ここ最近、エレカシについて、語る必要をあまり感じなくなってきている。言葉を必要としなくなってきている。こ、これは、本当にエレカシのことを愛し始めたから? え? ってことは、あゆなんて、まだまだぜ~んぜ~ん愛し足りてないってこと? だって、いつも長文だし…。愛してる愛してるって言ってるうちは、本当に愛せてないんだよって、ゴスペラーズはそう歌っているのだろうか…。

確かに、あゆを語ることでパワーを削ぎ落とされてるのはある。ここを見たら、この人、あゆしか聴いてないんじゃないの?って感じかも知れない。でも、色々な音楽のことを書いてるけど、この人、それぞれ何回ぐらい聴いてるんだろう?ってのもあるじゃん。

とにかく、言葉を必要としなくなってるのが、本当に愛し始めたからかどうかは知らないが、ゴスペラーズがどう歌おうと、言葉を必要とするときは、また来るに違いない、来ないわけがないと思っている。そのときにはまた、思いっきり語れば良い。

そんなこんなで、エレカシライヴ。(前置きが長い!)

いやぁ、カッコ良かった。ライヴって、音楽って、こういうもんだよなって感じ。一昨日の東京事変のライヴを思い出し、何だったんだあれはって思っちゃったよ。ワケなんて分からないまま、アッという間に心を鷲掴みにされる。私にとって、音楽とは、ライヴとは、こういうものだったじゃないか!

奇しくも、私は、東京事変について「今が感じられない」と書いていた。今回のエレカシのツアータイトルは、ズバリ、“今をかきならせ”だ(最新アルバム収録曲タイトル)。これがすべてを言い表してるだろう? アーティストの皆さん、今をかきならして下さい。10~20年後も残る曲なんて、ビートルズは考えていたのかなぁ? 今をかきならしていたら何だか知らないけど後世に残っちゃったビートルズになりたいのなら、1~2年後には忘れられている普遍的な曲(ああ、なんたる矛盾!)なんて作ってたらダメなんじゃないの?

エレカシの最新アルバム『町を見下ろす丘』は、正直、これが良い作品なのかどうか、よく分からなかった。いや、確かに良い作品だと思うし、完成度という点でいったら、前作『風』よりも、より高い作品になっていると思う。けど、今までエレカシを聴いてきた人なら、どこかで聴いたことのあるようなフレーズが出てきたり、どことなく「既視感」が漂っているような気もする(ライヴで先に演奏されていたってのもあるのだろうか)。だけど、「何かが違う」と思わせられるところがあるのも確かで。やはり、ここ最近の「過渡期」を通過した後のエレカシってことにはなっていると思う。なんかこう、「くたびれた」感じがあって、でもそこに、「鈍い光」が感じられるような。気になるのは、エレカシのことをよく知らない人がこの作品を聴いたらどう思うのだろうってことかな。ただ、何度も何度も聴きたくなるような、そういう作品にはなっていると思う。非常に味わい深い。

どでかい何かをやろうとしているわけではなく、ありのままを素直に鳴らしているって感じがした(“素直”って結構キーワードな気がした)。でも、だからといって、諦めてるわけでもなくて。自分探しというよりは、自分を見つめ直してるような。それでいて、俯瞰しているようでもあり。うん。やっぱり、今までのエレカシだったら、出せなかった音、言えなかった言葉が詰まっている。だけど、既視感も確かにある。そうか。これが、86年に現在のメンバーになり、88年にデビューしてから“今をかきならしてきた”バンドだからこそ出せる音楽なのかな。やっぱりこれ、素晴らしい作品なのかも知れない。

そしてそれは、この日のライヴを観て、ほぼ確信に変わった。かつてないほどの集中力。ほんと当たり前すぎる表現になってしまうけど、心がこもっていた。魂がこもっていたよ。(CDにも、これがどうにかこうにか反映されないかなってちょっと思っちゃったけどね)

