わが青春の角川映画vol.５

『愛情物語』（1984）
原作：赤川次郎　製作・監督：角川春樹
出演：原田知世、渡瀬恒彦、倍賞美津子、室田日出男、加賀まりこほか

今作もほんとうに何度も繰り返し観た角川作品。当時ミュージカルなんてまったく
触れる機会もなかったから、ヒロイン演ずるアイドル・原田が本格的に踊るシーンを
随所に見せるまさに「ミュージカル映画」に新鮮な驚きを感じたものだ。

幼児期バレエを習っていたという経歴を生かして、原田の生真面目さが伝わるような、
初々しく、フレッシュなパワーあふれるフラッシュダンスばりのダンスシーンは、
ほんとに貴重な記録。

捨て子だった美帆の誕生日に毎年、花を贈ってくれる”あしながおじさん”、そして
本当の両親を探して、情緒あふれる金沢、長崎などを訪ね歩くロードムービーでもあったんだな。
たどり着いた古びた洋館は、まるで幽霊屋敷のようにミステリアスで、
精神異常になった加賀の顔が人形に変わるシーンなど実験的な映像効果も面白い。
旅を共にする篠崎役の渡瀬は『セーラー服～』のヤクザとはまた全然違った
包容力ある大人の男の魅力充分！

16歳の少女の長い葛藤や、勇気と自立心、心細さ、辛い真実を知ったあと深く傷ついても、
確固たる夢に向かってダンスショーのオーディションを受けるべく
ただひたむきに独り努力する姿がカッコいい。

ダップリとした渋い茶やグレーのジャケットやシャツ、旅で持ち歩いてたやはり茶の
大きめサイズのバッグも少女らしくないデザインで、それがかえって大人びた感じがして
なんだか憧れに似た気持ちをもった記憶もよみがえった。

主題歌は♪愛情物語　で原田自身が歌っている。挿入歌もたくさん入っているが、
わたしはやはり松任谷由実作の♪ダンデライオン　が大好きだ。

♪きみはダンデライオン
　本当の孤独を　今まで知らないの
　とても幸せな淋しさを抱いて
　これから歩けない
　私はもう　あなたなしで



16歳かぁ・・・自分はその頃なにをして、なにを夢見ていたんだろう？