森の詞

元ゲームシナリオライター篠森京夜の小説、企画書、制作日記、コラム等

日々の生物(ナマモノ) 第11回

2008年11月18日 | 日々の生物(ナマモノ)

 生物の授業とは無関係な質問も多数寄せられました。
 ここでまとめて回答します。


ナマモノの質問じゃないぞ編


Q:「カツオ君の通っている小学校の名前は?」
A:「かもめ第三小学校。永遠の5年3組です」


Q:「亀仙人は何歳?」
A:「公式設定では初登場時で319才だそうです。ピッコロ大魔王は300年間封印されていたので、武泰斗が死んだときには20歳くらいになりますね(ちょっと老け顔だな)」


Q:「ヤードラット星はどこにある?」
A:「ナメック星の近くじゃないですか?」


Q:「先生はどうして白衣を着るんですか?」
A:「白い色に理由があります」

 白衣というのは本来、実験で薬品がこぼれたときに体を守るために着ます。白いのは付着した薬品を目立たせるためです(早めに取らないと危険な薬品があるので)。元々、汚れを目立たせるための白衣なので、私の白衣が汚れていても指摘しないように。
 でも、教師が白衣を着るのは、チョークの粉がついても目立たないからです(笑)。後、薄手なわりに風を通さないので暖かいんです。

 
Q:「どうして人間は魚を書くときに左を口にして書くのですか?」
A:「右利きの人が多いから」

 右利きの人間は左向けの顔の方が書きやすいのです。動物の絵だけではなく、肖像画とかも殆ど左向けです。右手で書くと左に張った弧が書きやすいので、そうなるのでしょう。左利きだと逆になります。
 実際に書いてみるとわかりますが、右利きの人間は右向きの顔が書きにくかったりします。漫画家でも人物の顔の向きが統一されている人がいて面白いです。一概には言えませんが、どちらの向きの顔でも上手く描ける漫画家は実力が高い気がしますね。


Q:「先生は、ザ・タッチをどう思いますか?」
A:「クリボー……」

 スーパーマリオブラザーズってファミコンのゲームに「クリボー」って敵キャラがいましてね。ゲームの最初にこいつが2匹並んでやってくる所があるんですよ。ゲーム的には無視して行けばいいんですが、並んで歩いているのが妙に気になるんです。ああ、また仲良く並んで歩いているなって……。
 ……なんか、そんな感じ。


Q:「地球はどうやってできたの?」
A:「地学の先生に聞いて下さい。きっと3時間くらい話してくれます」


Q:「カメハメ波はどうやったら出せる?」
A:「亀仙人に聞け」


Q:「ジャッキー・チェンとブルース・リーはどっちが強い?」
A:「私も知りたいです」

 実は映画「燃えよドラゴン」にはジャッキー・チェンがエキストラ出演しています。中盤のヤラレ役の中で一人だけ動きが違うのがいますから、それがジャッキーです。


Q:「カート・コバーンはどうして死んだんですか?」
A:「私も知りたいです。奥さんのコートニ-ラブが何か知っているらしいですが不明です」


Q:「百式のメガ・バズーカ・ランチャーの口径ってどれくらいでしたっけ?」
A:「調べてみましたがわかりませんでした」

 昔から思うんですが、ビーム砲は威力が増すにつれて口径が大きくなるのはどうしてなんでしょうね。ビームなんだから、細い方が威力も高そうなのに。


Q:「本屋さんに行くとインクの匂いでトイレに行きたくなるって本当ですか?」
A:「本当です」

 調べてみたら結構有名な現象で、ご丁寧に「青木まりこ現象」という名前までついていました。青木まりこという女性が、1985年にある雑誌に投書したことから命名されたそうです(青木さんも可哀想に)。
 理由として考えられているのは
・本の紙や印刷のインクのにおいが排泄欲を刺激するため
・トイレのない書店でトイレに入りたくなったら困るという精神的プレッシャーのため
・書店という非日常的空間で好きな本を探す行為が心身をリラックスさせるため
 などがありますが、どれも決定的とは言いにくいようです。なんにせよ心理的な原因で起こるようですが、人によって個人差がありそうですね。

