畑倉山の忘備録

日々気ままに

プルトニウムの危険性

2019年01月27日 | 核・原発
プルトニウムは、本質的に人工の放射性元素で、天然にはこの惑星ではごく一部の地域でほんのわずかにみいだされるにすぎない。ウランを燃料とするどのようなタイプの原子炉(100万kW級)も、1年におよそ200kgのプルトニウムを生産する。初期には、プル卜ニウムの同位体で最も重要な、半減期2万4000年のプルトニウム239が大量に生産されて大量殺戮の兵器へと組み込まれ、この兵器はその恐るべき性能を1945年に長崎で示した。

また、プルトニウムはよく知られた発がん性の物質であるが、各種のプルトニウム同位体の組合せで成り立ち、民事原子力計画の中でー般的に用いられる原子炉級プルトニウムは、純粋のプルトニウム239よりも8〜10倍も毒性が高い。

たった1g のプルトニウムが、4000万人もの一般公衆の吸入の年摂取限度に相当する毒性をもち、この世で最も毒性の強い元素の一つである。プルトニウムの問題を議論するときは、つねにこのことを念頭に置かねばならない。

(高木仁三郎「プルトニウム軽水炉利用の中止を提言する~プルサーマルに関する評価報告~」『科学』1998年1月号)