な~んかさ、エレカシのライヴを観ていると、バンドって何!?って、そんなこと思っちゃうんだよ。ギターがいて、ベースがいて、ドラムがいて、ヴォーカルがいて…。そんなことは分かってるつもりなのに、バンドってどういうものなのか知ってるはずなのに、今まで私がバンドだと思ってたものは、それはもうバンドじゃなくなって、これがバンドなんじゃ?みたいな。バンドってものが、また分からなくなる。バンドってやつは、なんでこんなことができてしまうんだ?みたいな。もちろん、こうこうこうやって演奏して合わせてっていう、そういう「決まりごと」があるのは分かってるよ。だけど、そういうのを超えてるんだよ。そういうのを超えたところに、「バンド」ってものが見え隠れしてるんだよ。エレカシは私にとって、そういう「バンド」という景色を見せてくれる貴重な存在なのかも知れない。そしてそれは、「ライヴ」でこそ、よりダイレクトに見えてくる。(これをCDに上手く封じ込めるのは、相当難しいことなのかも知れない。あ、でも、『俺の道』とかはその点上手くいってるような気がした。ライヴと同じものをって言ってるわけじゃないんだけどね)

セットリストは、『町を見下ろす丘』から全11曲と数曲。それで十分、お腹一杯になった。ツアータイトルにもなっている「今をかきならせ」では、<夢も希望もいらねえよ>と歌う。このフレーズこそ、今のエレカシだからこそ出せる音楽じゃないかって思ってしまう。ジーンとくる。

「人生の午後に」はもう、本当、カッコ良いです。参ります。参りました。<カーテンが揺れてる 風で (ご覧よ)>とかさ、<さっきいれたお茶がもう冷めてしまった (入れ直さなきゃ)>とかさ、これが歌詞か?っていう、たったこれだけのことをこんなにもドラマティックに音楽として鳴らしてみせちゃうんだからなぁ、もう! 揺れてるカーテンがステージ上にオーロラのように見えた気がしたよ(危ない)。そんで、この曲、『オペラ座の怪人』の有名なテーマ曲に似てるとこあるんだよね。で、『オペラ座の怪人』といえば、あゆも「Pride」で、『オペラ座の怪人』を意識したって公言してるんだよね。どうしてそれを思い出したかっていうと、この日ミヤジが、「人生の午後に」のときに、「この世の果てに行こうぜ~!」って叫んでくれちゃったもんだから。だって「Pride」でもあゆ、<そこがもしこの世の果てでも他人が無駄だと笑っても 共に行こう>って歌ってるんだもん。両者に通じるものを感じちゃって、嬉しくなっちゃったよ。この世の果てに行ってやるぜ~!

アンコールで「so many people」をやってくれたあー! いつぶりだろう? 「Musical Baton」でも「洋楽も邦楽も知らない」でも挙げた、思い入れのある曲だよ。もうそれだけで嬉しくって舞い上がってしまって、よく覚えてません。

「(ツアーで)またパワーアップしてくるぜー!」みたいなことを言っていた。

もうさ、エレカシはエレカシだよ。私が音楽に入り込むようになったキッカケはL⇔Rだし、それからUKロックにハマったり、ビートルズに夢中になったりしたよ。だけど、私の心の部分っていうか、そういうのはやっぱ、エレカシなんだな~。それを実感した一日でした。


エレカシ新春ライヴ @Zepp Tokyo

2006-01-08 15:14:23 | エレカシ
年が明けた! と思ったら、なんだか気が抜けてしまって、更新が止まってしまいました。ここ最近の数記事を読んでもらえれば分かる通り、そんだけ、溜まっていたマグマがドワーッ!って一気に爆発したってことなんだろうね(大げさな表現、しかも他人事のように…)。だからちょっと「ふぬけ」になってました。今後はもうちょっと定期的に書いていければなぁ。というわけで、時差を埋めていくぞ~っ!(これ、何回書いてんだ…)

去年、バックホーンを観たとき、またこういう広いところでもエレカシを観てみたいな~って書いたけど、そしたらその「ゼップ東京」で、エレカシ、新春ライヴをやってくれました。2004年のときの「新宿コマ劇場」も良かったけどね。私の2006年最初のライヴ。