日々の生物(ナマモノ) 第10回

2008年11月17日 | 日々の生物(ナマモノ)

カタツムリなど編


Q:「カタツムリは何故、でんでん虫?」

 殻にこもっている時に「出よ(出ろ)、出よ、虫!」とはやし立てたことから(そんな遊びがあったのでしょう。暇だなあ)、「出よ出よ虫」→「でんでん虫」になったそうです。
 他に、殻にこもって出てこないので「出ない」→「出ん」→「でんでん虫」になったという説もあります。
 カタツムリという呼び方は元々京都付近の方言で、「かた」は「笠」、「つむり」は「巻き貝」。「笠みたいな貝」ということみたいですね。


Q:「そこら辺にいるカタツムリも食えますか?」

 日本でも昔からよく食っていたみたいです。ナメクジも食えます。生飲みするとノドによい、という話を聞いたことがあります(!)。
 ただ、寄生虫がいるので、焼いた方がおすすめです。味は不明ですが、近い仲間なので貝みたいな味じゃないでしょうか?


Q:「カタツムリの歌の<ツノ出せ~ヤリ出せ~目玉出せ~>のツノとヤリって何?」

 まず、正式な歌詞は<ツノ出せ~ヤリ出せ~頭出せ~>らしいです。カタツムリの頭から飛び出しているのが「ツノ」か「ヤリ」のどちらかで、先端に目玉がついています(だから、目玉と同じ)。で、これとは別に触角が出ているので、これがもう一方でしょう。
 ちなみに「かたつむりの歌」は作詞・作曲共に不明です。
 ……気になるなあ。


Q:「カタツムリも塩をかけたら溶けますか?」

 溶けます。と言うか縮みます。カタツムリとナメクジは殻のあるなし以外はほぼ同じです。カタツムリは殻があるので、どの程度縮んだのかわかりにくいのが難点ですが、カタツムリは殻の入り口を閉じられないので(膜は張れるようです)、気長に塩をかけていけばそのうち死ぬでしょう。


Q:「貝の貝殻は成長と共に大きくなるそうですが、ヤドカリの貝も大きくなりますか?」

 ヤドカリは貝の仲間ではなく、エビの仲間です。特にヤシガニに近い種類です。ですから、生まれつき殻があるのではなく、死んだ貝の貝殻を利用して、そこに住んでいるのです。「宿(貝)を借りている」ので、ヤドカリってことですね。ヤドカリは成長すると、貝を次々に取り替えていきます。


Q:「アメフラシとウミウシは何が違いますか?」

 私は空条承太郎みたいに海洋学者じゃないので詳しくはわかりませんが、ほとんど差はないんじゃないですかね。ウミウシより大きめで、つついたら液体を出すのがアメフラシってことでいいと思います。

日々の生物(ナマモノ) 第9回

2008年11月16日 | 日々の生物(ナマモノ)

Q:「ハムスターの名前の由来は? いつからペットとして飼われるようになったの?」

 ハムスターはドイツ語で「(食べ物を)ため込む」という意味らしいです。頬袋に色々とため込んでますね。一般的なゴールデンハムスターは1930年代にシリアで捕獲された個体の子供が繁殖して世界中に広まったそうです。ペットとして飼われるようになったのは、その後ですね。


水族館編


Q:「マグロは止まってしまうと死ぬらしいけど、水槽では飼えないの?」

 仰る通り、マグロやカツオなどの回遊魚は泳ぎながら海水から酸素を取り込むので、止まると呼吸ができません。ですが、回遊魚は泳ぐことに特化した生物ですので、十分な大きさの水槽(海水入り)の中なら泳ぎ回ることができます。実際、マグロの養殖場や、マグロが飼育されている水族館も存在します。近畿なら大阪にある海遊館がそうですね。
 で、どれくらいが十分な大きさかというと、10~20cmの回遊魚で、最低90cmの水槽が必要なようです。最大3m(!)を越えるクロマグロとなると、養殖用のいけすが直径17mほどの大きさで、これでも運動不足になるそうです。自宅に17mほどの水槽があって、毎日新鮮な海水が用意できるならどうぞ。


