原孝至の法学徒然草

司法試験予備校講師(弁護士)のブログです。

最新重判との付き合い方

2011-04-11 | 勉強法全般
今日も,労働審判。難しいです。裁判官もおっしゃっていたのですが,判決をした方が簡単なんでしょうね,やはり。話し合い(調停や和解)というのは,本当に裁判官・弁護士の力量が問われると実感。特に,「カネでは解決できない」場合,例えば,雇用契約上の地位確認なんてのは。裁判官曰く,例えば和解の場合で金額だけに争いがある場合は「詰将棋」だそうで,しかし,カネではない問題は丸く収める方程式というのは存在しないのだとか。

それから,(裁判官から)上記とは違う文脈で出てきた言葉が,「法曹は,どこかで『他人事』という意識を持っていないといけない」というもの。ここ数日で出会った事件を紹介できればお読みの皆様にも共感していただけると思うのですが,とにかく当事者に寄り添いすぎてはまとまるものもまとまらない,これも実感しました。で,「他人の紛争で飯を食うってのは難しいんだよ」と。確かに。だからこそ,その資格が与えられるのは厳格に絞られるんでしょうね。

さて,表題の件。多くの受験生の方が迷うところかと。LS3年生までの方は,(来年までに)全科目チェックしてください。以下は,「時間のない受験生」向けの話です。「なんでこの時期に出版されるのか」と思うのですが,出版されてしまい,出題される(されうる)以上,仕方ない。

まず,よく言われることですが,本当に切羽詰っている場合,無視してください。条文知識・百選レベルの判例知識が不十分なのに重判に手を出す,というのは本末転倒です。

条文・百選レベルはまぁ大丈夫,短答対策として時間をかけずにやりたい,という方は,「民事系を除いた」科目の「○○法の判例の動き」の部分だけ押えていってください。その際,チンプンカンプンなものは思い切って飛ばすことが重要です。余力があれば,民事系もやってください。

比較的余裕のある方は,個別の判例にあたっていってください。なお,短答・論文総合的にみて,各科目を重要度順に並べると,

第1位:刑事訴訟法

第2位:憲法,行政法,刑法

第3位:民事系各科目

です(当然,私見)。もちろん,「これは試験に出ないだろう」というのは飛ばしてかまいません。

そして,「切羽詰まっているので無視する」場合を除いてお勧めしたいのは,「重判早まくり」講義です。西口先生ご担当のはずで,辰巳の全国模試を受けた方は無料特典として付いているはずだったと思います。重判を読んで独力で試験で使えるまで理解するというのは結構難しいのが実際のところで,司法試験に精通した実務家講師のガイドは大変有益であると思います。西口先生の講義は私も受講したことがあり,生意気を承知で言わせていただくと,「受験生の気持ちを押さえ,ポイントを指摘する」非常に良い講義です。…ないとは思いますが,西口先生,もし見ておられましたら,(元)「受講生」の発言・感想としてお許しください。講義を聴く際には,少なくとも「判例の動き」の部分は一読してから,です。でないとあまり意味がない。

この重判チェックも,上限時間を決めて,「最小の時間で最大の効果」を狙ってやってください!


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