畜産編-1
私、農学部出身なんですが、農学には畜産も含まれますので、大学でウシとかに関する授業を受けてたりします。こんな所で役立つとは思いませんでした。
Q:「ラクダの口は臭いんですか?」
A:「臭いらしいです」
まず、ラクダやウシは「反芻(はんすう)動物」といって、胃が複数あります。牛なんか4つもあります。何故、複数あるかというとセルロースを消化するためです。
セルロースというのは植物細胞の細胞壁の材料で、紙とか、植物由来の繊維(綿、麻など)などは、これでできています。このセルロースは砂糖と同じ炭水化物で、植物から水分を取り除いた重さの1/3~1/2を占めているのですが、非常に頑丈な物質であり普通の動物では消化できません。
勿論、人間も消化できないので、たとえばゴボウとかは食べても殆ど消化されずに出て行きます(便秘の解消にはいいんですがね)。しかし、草食動物はこのセルロースを消化できます。つまりは紙でも食べて栄養にできるのです。
歌にもありますね。「黒ヤギさんたら読まずに食べた~」ヤギも草食動物なので紙が食えるわけです。
ただ、実際は草食動物もセルロースを消化することはできません。ではどうやっているのかと言えば、消化器官の中に住んでいる微生物がセルロースを分解しているのです。
ウシやラクダの場合、複数ある胃の1~2番目は微生物を繁殖させるための場所になっていて、歯ですり潰した植物を餌に微生物が増えます。この微生物がセルロースを分解してくれるので、反芻動物はその分解物(脂肪酸など)を吸収します。と言うか、微生物ごと消化してしまうわけです。
話は変わりますが、微生物がセルロースを分解するとメタンガスが発生します。メタンガスというのはオナラの主成分ですから……ウシとかラクダのゲップは臭いんじゃないですかね。
実際にラクダに乗った人の話を読むと、やたらと臭いらしいですね。特に口から吐き出すツバみたいなものが臭いらしいですが、恐らく胃の微生物のせいじゃないかと思います。
同じ草食動物でもウマは腸の一部(盲腸らしいです)が特別に長くなっていて、ここに住んでいる微生物がセルロースを分解します。だから、ウマはウシに比べると口が臭くないんじゃないかと思います。
ちなみに、反芻動物の出すメタンガスは、実は二酸化炭素と同じく温室効果の原因となる物質です。オーストラリアには反芻動物であるヒツジやウシが星の数ほどいるのですが、これらの出すメタンガスが地球温暖化につながると問題になっているそうです。
ヒツジのゲップで環境破壊が起こっていると思うと、ちょっと笑えますが、人の数よりヒツジの数が多いオーストラリアにとっては深刻な問題です。
匂いは実際にかいでみないとわからないですしね。
おまけに水を飲まない本場のラクダと水の多い日本で育てられているラクダでは口臭が違うかもしれないわけですし。
「海外旅行した時にかいでみてください」が一番正しい答えだと思います。
(でも、長々と書いたのは「反すう」について解説したかったからです。一応、生物の教材ですしね)
>游さん
アルパカですか、知りませんでした。
あんな四足のエビフライみたいなのにかじられたら死んでも死にきれませんね。
ちなみに海外では動物をつかった拷問や処刑が多いですが、日本ではあまり聞きませんね。