前々回のブログで取り上げた都市計画における高度地区見直しの緊急シンポジウムには、見直し反対の請願を出した真砂の団地管理組合の方も参加され、団地再生にかける真摯な思いをうかがいました。
一方、誤解や思い込みがあることも少しずつわかりました。
意見交換ができ、思いをうかがうことができたのは貴重でした。
主催者による録画(UST)もあります。詳細はこちらでご覧になれます。
千葉市高度地区 見直しを考える 緊急シンポジウム 冒頭
http://www.ustream.tv/recorded/19612766
千葉市高度地区 見直しを考える 緊急シンポジウム 前半
http://www.ustream.tv/recorded/19612925
千葉市高度地区 見直しを考える 緊急シンポジウム 後半
http://www.ustream.tv/recorded/19613922
さて、シンポジウムの中では次のようなことを学びました。
【法制定や制度変遷の歴史的背景】
現在の私たちのまちや建物に関する法律は、1919年に定められた建築基準法の前身や都市計画法の前身が元になっており、それぞれ改められてはいるけれど、当時の考えを引きずっているのだそうです。
その後、建築基準法は1950年に定められましたが、当初は21m、30mの絶対高さ制限がありました。
ところが、1963年に容積率が導入され、それまでの21m、30mの絶対高さ制限にとって代わりました。
1968年には新たな都市計画法が定められ、市街化区域と市街化調整区域との線引き制度が導入され、8種類の用途地域が決められました。
そして、1970年に用途地域に容積率が全面適用。
この流れは、高度経済成長を支え、人口が急増する住宅需要に応えるという時代の要請に押されたもので、現在の状況とは大きく異なります。
この時、画一的である半面で緩やかであるという面を有する我が国の都市計画規制について、地域の状況に応じてもう少しきめ細やかな規制が行われるべきとの議論もあったようです。
【行政手続き上の課題や自治体の権限が及ぶ範囲】
高さ制限などの都市計画に関する自治体の仕事は、自治事務か法定受託事務か、という議論もありました。
以前は機関委任事務として国から託されたものでしたが、現在は法律に基づいて行う自治事務として、自治体の裁量権がきくものと考えられています。
【さまざまな工夫】
安曇野市の土地利用条例、神楽坂の最高高さを下げる地区計画、新宿区の高度地区全域指定、練馬区の厳しい規制を緩和によって運用する手法・・・など、さまざまな事例について聞きました。
それ以外にも、船橋市の高さ制限、京都市の景観に配慮した高さ制限、真鶴市の美しいまちづくり条例などもあります。
先進的に取り組んでいる事例は枚挙にいとまが無いほどで、まだまだ勉強不足だと感じています。
【資産価値はどうなるのか】
高さ制限をかけられて、高層建築が建てられなくなると資産価値が下がる、という意見をよく耳にします。
日本の経済は土地本位制で、地価が上がることを前提に成長してきたので、まだまだそういった考えが住宅の建て替えにもついてまわるのでしょうか。
しかし、街全体のたたずまいが美しい方が、地域としての資産価値があがるのではないかと私は考えています。
また、将来売り渡す時の価値よりも、現在の生活実態を改善することを優先させるべきだ、という意見もありました。
ところで、今回のシンポジウムの中で、耳について離れない言葉があります。
それは、
「一人ひとりが努力をしたら全体として良いものができるというのは幻想。一人ひとりが頑張るとおかしくなることもある。」
というものです。
まちづくりにおいては、個人個人がそれぞれの敷地の中で最適化を目指すと、全体のたたずまいは良くならないということです。
都市計画が必要な所以はここにあるのではないかと思いました。
まさに、個人の自由と公共の福祉の関係、公共性に関する意識、権利と責任の問題など、まちづくりについて語るには、問題意識を倫理的な次元で持つ必要があると感じます。
そこで肝心なのは、ではどんなたたずまいの千葉市にしたいのか?
というコンセンサスを得ていくことです。
そのための努力をしていくことも議会の重要な役割ではないでしょうか。
未完の都市から魅力の都市へ・・・と言っている我が会派です。
第一回定例会は頑張らなければなりません。
最後に、建物の高さに関する徳永副市長の幹部メッセージが、参考になります。
ご一読いただければと思います。
http://www.city.chiba.jp/somu/shichokoshitsu/hisho/k_mes_t_fukushicho.html