メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

わが青春の角川映画vol.2

2007-01-07 21:16:37 | 映画
『時をかける少女』(1983)
監督:大林宣彦 原作:筒井康隆
出演:原田知世、尾美としのり、高柳良一ほか

桃、栗、三年 柿八年 柚子は九年でなりさがる
 梨の馬鹿めが十八年~

セリフを覚えてしまうほど何度も観た角川映画第二弾はこれ。
前回と同じように監督のコメンタリーを期待していたけど、ないのが残念。
その代わり特典には、当時の原田知世の写真画像やTV用CM(これ見た!)
ロケ地めぐりに役立ちそうなマップ、貴重なスクリプト、監督のインタビューなどから
撮影時のエピソードも聞けるようになっている。

当時、原作も読んで、眉村卓ほどにはハマらなかったけど、映画とはまた違った
魅力があった記憶がある。時間のひずみに入り込んでしまった少女の戸惑いと
夜中のシーンの描写がおぼろげにいまだ印象に残っている。

主題歌はひきつづき松任谷正隆が作って、物語りのラストに出演者全員をバックに
原田知世が歌っているのが今見ても異色で面白いw
ザ・ベストテンかなにかの音楽生番組で歌ったときはあまりにも音程が外れてて
コケそうになったけど(爆)、いまでは透明な声はそのまま歌手活動も幅広くしている
いつまでも新鮮な美しさのままの原田知世はステキな女優だ。

尾美としのりがまたイイんだよね~!若いのに細かい演技までしっかりしてて。
今作の吾朗ちゃんみたいなコがクラスにいたら好きになっちゃうなあ!
どっかおとぼけキャラなんだけど、家の醤油屋を継ごうと土日も真剣に手伝ってて、
さり気なく電車で深町くんに席を譲るシーンや、和子にハンカチを出すシーンの
あったかい優しさとか。こんな幼なじみがいたらって思わせる。

脇を固めている往年の名優・上原謙と入江たか子の老夫婦も泣かせる。
大人に成長した2人のメイクはコスプレみたいにぎこちないけどw
スレ違っても気づけないところに切なさが残るラストシーンだ。

懐かしい面影が残る石畳や石の階段に下駄で歩くからんころんて音が心地よい。
尾道三部作のまだ見てないほかのも気になってきた。
あと尾美としのりの出演作も!w 『転校生』と『翔んだカップル』をこんだ探してみよっと♪

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『風の視線』

2007-01-07 16:01:12 | 映画
『風の視線』(1963)
監督:川頭義郎 原作:松本清張
出演:佐田啓二 、新珠三千代 、岩下志麻 、園井啓介ほか

大体いつもその時々興味のあるテーマでまとめて観ている。
気に入った監督や俳優、ジャンルや、ただ単に「海」「砂漠」ものなんてときも。
今回は、日本の作家、監督シリーズで借りてみたんだけど、どれも当たりの秀作揃いv

「女性自身」に連載していた小説の映画化とゆうことで納得。
「奥さんっ」「いけませんわっ」「僕は二度と君を離さないぞっ!」などと
加山雄三の歌詞みたいなセリフがほんとに出てくるラブロマンス。

佐田啓二と新珠三千代のキスシーンだけでも美しくて見応えあるし、
まだ極妻じゃなかった頃wの若く初々しい岩下志麻もキレイ~!
今ほど海外はもちろんのこと、国内旅行もそう気軽に行けなかった時代に
「夫がシンガポールに転勤で・・・」とか松島で密会とか、「吉祥寺の美味しい和食屋さんが
あるから・・・」なんてそんな非現実的な旅の情緒を味わえるのも魅力。
佐渡への転勤が島流しだなんて言われ方もしてたし/苦笑

夫も浮気者なら、妻も不倫、その相手はバーのママとも関係してたりと、かなり身近な
ところでこれだけ絡みあっていたらバレないはずはないだろうてくらい複雑な人間模様。
原作者の松本清張もチラっと出演しているのも面白い。


こうして昔の素晴らしい邦画を再びいい状態で自宅でゆっくり楽しめるって
しみじみ嬉しいことだ。


・・・にしても、風が強いな(作品のタイトルつながり?いやいや
軽いにゃんこ1匹くらいは吹き飛ばされる勢いだ。

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『女が階段を上る時』

2007-01-07 12:31:57 | 映画
『女が階段を上る時』(東宝・1960)
監督:成瀬巳喜男
出演:高峰秀子/森雅之/加東大介/中村鴈治郎/仲代達矢/団令子ほか

さすがの成瀬巳喜男作品。素晴らしい名作です。
こうゆうのが本当に後世に残るべき映画とゆうもの。

銀座のバーの女を描きつつ、男女の駆け引き、情愛のありかたを通して、
ほんとうの女のしあわせとは何か深く問いかけている。

お金や名声、地位や権力に執着するのも、恋をしたり、結婚という約束に執着するのもすべて
元をたどれば「孤独感」からきていると以前読んだことがある。
1人で産まれて、1人で死ぬという事実に耐えられない寂しさから人は様々なものに執着する。
根底はみなひとつにつながっているという記憶を忘れてしまっている。

脚本も素晴らしいし、キャスティングがこれまたカンペキ。
高峰秀子は、落ち着いた中にも色香のある女優。
銀座の高級バーの華やかさの裏にある影の部分、酸いも甘いも知った大人の女の気丈さと、
家族の生活を1人で支えてギリギリの経済&精神状態で生きていかなければならない
女の苦労や哀しさを細部にわたって見事に演じきっている。お見事

わたしの大好きな森雅之との共演も嬉しい。
不倫関係になってもうなづける、49歳にしてこの魅力
(実際は家庭をとても大事にしていたと読んだが。
『白痴』で知ってから出演作でビデオ&DVD化されているものはほぼ観ている。
どんな役もこなすたしかな演技力はもちろん、その知的なダンディズムの中に
妖しいデカダンスな空気が惹きつけて離さない。

また、バックに流れるムーディなジャズも物語りを効果的に彩っている。

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