原孝至の法学徒然草

司法試験予備校講師(弁護士)のブログです。

新入生はどの六法を買えばいい?

2015-03-02 | 勉強法全般
3月になりました。新生活の準備をする時期ですね。

この春、法学部や法科大学院(未修)に進学される方は、「どんな六法を買えばいいか?」と悩んでいるかもしれません。高校に入るときに、どんな英和辞典を買えばよいか悩むように、法学部に入るときには、どんな六法を買えばいいか悩むものです。以下、この点について。

1.電子六法(アプリ等)は不可

正直なところ、電子六法は、かなりの上級者にならないと使いこなせません。弁護士である私にとっては便利なツールですが、これから勉強を始める方にとっては、絶対にお勧めしません。

というのは、条文は、「体系的な位置」で押さえるものだからです。使用者責任(民法715条)の条文を引くときには、「えっと、使用者責任は特殊の不法行為なんだから、民法709条の後のどこかだよな」と思って、民法709条から順に見て行って、民法715条の条文を見つけるわけです。

紙媒体の六法であれば、このような体系を視覚的に把握できますが、電子六法ではできません。

また、六法は、英和辞典と同じように、書き込みをしていくものです。

さらに、定期試験や司法試験本試験で貸与される六法は、紙媒体です。

2.大きな六法(模範六法等)か小さな六法(ポケット六法・デイリー六法等)か?

小さなものでよいです。司法試験合格を目指して勉強するにしても、小さな六法に収録されている法律でほとんど賄えます。大きな六法は、実務家になってから、机上に置くとよいでしょう(司法修習に行く時くらいから持つべきかな)。

3.判例付六法か、判例の付いていない通常の六法か

世の中には判例(判旨)が掲載されている六法とそうでない通常の六法があります。初学者のうちは、判例の付いていない通常の六法を使った方がよいです。というのは、上にも述べたように、条文は「体系的な位置」を把握していくものです。判例が挟まっていると、どうしてもその体系的な把握に支障をきたしてしまうんです。

…結論として、ポケット六法とか、デイリー六法とか、そういう六法を選択すべきであると私は思います。


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