Dogma and prejudice

媚中派も媚米派も同じ穴のムジナ
従属主義的思考から脱却すべし
(言っとくけど、「媚米」と「親米」は違うんだよ)

新自由主義というのは、「すべてを、あの方に委ねなさい」(Let It Be)という事

2007-01-18 | 構造改革
 「復活!三輪のレッドアラート!」の三輪耀山さんが「破壊を求める者(後編)」のエントリーで、野口旭の「ケイザイを斬る!」 第4回 清算主義=無作為主義の論理と現実を紹介されていました。

 私も、そこから、冒頭の部分を引用させてもらいます。

 野口旭の「ケイザイを斬る!」

 第4回 清算主義=無作為主義の論理と現実

 ●清算主義vsリフレ主義

 近年の経済論壇で最も話題になった書物の一つは、間違いなく竹森俊平氏(慶應大学教授)の『経済論戦は甦る』(東洋経済新報社)であろう。この本は、ジョセフ・シュンペーターの「創造的破壊」という考えに代表される「清算主義」と、アービィング・フィッシャーの債務デフレ論から導き出される「リフレ主義」という対抗軸を設定することによって、1930年代の大恐慌をめぐる論争と現在の日本のデフレ不況をめぐる論争の相似性を見事に明らかにしている。

 この竹森氏のいう清算主義とは、資本主義経済において不況が生じるのは不可避であり、むしろ不況という「破壊」を通じてこそ非効率な企業や雇用の淘汰が進み、新たな成長の基礎が準備されるという考えである。

 それを最も典型的に体現するのは、大恐慌時のアメリカのフーバーの政権で財務長官を務めていたアンドリュー・メロンによる、「労働者、株式、農民、不動産などを清算すべきである。古い体制から腐敗を一掃すれば価格は適正になり、新しい企業家達が再建に乗り出すだろう」という発言である。

 実際、フーバー政権は、大恐慌の最中に銀行や企業が次々と潰れていくのを静観するのみで、積極的な景気回復策を何もしようとはしなかった。その結果、アメリカの国内景気はさらに悪化し、失業率は遂には20%を超え、GDPは半減するまでに至ったのである。

 竹森氏の上記著作は、大恐慌期に各国で行われた清算主義派とリフレ派との間の忘れ去られた論争を、現代に生き生きと甦らせている。しかし実は、忘れ去られている興味深い人々は、そのほかにも大勢いるのである。


 フーバー政権は、大恐慌の最中に銀行や企業が次々と潰れていくのを静観するのみで、積極的な景気回復策を何もしようとはしなかったそうです。それは、財務長官を務めていたアンドリュー・メロンの「不況という「破壊」を通じてこそ非効率な企業や雇用の淘汰が進み、新たな成長の基礎が準備される」という考えからだったとか。

 アンドリュー・メロンも「神の見えざる手」を信奉していたようですね。「不況」は、古い体制から腐敗を一掃する為に必要なことであり、「不況という破壊」を通じて、淘汰されるべきものは淘汰されて、本来の在るべき姿に収斂されていくという考え方をとっています。

 アンドリュー・メロンら古典派の自由放任主義者のやったことは、例えば、消防隊が、火事の現場にいながら、「神のなされるままに」といって消火活動を行わないのと同じです。さらに酷い事に、彼らは、火事の現場を封鎖して、火事を鎮火しようとする人々の行為を全て拒否するような事さえ行います。

 「不況という破壊」を通じて、淘汰されるべきものは淘汰されて、本来の在るべき姿に収斂されていくという、このような考え方を、清算主義と呼ぶそうですが、「破滅」を忌避するのではなく、「破滅」を肯定し、「破滅後の世界」をむしろ希求するのは、「ノアの箱舟」的発想であり、また、「黙示録」的世界観とも言うべきものがあります。いずれにせよ、キリスト教に、このような「破滅への願望」が見え隠れするように感じるのは、私の気のせいでしょうか。

 「すべてを、あの方に委ねなさい(Let It Be)。人が小賢しい真似をして、神の計画を邪魔してはいけない。」という事なのでしょう。マルクス主義者の唱える「歴史の必然」と同様の考えです。 

 新自由主義(=古典派)の経済担当者は、前述の役立たずの消防隊と同じ事をしているのです。不況のさなかにあっても、不況に対して何の手も打たない。「不況」もまた「歴史の必然」と捉え、ただ、市場原理に任せて、淘汰されるべきものは淘汰させてしまえという「虚無的」とも言える態度を取ります。そして、「不況に対して何らかの措置(財政出動)をすべきだ」という声に対しては、そのような事を行っても何の効果も無いとにべも無くはねつけます。(それを正当化するため、彼らは「ケインズは古い」と喧伝しています。)

 結局、彼ら(=新自由主義の経済担当者)は、は「何もしない」、「何もさせない」事が自分の仕事だと思っているのです。竹中さんの5年間は、ケインズ主義者に何もさせないための5年間だったのです。


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