畑倉山の忘備録

日々気ままに

劣化ウラン弾

2017年10月09日 | 核・原発

劣化ウラン、別名ウラン238(238U)は、発電用原子炉の廃棄物である。この物質は戦車砲の砲弾や巡航ミサイルのような発射体に使われる。鉛の1.7倍も密度が高く、飛翔しながら燃焼し、装甲板を易々と貫通するが、衝突時に分解して蒸発するからである。そのせいで、予想もつかない形で破壊を齎す可能性を秘めているのだ。

アメリカ軍の戦車が発射する砲弾には、それぞれ3から10ポンド(約1.4から4.5kg)の劣化ウランが含まれている。そうした弾頭は放射性降下物の多い「汚い爆弾」と本質的に同じであり、一つ一つは特に放射性があるわけではないが、重大な疫病と先天的欠損症を大量に引き起こす可能性があるのではないかと疑われている。

1991年、アメリカ軍はクウェートとイラクで94万4000発もの劣化ウラン弾を発射した。国防総省は戦場に最低でも320メートルトンの劣化ウランを残してきたことを認めている。湾岸戦争の従軍者に関する或る調査では、彼らの子供が目の欠損や血液感染、呼吸器の問題、くっついた指といった重い障害を抱えて生まれる可能性が高いと報告されている。

(チャルマーズ・ジョンソン『アメリカ帝国の悲劇』文藝春秋、2004年)