助ぶ六゛

楽しかったこと、おいしかったもの、忘れられないこと

焼き鳥天国・今治

2005年11月06日 | しまなみ海道ポタ
さて、今治。

しまなみ海道を渡りきった我々。しかし、来島海峡大橋で海峡に沈む夕日を眺めていたため、今治市内に入る頃にはすでに辺りは薄紫色の宵闇の中に。
しかもサンライズ糸山の近くで、全国を自転車で旅しているという仙人のような謎のおっちゃんと立ち話なんぞしていたもんだから、宿に着いた頃にはあたりはだいぶ真っ暗に……。
さて、夕飯はどうしたものか。しまなみ海道を渡りきった祝杯もあげたいし。。。
そこで「うまいものは地元の人に聞け」という名言に従って、ホテルのフロントのおじさんにあたりのおいしい店を聞くことにした。

フロント「そうだべな~。ここは田舎だから飲食店はあまりないけんども、今治っちゅうたら焼き鳥が名物だで、ぜひ行ってみるとよかっぺよ。そんだなあ。こっからだったら『五味鳥』がオススメだぎゃ」

というわけで、ホテルから歩いて5分くらいのところにある「五味鳥」という焼鳥屋さんに行ってみることにした。
店の外にはおっきな赤提灯。のれんをくぐって中にはいると、にぎやかな人々の喚声。カウンター席に案内され、おしぼりを渡される。
とりあえずのビールを頼んで、メニューに目をやる。さまざまな鳥肉の部位や野菜の名前が並んでいる。
我々はねぎま、手羽先、皮、ピーマン、れんこん、そしてつけあわせにたこぶつを注文した。
しばらくして威勢のいいかけ声とともに出てきたのがこれである。



なんとも香ばしい匂い! 我々はつい先日までコケコッコーと鳴いていたこれらの艶やかに輝く物体を、夢中で口に運んだのだった。
特に絶品だったのが「皮」。
ここ、今治の焼き鳥は一般的な炭火焼き鳥ではなく、鉄板でジュウジュウと焼き上げるタイプ。
詳しくはこちらのページに書かれているので、ぜひご覧になって欲しい。

さて、しばらく食べていると、隣の席に座った常連さんらしきお客が、うまそうな唐揚げを食べていることに気づいた。
「レオ、あれ食べたーい」と、レオがよだれを垂れ流す。
しかし、メニューを穴をあくほど見つめても、鶏の唐揚げはどこにも書かれていないのだ。
「おかしいなあ???」
ただ、メニューの中にはただひとつ、「せんざんき」という正体不明のメニューが存在していた。
まてよ、北海道では確か鶏の唐揚げを「ざんぎ」と言うはずだ。「ざんぎ」と「せんざんき」。。。
当たらじとも遠からじ。。。
男、一世一代の賭に出た。
「おやっさん、せんざんきひとつ!」
僕はいかにも毎日食べてますよってな感じを装って、謎の食べ物を注文したのだった(後にレオに聞いたことだが、このときの僕の声は誰が聞いてもそうとわかるくらいに上ずっていたそうである)。

で、出てきた料理がこれ。



ビンゴ!
「五味鳥」のせんざんきは噛むと歯ごたえがシャオッとしていて、とてもジューシーで、まさにしまなみ海道走破を祝うにふさわしい絶品料理なのだった。

でも、どうして「せんざんき」なんて言うんだろう?
「お兄さ~ん」
あ、久々のモグタン!
「せんざんきの由来を知りたいんでしょ。今日はだいぶ字数を尽くしたから、ちゃっちゃっと行くだすよ」
なんだか事務的だな。
「うるさいだすねー。知りたいの? 知りたくないの?」
あ……知りたいです。
「それじゃあ行くだすよ
クルクルバビンチョパペッピポ、ヒヤヒヤドキッチョの、モ~グタン


やきとり天国/せんざんきの謎

なるほど~、諸説があるんだね。
「そうだね。人間の知的活動において、時代が経つにつれて『後付けの理由』が出てくるってことは避けられないんだ。でもどれが正しくて、どれが間違っているかということを考えることはナンセンスだね。大事なのは、この素晴らしい伝統を、オイラたちも守って行かなくちゃってことだね」
本当にその通りだね。
「ところでお兄さん、あの外で鶏の真似をして踊っている雌獅子は何?」



あっ、せんざんきのことに夢中で、レオのこと忘れてた~。ちゃんちゃん。

今治の焼き鳥については、こちらの「やきとり天国」さんが詳しく調べられている。おいしい「皮」や「せんざんき」の作り方も載っているので、旅の前に、あるいは後に、一度ご覧になってみることをオススメする。