畜産編-2
Q:「肉食動物は肉だけしか食べないけど、栄養が偏ったりしないんですか?」
A:「大丈夫です。草食動物を食べることで間接的にビタミンを取っています」
まず言っておきますが、肉食による栄養補給は結構簡単です。動物の体を作る材料はどの種でもあまり差はありませんので、似た動物を頭から内臓まで全部食べれば、体を作るのに必要な材料はほぼそろいます。
問題はビタミン類です。ビタミンとは「動物が自分の体では作り出せず、他の生物(主に植物)から取り入れなければならない微量成分」の総称です。草食動物は当然、草からビタミンを摂取します。肉食動物は草食動物の内臓を食べることで、ビタミンを補給しています。肉食動物はまず草食動物の内臓から食べ始めますが、これは草食動物の内臓にある消化された植物や栄養素を補給するためと考えられています。
ちなみに、人間の体はビタミンCを作ることができません。理由はわかりません。ただ、人間にとってビタミンC不足は死につながります。
日本の場合、冬場でのビタミンC源はミカンなどの果物が殆どでした。本当かは知りませんが、江戸幕府で紀州が御三家に入っているのはミカンが豊富に採れるからと聞いたことがあります。紀伊國屋文左衛門が必死にミカンを江戸まで売りに行ったのは、それだけ必需品だったから……なのだそうです。
漫画「ワンピース」の主人公の船にミカンの木があるのも、長期の航海によるビタミン不足を防ぐためです。ところで、あの主人公はどんな傷を負っても肉食っていると治りますが、どんな仕組みで栄養補給をしているんでしょうね(まあ、ゴム人間だけど)。
・雑食動物
肉も植物も食べる。
ビタミン類は植物から取る。ただし、植物のセルロースは分解できない。
・草食動物
反芻動物の場合
①植物を食べる→②胃の中の微生物がセルロースを分解→
③微生物の分解によって出来た脂肪酸などを吸収
ウマなどの場合
盲腸が長く、そこに住む微生物がセルロースを分解
・肉食動物
草食動物(特に内臓)を食べることでビタミン類を補給
Q:「乳牛はどうして食べないんですか?」
A:「食べてもいいですが、食べると勿体ないので食べません」
肉牛と乳牛は品種がハッキリと分かれています。で、乳牛を食べない理由は幾つかあります。
1)食べたらそれまでだが、生きていれば何年もミルクが取れる。
2)乳牛は牝牛なので、子牛も生まれる。
3)そんなこんなで年を取って、食用には適さなくなる。……こんな感じです。
乳牛はミルクを出すのに適した体になるように品種改良されており、肉はかなりやせ細っています。動物は妊娠すると胎児や、それを育てるためのミルクに体の養分を集中させますが、乳牛はそれがさらに極端なのです。だから、肉は食えないわけではありませんが、肉を美味しくすることに特化して品種改良されている肉牛と比べると、とても売り物にはなりません。
大学で一度、卵を産んでいるニワトリをさばいて食べたことがありましたが、肉は硬くて細かったです。恐らく、卵のほうに養分の殆どを取られているのでしょう。そう考えると人間は残酷なことをやっているなと思いますね。
だって、ライオンに実際に質問してみたわけではないですし、ただ柔らかいから先に食っているだけかもしれないわけですしね。
絶対に内臓を食べることを考えると食べたがっていることは間違いないとは思いますが、動物の気持ちをわかったように解説するのは、ついやってしまうだけに危険かな、と思いますね。