Q:「マンボウって水槽に当たると死ぬのは何故?」

 前述のとおり、マグロは慣れれば水槽の中でも器用に泳ぐことができます。しかし、マンボウという魚は変わった形をしていて、泳ぐのが不得意なんです。方向転換が苦手な上に、海の真中で漂っている生活なので、水槽に入れると壁にぶつかりまくるらしいです。一回ぶつかったくらいでは死なないでしょうが、何回も繰り返すと衰弱して死ぬのだと思います。
 よく生きていけるなと思いますが、基本的に肉食の生物は自分より大きい生物を襲わないので、一旦大きく成長してしまうと敵はいないのでしょう。ただし、大きく成長することができるのは少数ですが。


Q:「水族館の魚ってどうやって水槽に入れたんですか? トラックとかで運んだんですか?」

 船で運ぶのが一般的なようですが、陸送もあります。調べてみたら、鹿児島で獲れたマグロを名古屋までトラックで運んだ例がありました。水槽ごと運ぶ感じでやればいいわけです。海の魚ならば新鮮な海水が必要になるので、それを絶やさないようにするのが問題です(ですから、水族館は海の近くに多いんです)。
 イルカとかシャチを運んでいる映像を見たことがありますが、海水に浸した状態でトラックに乗せていました。彼らは肺呼吸ですから多少の無理ができるようですか、さすがに辛そうでしたね。


カメムシ編


Q:「カメムシは何故、臭いんですか?」
Q:「カメムシの寿命は?」
Q:「カメムシの巣は土の中ですか?」
Q:「カメムシはなんで、あの形なんですか?」

 カメムシは半翅目と呼ばれる種類の昆虫です。近い種にはセミ、アメンボ、タガメ、ヨコバイなどがいます。頭が平らなホームベースっぽい形のものが多く、カメムシは一番、極端に四角い形をしています。形が亀の甲羅みたいなのでカメムシというらしいです。
 カメムシが匂いを出すのは、主に敵から身を守るためだそうです。他にも匂いを出して仲間に危険を知らせたり、仲間同士で集まる目印に使ったりしているのでは、とされています。
 ちなみにカメムシの匂いでカメムシ自身が死ぬこともあるそうです。容器の中に匂いを充満させて、小さな昆虫を入れると死にますが、カメムシを入れても死ぬのだそうで。
 カメムシは夏前に生まれて成虫のまま冬を越します。だから、1年以上は生きるようです。冬を越すのは様々な場所で行うそうですが、土の中で冬を越すというのは聞いたことがないですね。ただ、種類によっては根から汁を吸うものもいるそうです。

日々の生物(ナマモノ) 第8回

2008年11月15日 | 日々の生物(ナマモノ)

昆虫編-2


Q:「海岸にいるゴキブリみたいなのは何ですか?」
A:「フナムシです」

 フナムシは陸上に住んでいる甲殻類(エビやカニ)で、ダンゴムシの親戚です。水がなければ死んでしまいますが、泳げないという中途半端な生物です。ムシと名前にありますが、昆虫ではなく「エビが陸上を走り回っている」ような生物だと思ってください。
 動きがゴキブリに似ているのは、恐らく偶然です。


Q:「昆虫はどうして足が6本なんですか?」
A:「昔はもっと多かったのですが、だんだん減って6本になりました」

 昆虫の祖先はムカデのように体が長く、体節(殻で覆われた区分)ごとに足が生えている構造だったと考えられています。ただし、この祖先には今の昆虫に見られるような「触角」や「羽」はなかったようです。昆虫の進化の過程でたくさんあった足は退化、もしくは別の形に変わっていきました。現在の昆虫の「触角」や「羽」は足が変化したものです。その他、昆虫の口には「口吻」というキバみたいなものがありますが、あれも同じ由来です(蝶の口のストローみたいなのも)。
 他にも「尾の部分にある毛」(カゲロウとかありますよね)や「ハサミムシのハサミ」も原始的な足が変化したものです。



