森の詞

元ゲームシナリオライター篠森京夜の小説、企画書、制作日記、コラム等

日々の生物(ナマモノ) 第19回

2008年11月30日 | 日々の生物(ナマモノ)

昆虫編-3


Q:「蝶々と蛾は何が違う?」
A:「見た目」

 昆虫の内、蝶と蛾は「鱗翅目」というグループに属します。
「羽(翅)にさわると粉(鱗粉)がつく」のが名前の由来で、イモムシ状の幼虫からサナギを経て、成虫になる特徴があります。この内の何種類かが蝶になります。
 普通、生物の種類というのは明確な基準があるのですが、蝶と蛾を明確に分ける基準というものは存在しません。蝶と蛾の境目は曖昧で、実際、両者の呼び名が同じである(分類していない)言語もあります。
 基準がないわけですから、見た目で「こいつは蛾っぽいぞ!」と思えば、「お前は蛾だ。決定~~!!」と決めつけても問題はないわけです。
 ですが、それでは嫌だという人のために一応の見分け方を幾つか。

①蛾の幼虫が毛虫、蝶の幼虫がイモムシ
 綺麗な蝶でも幼虫が毛虫というのはいるのでアテになりません。
 ただ、そこら辺にいる毛虫は大抵、蛾の幼虫です。

②羽を閉じて(壁とかに)とまるのが蝶、開いてとまるのが蛾
 これは結構当てはまるので、気をつけて見てみると面白いですよ。
   
③夜行性なのが蛾、そうでないのが蝶
④地味なのが蛾、派手なのが蝶
 夜、電灯に寄ってくる蛾を見てもわかるように、蛾は夜行性が多いのです。
 地味なのは夜行性だから派手にしてもしょうがないのです。

⑤触角がブラシ状なのが蛾。そうでないのが蝶
 夜行性の蛾は触角が精密なのか、蛾の触角はブラシみたいな形になっています。
 日本の蝶と蛾はこれで見分けられるそうです。


  左が蝶の触覚、右が蛾の触角


Q:「どうして鳥の羽は2枚なのに、トンボの羽は4枚?」
A:「もともと足の数が違うからです」

 昆虫と人間を含めた動物とは起源が大きく違います。
 動物はおおざっぱに言えば、魚→両生類→爬虫類→ほ乳類の順に進化しました。動物の手足は魚のヒレが変化した物なので、カエルから人間まで前後合わせて4本です。そして、爬虫類から分かれたのが鳥で、前足が「翼」になりました。

 昆虫の祖先については第8回の昆虫編-2で述べた通りです。
 進化の過程で足の数を減らし、あるいは別の器官に変化させていった結果、昆虫の体は「足が6本+羽が4枚(+触覚その他)」という形に落ち着きました。トンボは古い時代に現れた昆虫で、体は長めで羽が4枚という、もっとも基本に近い体の構造をしています。
 一部の昆虫は更に進化を進めています。カブトムシなどの甲虫では、体が短くなり、前の羽は体を覆うカバーになりました。ハエは小回りがきくように、更に羽の数を減らして2枚だけにしています(直線的な速度ならトンボが一番速いです)。
 アリはハチに近い仲間ですが、生殖を行うアリ(女王アリなど)以外は羽がありません。
 昆虫の進化は足の数を減らしていく方向に進むようです。