[ 小魔人の小部屋 ] 枚方市の学習塾“ベスト学習会”の別宮利彦の一昔前の回顧録

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別宮利彦の『小魔人の小部屋』
こっそり垣間見てにんまり微笑んでください

法隆寺で文殊菩薩像の窃盗

2006-02-08 | ちょっと気になる最近の話題
法隆寺で、国宝の建物『西室(にしむろ)』の格子窓が、心無い悪党に
よって、のこぎりで切り取られ、中に安置されていた文殊菩薩像の
レプリカ(複製品)が盗まれるという事件が起こった。

法隆寺の西室は、僧侶が寝泊まりする僧坊として建てられたが、
11世紀後半に火災に遭い、現在の建物は鎌倉時代の1231年に
再建されたものだ。1955年に国宝に指定された。
その西室の窓の木製格子29本のうち6本が切断された。

文殊菩薩像は711年に制作され、五重塔の中にに保管されており、
盗まれた模像は昭和初期に作られたものだという。

法隆寺は日本の財産というだけでなく、世界遺産に登録されている
日本が世界に誇る大切な宝だ。

歴史のどの教科書にも、「世界最古の木造建築物」と記載されており
1,400年の歴史がある。その法隆寺の建造物を破壊して仏像を持ち
出すとは、なんと嘆かわしいことか。

泥棒をする場所 → 金になるものがある → 警備が甘い → お寺
 との発想なのだろうか…?
こういう犯罪者の発想が許せない。

神社仏閣は、本来、このような罰当たり者が出入りする場ではないので
どうしてもセキュリティの面では不安が多い。

だからといって、厳重に鍵をかけたり、鉄格子で守ったり、監視カメラ
があちこちに備えられているというのでは、
せっかくの歴史の重み、情趣が損なわれてしまい、台無しになる。

挙句の果てに、重要で価値のある文化遺産は、盗まれないようにするために
全て、セキュリティの万全な博物館や美術館に移し変えるというようなことに
もなりかねない。

京都・奈良フリークで、数々の文化遺産に癒されてきた私にとって、
近代的な重厚なコンクリートの建物の中の、ガラスケースの中の仏像よりも
和の香りのする、古い木造の寺院にしっくり馴染んだ仏像でなければ…と思う。

国宝や重要文化財に指定されている歴史的な遺産は、
10年,100年,1000年と、世代を超えて受け継がれ、
受け継いできた人たちの様々な想いが込められている。

しかも、一度失われてしまうと、もう一度つくればいいというものではない。
同じものは二度とつくれない。

それは金銭的な価値では表せないものだ。

神仏に対する、歴史に対する冒涜がこれ以上行われぬよう、切に願う。