あまりの時差で、新鮮な記事は書けそうにないけど、なんだか「よく分からない」ライヴではあったんだよなぁ、確か。でも、例えば、クイーン+ポール・ロジャースのときのように、そこからマイナスなイメージは受け取らなかったんだよねぇ。よく分からなかったけど、マイナスではなかった。

でもね、エレカシは「ずるい」んだよ。だって、出てきた瞬間、「持ってかれちゃう」んだもん。だから、そんな私にちゃんとした判断ができんのかって話なんだけど、でも、『ライフツアー』のときなんかは、そんな私でもマイナスな空気、感じ取ったもんなぁ(ライヴの出来不出来とは別のところでね)。だから、言わせてもらいます!

「化ケモノ青年」のとき、歌詞を忘れたのか、延々と<おい今夜は酒持ってこい>と歌ってたのがウケた(あれ?実際そういう歌だっけ?)。新春ってこともあったんだろうけど、MCもところどころ何だか変で(え?いつも?)、何と言っても、アンコール最後の曲(つまり最後の最後)「この世は最高!」で決めた後、ミヤジが「おならプップー!」という、謎に満ちているのか身も蓋もないのかよく分からない言葉を連発し、去っていったことだろう。えぇ? おならプップー!で終わりぃ? いや、ま、良いんだけど……

と、ここで重要なのは、そこで「ま、良いんだけど」と思わせる「何か」があったってことなんだよね、この日のライヴには。だって、ライヴが良くなかったら、「おならプップー!」って、冗談で済まされなくない?(笑) ま、そんな真剣に「おならプップー!」について考えなくったって良いんだけど。てか、何度も書くなって話だね。

実は、「この世は最高!」の前に「武蔵野」をやったんだけど、そのとき、ミヤジの歌が「どうしたんだろう?」ってくらい不安定になった。私の位置からは確認できなかったけど、「泣いているのかな?」って思った。で、やっぱり、泣いていたらしい。野音のときも「武蔵野」で泣いていたんだよなぁ。で、驚くことに、ギターの石君も泣いていたらしいのだ。

ここ数年、エレカシを追ってきた人なら、この「涙」の理由、何となく分かると思う。やはり、エレカシは一度(じゃないかも知れないが)、エレカシを見失いかけたんだと思う。「エレファントカシマシ」って場所は確かにある。けど、じゃあ、それをどうしたら良いのか、どうしたいのかってことを、ここ数年、模索していたように思う。そういや、『すまねえ魂 前夜』でも「『これがエレカシだ!』ってとこを探ってんのかな」とか、『すまねえ魂@リキッド』でも「エレカシがエレカシを探し、見つけていくツアーになるのかな」とか書いてたんだっけ…。

そんな生易しい業界だとは決して思わないけど、ただエレカシを継続するだけだったら、模索なんて面倒なことしなくったって、宮本浩次という人がいれば、「そこそこ」できるのかも知れない。けど、そういうことに無神経でいられるほど、宮本浩次って人は、鈍感じゃないんだもの。エレカシを継続するためにエレカシを継続したって、何の意味もない。いや、そういうことに意味があるバンドもいるのかも知れない。でも、そこに意味を見出せるようなバンドじゃ、エレカシはなかったってことだよね。きっと、エレカシを継続するためにエレカシを継続したとき、それは、エレカシじゃなくなってしまうんだ。エレカシが、他のバンドと比べて、クネクネした道を歩んでいるように見えるのは、そういうことに誰より早く気づいてしまう、自意識過剰とも言えるくらいに、自覚的なバンドだからなんでしょう。だから、エレカシを追っかけるのは疲れるのです。でも、だから、エレカシは信用できるのです。そして、そんなエレカシに、どうしようもなくドキドキワクワクゾクゾクさせられてしまうのです。(だから、私にとって特別なアーティストは、「追っかけるのが疲れる」アーティストが多いのか、はぁ)

