メランコリア

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ここにあるのはわたしの心象スケッチです。

『女が階段を上る時』

2007-01-07 12:31:57 | 映画
『女が階段を上る時』(東宝・1960)
監督:成瀬巳喜男
出演:高峰秀子/森雅之/加東大介/中村鴈治郎/仲代達矢/団令子ほか

さすがの成瀬巳喜男作品。素晴らしい名作です。
こうゆうのが本当に後世に残るべき映画とゆうもの。

銀座のバーの女を描きつつ、男女の駆け引き、情愛のありかたを通して、
ほんとうの女のしあわせとは何か深く問いかけている。

お金や名声、地位や権力に執着するのも、恋をしたり、結婚という約束に執着するのもすべて
元をたどれば「孤独感」からきていると以前読んだことがある。
1人で産まれて、1人で死ぬという事実に耐えられない寂しさから人は様々なものに執着する。
根底はみなひとつにつながっているという記憶を忘れてしまっている。

脚本も素晴らしいし、キャスティングがこれまたカンペキ。
高峰秀子は、落ち着いた中にも色香のある女優。
銀座の高級バーの華やかさの裏にある影の部分、酸いも甘いも知った大人の女の気丈さと、
家族の生活を1人で支えてギリギリの経済&精神状態で生きていかなければならない
女の苦労や哀しさを細部にわたって見事に演じきっている。お見事

わたしの大好きな森雅之との共演も嬉しい。
不倫関係になってもうなづける、49歳にしてこの魅力
(実際は家庭をとても大事にしていたと読んだが。
『白痴』で知ってから出演作でビデオ&DVD化されているものはほぼ観ている。
どんな役もこなすたしかな演技力はもちろん、その知的なダンディズムの中に
妖しいデカダンスな空気が惹きつけて離さない。

また、バックに流れるムーディなジャズも物語りを効果的に彩っている。


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