  
      カゲロウの尾の毛

 足が退化したことは、イモムシの足からわかります。イモムシの足はお腹の方にもありますが、蝶になると胸の6本以外はなくなります。イモムシのような足が、祖先種での足の付き方で、成虫が現在の昆虫での足の付き方になります。ですから、蝶はイモムシから成虫になる過程で進化の歴史を辿っている、ということになりますね。
 足の数が少なくなった理由は不明ですが、考えられる理由の1つとして、「足が多いと飛べないから」というのがあります。足の数が多いと、その分体重が重くなります。重いと飛ぶのが困難なので、飛べるようになるのと同時に足の数も減っていった、というわけです。
 ムカデとかゲジゲジは足の数が多いままなのですが、こいつら絶対に飛べそうにないですよね。

 ちなみに動物として陸上に初めて進出したのも、初めて空を飛んだのも昆虫(節足動物)と考えられています。昆虫をナメてはいけません。


今回の全く役に立たないトリビア
 蚊取り線香を作っている「キンチョー」の正式な社名は大日本除虫菊株式会社(だいにほんじょちゅうぎくかぶしきがいしゃ)。「金鳥=KINCHO(きんちょう)」は商標名であり、会社名ではない。

とるに足りない、けれど大切なこと

2008年11月14日 | Weblog

 色々あって、慣れない介護疲れに憔悴していた今日この頃。
 そんな中、とても嬉しい事がありました。

 とある人からの携帯メール。
 些細なことかもしれない、けれど確かな信頼の証。

 送ってくれた人にとっては、ごく当たり前の行動だったのかもしれない。
 このタイミングで送られてきたのも、単なる偶然かもしれない。
 けれど、本当に嬉しかったです。

 溢れ出る感謝をダイレクトにしたためるのは気恥ずかしくて、返信はあくまで普通に。それでいてこんなところで告白しているあたり、私もまだまだ素直さが足りない。
 どっちみち目に触れるのにね。

 ああ、なんだか若いぞ私。
 後輩の影響だろうか。
 だとしたらいい影響だと思う。今更ながら、この出会いにも感謝。

 海藤が来てくれたり、友達の作品が一歩一歩完成に向かっていたり。少しずつ、でも確実に、色々なことが動いている。
 私も動こう。まずは友人への協力に全力投球、そして……次の資格試験に向けて勉強だ。

日々の生物(ナマモノ) 第7回

2008年11月14日 | 日々の生物(ナマモノ)

昆虫編-1

 私は農学部出身なんですが、実は昆虫の研究は農学の範疇です。実際には「害虫防除」のほうから研究している場合が多いですが(このテーマだと実用性が高い)、やっている人には虫好きが多いですね。虫への愛ゆえに防除できるのです。


Q:「蚊はどれくらいの量の血が吸えるんですか?」
A:「自分の体重とほぼ同じだけ吸えるらしいです」

 どこを探せばいいんだ、こんな情報………と思いましたが、「キンチョー」のHPにありました。さすがは大正時代から日本の害虫を殺しまくっている会社です。やはり害虫防除と虫への愛情は表裏一体ですね。蚊の体重は2~3mgだそうなので、1匹で約2~3mℓの血が吸えることになります。血を吸った蚊の動きが鈍くなるのも当然ですね。
 蚊は基本的に花の蜜や植物の汁を吸いますが、メスの蚊だけは卵を産むのに必要なタンパク質を摂取するために血を吸います。オスの蚊は一生、血を吸いません。
 ちなみに成人は約60%が水分です。私は体重が約60kgなので36ℓの水分があります。ですから12000~18000匹の蚊に一度に血を吸われると、体中の水分が全てなくなる計算になります。
 ……まあ、1万匹以上の蚊に襲われることを考えただけで死にそうですが。