エレカシを見失いかけたと書いたのは、エレカシってバンドを組んでる意味だとか、エレカシって名乗ってる意味だとか、エレカシにはメンバーが4人いるんだけどその意味だとか、そういう、大きく言ってしまうと「エレカシの存在理由」みたいなものを、見失うとまではいかなくても、もう一度考えざるを得ない状況になったのではないかってことです。具体的には、『グッド・モーニング』で打ち込みに走ったり、『ライフ』でプロデューサー(小林武史)に頼ったり、それはすべて「エレカシが選択したこと」に変わりはないけど、その結果、「エレカシをやる意味」について考えさせられたんじゃないかなぁ、やっぱり。だからこその、『DEAD OR ALIVE』~『俺の道』での原点回帰だったと思うし、『扉』~『風』で、そのときのバンドでできるベストを見せてくれたんだと思うもの。そして、何より、演奏技術のことなどよく分からない私にもビンビン伝わってくるくらいに、石君、成ちゃん、トミの3人がパワーアップしていったんだもの。少なくとも、「ミヤジについていく3人」ではなくなっていた。そうして、一度は見失いかけたのにも関わらず、やっぱり「エレカシ」しかなかったこと、そしてそれが、後ろ向きのマイナスな選択ではなく、前を向いたプラスの選択であることが、何より嬉しい。ライヴや音源から、それは伝わってくるからね。4人の中から「エレカシの存在理由」は、まだまだ全然、消える気配はなさそうだ!

だから、ここ数年のエレカシを追ってきた人なら、「涙」の理由、何となく分かると思うのだ(全然違ったらゴメンなさい)。「おならプップー!」は、その「涙」の「照れ隠し」なのかな。

だから思うよ。エレカシがそんな「涙」流さなくなったとき、そんな「照れ隠し」必要としなくなったとき、そのときこそ、もっともっとカッコ良くなるって。

よく分からないライヴではあったけど、そこからマイナスな要素を感じなかったのは、よく分からないながらもプラスを感じたのは、きっと、今のエレカシ4人が、前を向いていたからだと思う。だって、「涙」や「照れ隠し」の向こうに、「もっとカッコ良くなる」が見えたんだもの。エレカシ、今年もひとつ、よろしく頼むぜー!

*** 追記 ***

そんなエレカシ、3月29日にニューアルバム『町を見下ろす丘』を発表しました! 今作は、『ココロに花を』や『明日に向かって走れ』という、エレカシがドドーンとメジャーになるキッカケとなった作品を手がけた佐久間正英氏が8年ぶりにプロデュースを担当しているって話です(だから最近、『ココロに花を』や『明日に向かって走れ』の曲をよく演奏してたのかな)。そんな情報だけでも、エレカシ、勝負に出てきてる感じがする。「感じがする」だなんて曖昧に書いたのは、なかなか時間が作れなくて、まだニューアルバムを聴いてないからなんだよぅ!

にしても、新作リリースに伴うインタビューを立読みしたんだんだけど(後で買うつもりだけど)、「スタートライン」って書いてあって、吹き出しそうになってしまった。だ~って、ここ数作、いつも「スタートライン」って言ってない? いやね、そこが好きなんだけどさ。だって、それは、毎回毎回、何かを破壊して何かを創造してるってことでしょ? 結婚式とか、スポーツ選手とか、何かを成し遂げた人がよく言うじゃない。「これはゴールではない。スタートだ」って。そしたらさ、『J-CD』のインタビューでも言ってたよ。「第1弾」って。これが、88年デビュー、16枚目のアルバムを発表する人の言う台詞ですか? 今までは何だったんだよ~! いやいや、なかなか言えないと思うよ?、そんな台詞。何度目のスタートライン(ゴールライン)だ! パワー・イン・ザ・ワールド! ああ、エレカシが描いた何度目かのスタートライン(ゴールライン)、早く聴きたい…。


エレカシ野音 2005

2005-07-09 23:37:46 | エレカシ
この日のことを書くのは、もはや、無理だな。時間が経ってしまったからではない。むしろ、言葉が出てくるのを待っていたつもりだ。しかし、それらしきものは出てこない。言葉を失ってしまったんだ。

ツアー『すまねえ魂』を終えてのエレカシ@野音。雨が降っていた。石くん、成ちゃん、トミの衣装が鮮烈だった(黄・赤・青)。それぐらいだな。ちゃんと書けるのは。ただ、ツアー『すまねえ魂』で感じたことが結実していて、ある種の頂点に達していたのではないか、ということだけは言えるかな。だから詳しくは、「すまねえ魂 @リキッド恵比寿」を読んでください(笑)。ま、そこでもレポらしきものは書けてないんだけど。その前に、レポってなんだ?

