森の詞

元ゲームシナリオライター篠森京夜の小説、企画書、制作日記、コラム等

日々の生物(ナマモノ) 第2回

2008年11月08日 | 日々の生物(ナマモノ)

Q:「シマウマは何で白黒なんですか?」
A:「あれが一番、草むらで目立たないからです」

 シマウマの縞模様は草むらの中に入ると周囲の草に紛れて目立たなくなる効果があります。迷彩服は町中では目立つ服ですが、森の中では目立たない模様なのと同じです。
 第二に、人間以外の動物は色を識別することが得意ではありません。白黒ストライプは人間の目には目立つ配色ですが、シマウマや肉食動物の目には他の色と区別することができないようです。色(明度)のコントラストが強い縞模様なら何でもよいわけです。
 では、何故、白黒なのかと言いますと、ここからは想像が入りますが、動物の模様は複雑になると白黒になる傾向があるのではないかと思います。ウシのホルスタインや犬のポメラニアン、三毛猫など、斑模様の動物は白黒が多いことから考えても、極端に体毛のコントラストが強まると白黒になるのではないかと思います。


Q:「熊と白熊とパンダの祖先は一緒ですか?」  →  A:「同じです」
Q:「しっぽが黒いパンダっているんですか?」  →  A:「いません」

 クマ科にはクマ亜科とパンダ亜科があります。普通のクマも白熊もクマ亜科に入ります。パンダの分類は長らく論争が続いていましたが、クマに近縁だと最近ではなっています。白熊はヒグマに非常に近い種です。北極に共通の先祖が渡ったのでしょう。
 パンダ亜科は「ジャイアントパンダ属」と「レッサーパンダ属」(二足歩行で人に媚びを売ったりするアレ)の2つがあり、それぞれジャイアントパンダとレッサーパンダしか種がおりません。
 私も勘違いしていましたが、ジャイアントパンダの尻尾は白色なので、いわゆるパンダは全て尾が白いとなります。レッサーパンダの尻尾は縞模様ですね。


番外編
Q:「コックリさんは漢字でどう書く?」
A:「<狐狗狸さん>」
 
 つまり、キツネ、天狗、狸。日本における「人を化かすモノ」を並べたわけです(狗はイヌなので、もののけ姫に出てくる山イヌのようなものかも)。ただ、歴史は案外浅くて明治時代にヨーロッパから伝わった「ヴィジャボード」が原型です(やり方もほぼ同じ)。
 指をコインに乗せて、コインの動きで占うわけですが、これは無意識の筋肉の動きが指を動かしていると考えられています。私が小学生の頃にも流行りまして、「(正式な手順を踏まずに)途中で止めると死ぬ」とか噂になりました。ただ、霊に取り憑かれる、と思いこんでしまう(自己催眠)ケースもあるようです。

 ちなみに小学生の頃、私は触るなと言われたのに、コックリさんをやっている人やコインに触りまくったことがありますが、まだ生きています。

特別企画 -日々の生物(ナマモノ)-

2008年11月07日 | 日々の生物(ナマモノ)

 あまり長期間放置しておくのもどうかと思うので、特別企画を開催することにしました。
 6年前の日記【あるシナリオライターの日常】に登場する私の親友、海藤。現在は生物教師として丹後半島に生きる彼が、その溢れ出る情熱と才能を注ぎ込んで制作した授業用プリントを公開していきます。

 生物に興味のない方も、是非読んでみて下さい。
 新しい世界に目覚めるかもしれません。


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日々の生物(ナマモノ) 第1回

 どうしても教科書による授業では細かくて実生活から離れた内容になってしまうので、普段、感じた生物に関する疑問にこちらが(できる限り)答えることで、生物一般に関する興味を持ってもらおうという企画。
 質問を渡してもらえれば、その中から「一番、突拍子もないもの」を選んで答える予定。

 最初の質問は先週、実際に聞かれた質問より。


Q:「カタツムリの殻を外したら、ナメクジになりますか?」
A:「なりません。しかし、進化の過程でカタツムリから殻がなくなったのがナメクジです」

 カタツムリやナメクジは「貝類」に属する生物です。陸上生活ができる「巻き貝」をカタツムリと言います。カタツムリの「貝殻」がなくなった種が「ナメクジ」です。イカやタコも(広義には)貝類に含まれますが、これらの種も大昔は殻を持っていました。進化の過程で殻がなくなるのは、貝類によく見られる現象のようです。
 ちなみに貝殻は貝が体の外に炭酸カルシウムを分泌することで作られます。人間で言えば、髪や爪のようなものですから剥がすのはダメージを与えます……と言うより、剥がされるカタツムリの気分になって考えてください。



 アンモナイト    イカ タコ           →貝殻がなくなる→


Q:「アメフラシの正式名称は?」
A:「…………………………アメフラシ」

 意外ですが、Web辞書(Wikipedia)によると
「アメフラシ(雨虎、雨降)は、腹足綱 後鰓目 無楯亜目(旧分類 腹足綱 後鰓亜綱 無楯目)に属する軟体動物の総称。狭義には、アメフラシ科に属するアメフラシ(学名 Aplysia kurodai (Baba, 1937))を指す」
 ……とのこと。
 英語ではsea hare(海のウサギ)。頭の突起がウサギっぽいらしい。
 ちなみに上のカタツムリとも近い仲間で貝殻がなくなった貝類の一種(ウミウシに近い)。

 名前の由来は攻撃されると紫色の液を水中に出して、それが雲に見えるため。アメフラシが雨を呼ぶということはない(大体、海中の生物にとって雨が降ろうが関係ないはず)。
 アメフラシの卵は「海そうめん」と言い、食べる地方もある……と「美味しんぼ」に書いてありました。

 ところで、丹後では「運動会前に運動嫌いな子が雨にするためにアメフラシを殺す」ってのは本当ですか?