Q:「以前、この紙(A4の1/4)より大きなガガンボを見ましたが、そんなことありうるの?
A:「ありえます。自分の目を信じてください」

 蚊によく似た足の長~い虫を見かけると思いますが、名前を「ガガンボ」と言います。「蚊の母」という意味だったのが、変化したらしいです。「カノハハ」→「ガノボ(母)」→「ガガンボ」ですかね?
 言っておきますが、本当に母ではありませんよ。よく似た別の種です。
 ガガンボには色々な種類がいますが、その中で最大クラスの「ミカドガガンボ(帝ガガンボ?)」と言う種は全長35~45mm(と言っても、ほとんど足ですが)らしいので、恐らくこれを見たのでしょう。ちなみに便所とか木の陰とかによくいます。
 ちなみにガガンボは蚊と違って血は吸いませんし、悪さもしないのですが、姿が気持ち悪いので害虫扱いされている可哀相な存在です。


Q:「昆虫の呼吸はどうやっているんですか?」
A:「体に開いている<気門>という穴から空気を取り込んでいます」

 昆虫は口から空気を吸っているのではなく、腹部に開いている小さな気門という穴から空気を取り入れています。この気門は腹部に体節ごとに存在しますので、昆虫を窒息させようと思ったら、口ではなく、お腹の部分をふさぐ必要があります。気門をふさぐ方法としては「合成洗剤を浴びせる」というものがあり、粘着性の液体が気門をふさいで窒息させるそうです。
 ちなみに、ゴキブリで実際に試してみたのですが、かなり効率的に何匹も退治できました。

 おまえの部屋はそんなにゴキブリがいるのか

 ……という疑問はナシの方向で。

日々の生物(ナマモノ) 第6回

2008年11月13日 | 日々の生物(ナマモノ)

畜産編-2


Q:「肉食動物は肉だけしか食べないけど、栄養が偏ったりしないんですか?」
A:「大丈夫です。草食動物を食べることで間接的にビタミンを取っています」

 まず言っておきますが、肉食による栄養補給は結構簡単です。動物の体を作る材料はどの種でもあまり差はありませんので、似た動物を頭から内臓まで全部食べれば、体を作るのに必要な材料はほぼそろいます。
 問題はビタミン類です。ビタミンとは「動物が自分の体では作り出せず、他の生物(主に植物)から取り入れなければならない微量成分」の総称です。草食動物は当然、草からビタミンを摂取します。肉食動物は草食動物の内臓を食べることで、ビタミンを補給しています。肉食動物はまず草食動物の内臓から食べ始めますが、これは草食動物の内臓にある消化された植物や栄養素を補給するためと考えられています。

 ちなみに、人間の体はビタミンCを作ることができません。理由はわかりません。ただ、人間にとってビタミンC不足は死につながります。
 日本の場合、冬場でのビタミンC源はミカンなどの果物が殆どでした。本当かは知りませんが、江戸幕府で紀州が御三家に入っているのはミカンが豊富に採れるからと聞いたことがあります。紀伊國屋文左衛門が必死にミカンを江戸まで売りに行ったのは、それだけ必需品だったから……なのだそうです。
 漫画「ワンピース」の主人公の船にミカンの木があるのも、長期の航海によるビタミン不足を防ぐためです。ところで、あの主人公はどんな傷を負っても肉食っていると治りますが、どんな仕組みで栄養補給をしているんでしょうね(まあ、ゴム人間だけど)。

・雑食動物
 肉も植物も食べる。
 ビタミン類は植物から取る。ただし、植物のセルロースは分解できない。

・草食動物 
 反芻動物の場合
  ①植物を食べる→②胃の中の微生物がセルロースを分解→
  ③微生物の分解によって出来た脂肪酸などを吸収
 ウマなどの場合
  盲腸が長く、そこに住む微生物がセルロースを分解

