ティコ・ブラーエ


パパとママの視点から
子供と建築探訪
こどものおやつから考える体にやさしいレシピ

堕ちきること

2010-06-03 | パパ
作家の坂口安吾は著書「堕落論」に書いている。

「人間は生き、人間は堕ちる。そのこと以外の中に人間を救う便利な道はない。戦争に負けたから堕ちるのではないのだ。人間だから堕ちるのであり、生きているから堕ちるだけだ。・・・自分自身の武士道、自分自身の天皇をあみだすためには、人は正しく堕ちる道を堕ちきることが必要なのだ。そして人のごとくに日本もまた堕ちることが必要であろう。堕ちる道を堕ちきることによって、自分自身を発見し、救わなければならない。」






昨日、鳩山首相と小沢一郎幹事長がともに辞任した。新聞では「抱き合い心中」とも書かれていた。

さて、鳩山首相は今やめるべきだったのだろうか?新聞では、賛否両論の意見が散見された。辞任を強く求めていた自民党は、いざ辞めたとなると責任放棄の無責任さを追求するまさにステレオタイプの野党ぶりで批判的だった。逆に、最後に社民党の福島氏の罷免と小沢氏を切ったことは歴史に残る功績だと称える意見もあった。

振り返ると8ヶ月の短命政権だったが、歴史的には、短命化が本流のようだ。世界がグローバル化し複雑になったこと、多様化する国民の要求への最適解が見つかりにくいこと、そして無理な連立政権を維持していかなければならない内閣の脆弱性が主な原因だそうだ。
国民の不安は実はこの点にあるのではないか?普天間問題や財政問題、高齢化、少子化、世界からの孤立など山積みの難題は誰に代わっても容易に解けるものではないとだれしもそれとなく分かっているからだ。
しかし、我々は「どうせだめ」などと冷笑に陥ってはいけないと北海道大学の山口二郎氏は言う。そして
「自由と解放の後に、幻滅が来ないとしたら、そっちのほうが不思議だ。」という言葉を引いて、何回幻滅させられても、それでも民主主義を求めるあくなき挑戦を繰り返そうと語りかける。

僕には、何が本当に正しかったのかは分からないけれど、今辞めるべきではなかったとあえて言いたい。参院選終了まで耐え、民意の真意を胸に手をあてて考え、惨敗を通して堕ちるところまで堕ちきること。その苦しみなくしては、自民党という呪縛から解放された真の政権交代の舞台は始まらないのではないかと思う。

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