自分の中で言葉を必要としていないライヴのことを、具体的に書こうとするのはやめよう。

よく、「音楽を聴くと、その音楽を聴いていた時のことを思い出す」とか言うでしょう。それはもちろんそうなんだけど、それだけじゃないと思うんだよね。音楽が、写真なんかと違うのは、「一緒に時を刻める」ってことだと思うの。そういう音楽こそが、長く聴き続けられる音楽なのかも知れない。もちろん、その音楽を聴いていたある一定の時間は、その音楽とともに胸に刻まれるのだろう。でも、その音楽を改めて聴いたとき、そこには「今」も刻まれるんだよね。写真とかは、どうしたって「そのとき」だったりすると思うんだけど、音楽は、「そのとき」と「今」を行き来したりするんだよ。これは、音楽が目に見えなくて、形がないからかも知れない。だから、「人に歴史あり」というように、「音楽にも歴史あり」だと思うんだよね。この日ほど、それを実感した日はなかった。

「良いライヴだった」

こんなバカみたいな言葉しか浮かんでこない。昔の曲やちょっと前の曲や最近の曲や新曲。たくさん曲をやってくれて、「エレカシの歴史」を感じたと同時に「自分の歴史」なんかも感じてしまって、それらが野音の景色や雨、空、風なんかと混ざって、「そのとき」と「今」を行き来していた。自分にとってはそれがすべてで、それはあまりにも個人的なことだから、それは「ライヴ」の話とは違うものになってしまいそうで。かと言って、具体的に「ライヴ」のことを書き出せば、それは「自分の中のもの」とは違うものになってしまいそうで。だから、うまく書けないんだろうけど。特に、2001年の野音のことを思い出したな。そのときのライヴに近いものを感じた。あれからエレカシも一周したのかなとか思ってしまう。

ちなみに、エレカシは1990年から毎年野音でライヴをやっている。だから今年は16年目。レコード会社との契約が切れていたときもやっていたんだよ! 継続してくれてることが、どれだけありがたいことか。毎年一回エレカシのライヴがあるというだけで、東京の価値がグーンと上がってるね! 行ったことない人は、東京を知らないって言って良いよ!(笑) 一度は行かにゃぁ!

ああ、やっぱり言葉にできない。すっかり降参だ。こういう演奏だったとか、MCでこういうことを言っていたとか、書けば書くほど、違うものになっていく気がする。

まぁ、私なりに書いてみよう。

男の人って切ない。そんなことを感じてしまった。「男ってのは勝ちにいかなくちゃならないんですかね?」。誰にでもなくこう問いかける宮本さんに、できることならば、今すぐにでも「勝利」とやらを差し出したい気持ちになった。傲慢にも。切実にも。もちろん、そんなことはできないんだけど。女はどうなのかな。「勝ちにいかなきゃ」とか、あんまり思わない気がする。でも、女には女の「戦い」があるような気もする。それは、男の人の「戦い」とは違うような気がした。「すまねえ魂」で、「金じゃないんだ。女でもないんだ」と言って、“探してる 探し歩いてる”と歌っていた宮本さん。やっぱり、女の人とは違うのかもな…と思った。よく分かんないけど。

「お前の夢を見た」は、こんなもん見ちゃって良いの?って思った。<おれはひとりぼっち お前がいても おれひとりでも>って、こんなイジけた姿、晒しちゃって良いの? 見ちゃって良いの?って思った。ハッキリ言って参った。スゴすぎるよ。世の中にあふれている歌という歌が、歌唱という歌唱が、ヌルく感じた。