・肉食動物
  草食動物(特に内臓)を食べることでビタミン類を補給          


Q:「乳牛はどうして食べないんですか?」
A:「食べてもいいですが、食べると勿体ないので食べません」

 肉牛と乳牛は品種がハッキリと分かれています。で、乳牛を食べない理由は幾つかあります。

1)食べたらそれまでだが、生きていれば何年もミルクが取れる。
2)乳牛は牝牛なので、子牛も生まれる。
3)そんなこんなで年を取って、食用には適さなくなる。……こんな感じです。

 乳牛はミルクを出すのに適した体になるように品種改良されており、肉はかなりやせ細っています。動物は妊娠すると胎児や、それを育てるためのミルクに体の養分を集中させますが、乳牛はそれがさらに極端なのです。だから、肉は食えないわけではありませんが、肉を美味しくすることに特化して品種改良されている肉牛と比べると、とても売り物にはなりません。
 大学で一度、卵を産んでいるニワトリをさばいて食べたことがありましたが、肉は硬くて細かったです。恐らく、卵のほうに養分の殆どを取られているのでしょう。そう考えると人間は残酷なことをやっているなと思いますね。

日々の生物(ナマモノ) 第5回

2008年11月11日 | 日々の生物(ナマモノ)

畜産編-1

 私、農学部出身なんですが、農学には畜産も含まれますので、大学でウシとかに関する授業を受けてたりします。こんな所で役立つとは思いませんでした。


Q:「ラクダの口は臭いんですか?」
A:「臭いらしいです」

 まず、ラクダやウシは「反芻(はんすう)動物」といって、胃が複数あります。牛なんか4つもあります。何故、複数あるかというとセルロースを消化するためです。
 セルロースというのは植物細胞の細胞壁の材料で、紙とか、植物由来の繊維(綿、麻など)などは、これでできています。このセルロースは砂糖と同じ炭水化物で、植物から水分を取り除いた重さの1/3~1/2を占めているのですが、非常に頑丈な物質であり普通の動物では消化できません。
 勿論、人間も消化できないので、たとえばゴボウとかは食べても殆ど消化されずに出て行きます(便秘の解消にはいいんですがね)。しかし、草食動物はこのセルロースを消化できます。つまりは紙でも食べて栄養にできるのです。
 歌にもありますね。「黒ヤギさんたら読まずに食べた~」ヤギも草食動物なので紙が食えるわけです。

 ただ、実際は草食動物もセルロースを消化することはできません。ではどうやっているのかと言えば、消化器官の中に住んでいる微生物がセルロースを分解しているのです。
 ウシやラクダの場合、複数ある胃の1~2番目は微生物を繁殖させるための場所になっていて、歯ですり潰した植物を餌に微生物が増えます。この微生物がセルロースを分解してくれるので、反芻動物はその分解物(脂肪酸など)を吸収します。と言うか、微生物ごと消化してしまうわけです。

 話は変わりますが、微生物がセルロースを分解するとメタンガスが発生します。メタンガスというのはオナラの主成分ですから……ウシとかラクダのゲップは臭いんじゃないですかね。
 実際にラクダに乗った人の話を読むと、やたらと臭いらしいですね。特に口から吐き出すツバみたいなものが臭いらしいですが、恐らく胃の微生物のせいじゃないかと思います。
 同じ草食動物でもウマは腸の一部(盲腸らしいです)が特別に長くなっていて、ここに住んでいる微生物がセルロースを分解します。だから、ウマはウシに比べると口が臭くないんじゃないかと思います。

 ちなみに、反芻動物の出すメタンガスは、実は二酸化炭素と同じく温室効果の原因となる物質です。オーストラリアには反芻動物であるヒツジやウシが星の数ほどいるのですが、これらの出すメタンガスが地球温暖化につながると問題になっているそうです。
 ヒツジのゲップで環境破壊が起こっていると思うと、ちょっと笑えますが、人の数よりヒツジの数が多いオーストラリアにとっては深刻な問題です。

日々の生物(ナマモノ) 第4回

2008年11月10日 | 日々の生物(ナマモノ)

