ティコ・ブラーエ


パパとママの視点から
子供と建築探訪
こどものおやつから考える体にやさしいレシピ

逆光

2009-12-29 | パパ
ものには表面と空間から切り取られた輪郭とが共存している。表面は装飾へ、輪郭は形態への欲望をかきたてる。
ガウディのサクラダ・ファミリアの壁面は、各所を多様な彫刻や植物模様が覆い、陶製のタイルやモザイクが隙間なく埋め尽くす。





一方でミース・ファン・デル・ローエのシーグラムビルは、金属格子とガラスで構成されたシンプルな直方体により、形態が明解にあらわれている。





僕はあまり装飾が好きじゃないので、後者の立場を支持している。
特にミニマルアートの作家ドナルド・ジャッドの作品は、純粋な幾何学形態を簡潔に規則的にただ配列するだけの作品である。見るものは一瞬にして全体を把握することができるが、それ以上そこに意味を見出そうとする行為を中断される。しかし「意味の抑制」「作家の表現性の排除」を突き詰めることで、逆に作品に何か緊張感が生まれる。このような作品はそのものが置かれる空間に強く影響されるが、一方で空間の存在を強く意識させる装置にもなっている。だから、彼の作品は場所を求めてテキサスへとむかった。









街を眺めると、ものの表面が看板や装飾で覆われ、形態が融解しているように思える。しかし、逆光は我々の視覚を表面から輪郭へと反転させてくれる。逆光は影をつくり、美しいものだけを浮かび上がらせる。






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