「おまえと突っ走る」~「かけだす男」らへんで、泣きそうになってしまった。そう、選曲や天候のせいもあったのか、この日はとにかく“泣ける”ライヴだった。エレカシは私にとって、SMAPの「夜空ノムコウ」じゃないけれど「心のやらかい場所」を一番に刺激する存在なのかも知れない。雨が降っていたのは、空も泣いていたのかも知れないよ。

「OH YEAH!」をやってくれた。いつだったか、「俗っぽく生きていこうぜ!」という言葉にグッときた。

「武蔵野」で、ミヤジの声が震えていた。ミヤジも泣いていたのかな? やけに生々しかった。「お前の夢を見た」もそうだったけど。

最後は、「ファイティングマン」。

ごめんなさい。こんなことぐらいしか書けませんでした。他にも、ミヤジが「しらけるかなと思ったんだけど…」とか言いながらバケツの水を二回もかぶったとか、「先生には聞こえてるんだ」と自分のことを「先生」って言ってたとか、「凡人」って曲のことを「この曲難しい。オタクっぽい…」と言ってたとか(そんな曲の題名が「凡人」ですから!)、自分の曲を「予習してきた」とか、石くんのドデカいサングラスとかあやしい動きとか、成ちゃんの汗やら何やらで変色したシャツとか(ベスト着てるのかと思った)、色々あったけれど…。そう言えば、「デーデ」のことを「貧乏人に捧げる“バラード”」と言ってたなぁ。

でも、そんなことより、「エレカシ」が上回っていた。おそらく、その場で演奏する曲を決めていってるにも関わらず、乱れない流れ。「平成理想主義の旅 @渋谷AX」で、『DEAD OR ALIVE』~『俺の道』で、バラバラになりかけた心(宮本浩次)と体(バンド)が再び引っ付き合い転がり始めたと書いたけど、今のエレカシには、それプラス、技もある。心・技・体ってやつだよ。再生した何度目かのエレカシ。そこから繰り出されるバンド・サウンドをうまく説明できれば良いんだけど、それは無理。もったいない。ナマで確かめてみて欲しい。そういや、「平成理想主義の旅 @リキッド恵比寿」で、こんなに頼もしいバンドとなったエレカシをCDにも刻まなければっ!と書いていたことを思い出した。今、そのために練ってるのかなぁ。

そんなエレカシが演奏する、色んな時代の曲たち(この日は特にアルバム『ココロに花を』からの曲が多かった)。それらを聴いて、やっぱり良い曲だぁ!と思ってCDを聴いてみると、当たり前のことかも知れないけど、それはそれでまた違って聴こえる。だから、CDに収められている曲たちの聴こえ方も違ってくる。

エレカシがいなくったって、私は生きていけるのだろう。お腹が空くわけじゃなし。病気になるわけじゃなし。お金に困るわけじゃなし。

だた、ただね。エレカシの音楽が聴こえてこない世界なんて、想像できなくなっちゃったんだよ。ただそれだけのことなんだよ。

きっと、私がエレカシを愛する理由が、音楽を愛する理由が、そこにはあったんだ。

<セットリスト>
1. 生命賛歌
2. デーデ
3. 浮き草
4. 風に吹かれて
5. 悲しみの果て
6. 今宵の月のように
7. すまねえ魂(新曲)
8. お前の夢を見た(ふられた男)
9. 孤独な旅人
10. 珍奇男
11. 真夏の星空は少しブルー
12. 道
13. 人生の午後に(新曲)
14. おまえと突っ走る
15. かけだす男
16. OH YEAH!(ココロに花を)
17. うれしけりゃとんでゆけよ
18. 四月の風
――アンコール 1――
19. 昔の侍
20. 極楽大将生活賛歌
21. 涙
22. 凡人 -散歩き-
23. 明日に向かって走れ
――アンコール 2――
24. 月の夜
25. ガストロンジャー
26. 武蔵野
27. ファイティングマン