タコ・イカ編-2


Q:「タコが自分の足を食うって本当ですか?」
A:「食います。ただ、お腹が減って食うわけではありません」

 確かにタコが自分の足を食う場合がありますが、それはストレスを受けた場合に限られます。例えば、釣り上げられるなどのストレスを受けるとパニックになって自分の足を食べるそうです。そのため、人間から見ると頻繁に起こっているように見えますが、実際にはあまり起こりません。
「ジョジョの奇妙な冒険」の殺人鬼で追いつめられると爪をやたらと噛む奴がいましたが、そんな感じだと思ってください。

 ちなみにタコの足は切れても再生することができます。敵が足に食いつくと、自分で足を切り離して逃げることもあるそうです。ただ、自分で食った場合は、何故か再生しないそうです。
 タコもヒトもストレスは大敵ということです。


Q:「タコの足のうち1本は生殖器官らしいですが、他の足との見分け方はありますか?」
A:「生殖器官ではなく、交尾に使う足です。見分けることはできます」

 タコのオスは精莢というカプセルに精子を入れ、それをメスの体内に入れることで受精を行います。この時、精莢を運ぶ足は決まっていて、カプセルを持ちやすい形になっています。足で持つというのが、ちょっとアレですが、魚の場合、オスが卵の上に精子をまき散らして受精することを考えれば、はるかに機能的です。
 ちなみに、この生殖用の足の先端は他の足より平べったくて溝になっているそうです。水産学者なら見分けられるでしょう。ただ、種によって形が異なったり、普段は体内に隠れていたりするので一般人が見分けるのは難しいかもしれません。

 下が色々なタコの交尾用の腕の先端になります。がんばって見分けてください。


日々の生物(ナマモノ) 第3回

2008年11月09日 | 日々の生物(ナマモノ)

タコ・イカ編-1

 まとめると何故か、タコやイカに関する質問が多かった気がします。
 好きなのか? 丹後の高校生は軟体動物が好きなのか? 


Q:「なんでタコは足が8本で、イカは10本なの?」
A:「実は足の数は両方8本です」

 何故8本なのかはよくわかりませんが、イカの場合は「触腕」と呼ばれる他より長い足(専門的には腕らしい)があります。この触腕でイカは獲物を捕らえたりします。
 つまり、

  タコ→足が8本
  イカ→足が8本 + 触腕が2本

 ということになります。
 イカの方がタコよりも活動的(タコは基本的に海底にいるが、イカは泳ぎ回って獲物を捕らえる)なため、獲物を捕らえるための器官があるのかもしれません。
 イカやタコの祖先はもっと多くの足を持っていましたが、進化の過程で8~10本に落ち着きました。おそらく、これくらいが一番、機能的なのでしょう。


Q:「なんでタコは赤色なの?」
A:「加熱によって皮膚の色素が変化するためです」

 タコやイカは赤い印象がありますが、実際には日本で見られるものは殆ど赤くありません(赤っぽい茶色くらい)。赤くなるのは熱湯で茹でた結果です。タコでも寿司に使われるものは茹でてあるので赤いですが、生で食う場合は赤くないことが多いですね(タコワサとか)。
 赤くなるのは皮膚の色素が加熱によって変化して赤くなるためです。タコの皮膚には様々な色素があり、体の色を変えたりします。この色素のどれかが加熱によって変化して赤色になると考えられていますが、特定はされていません。イカやカニが赤くなる色素は判明しています。


Q:「タコの血は青いんですか?」
A:「青いです」

 ヒトを含めた動物の血は「ヘモグロビン」(授業でやりましたよね)という赤い色素が含まれるので赤いですが、タコ、イカ、貝などの軟体動物や昆虫は「ヘモシアニン」という色素を持っていて、これが空気に触れると青くなります。
 ただ、魚屋で売られている場合は血が抜かれていますし、茹でると色がなくなります。それに元々、はっきりとは見えにくいようです。

 わかりやすい例としては、エビやカニの卵が青色なのはヘモシアニンのためで、要は血の色です。イカの内臓も青みがかっていますね。