畑倉山の忘備録

日々気ままに

辺野古に最新鋭の米軍基地建設

2013年12月25日 | 国内政治
日米両政府は米海兵隊普天間基地の移設先として名護市辺野古の海を埋め立て、そこに最新鋭の軍事基地を建設しようとしている。米軍にしてみれば「老朽化が進み事故の危険性も高い普天間飛行場から最新鋭の設備が整った新基地に移りたい」というのが本音である。

とはいえ、そのような理由で基地移設費用を日本側に負担させるわけにはいかない。そこで「沖縄県民の負担軽減」という、あたかも日本側の都合で基地移設が必要になったかのごとき虚構が作られた。そのような虚構のもとで普天間基地の辺野古移設が合意され、日本側の費用負担により新基地建設が行われることになったのである。

実をいうと米国防総省は沖縄返還前の1960年代に、辺野古に巨大軍事基地を建設するプランを練っていた。それは諸々の理由で実現しなかったが、今回は日本政府の費用負担でそれを実現しようというわけである。

米国の世界戦略のための海兵隊基地(アジアへの侵略戦争を想定した前線基地)を日本国民の血税で建設するという、米軍にとっては笑いの止まらない話である。まともな日本人の国民感情からすれば、狂気の沙汰としか言いようのないふざけた話なのである。

メディアが明けても暮れても「中国が、北朝鮮が」と騒ぐのは、国民を洗脳して米軍基地の存在をありがたいと思わせるためである。軍産複合体・CIAの思惑通りに動くポチ放送局の筆頭がNHKで、犬HKの異名を持つ所以である。

特定秘密保護法

2013年12月22日 | 国内政治
この法律は、平時から戦時へと移行する法体系の一部なんです。憲法改正、集団的自衛権の行使容認、日本版NSCの創設。これらが構成する法体系です。今までの日本は、もし戦争が起こったら、という枠組みがない、平時の法体系でした。安倍首相は、この法体系そのものを見直しているのです。

日本の戦争は、1945年に終わりました。原爆や無差別爆撃で多くの非戦闘員が戦死しました。しかし戦後は、軍事で復讐しない、問題を戦争で解決しないと選択したんですよ。それを、戦争が終わってから68年間続けている。世界史的な実験と言えるのです。

私たちの誇りなのです。自衛隊は一人も殺していないし、殺されてもいない。法体系を変えるという選択は、歴史的に、この実験を疑われることになります。そういう選択をしないという誇りを日本の保守政党、自民党が守ってきたのです。

伊東正義、松村謙三、前尾繁三郎、三木武夫、後藤田正晴……。やりすぎだぞ、とチェックを働かせる代議士がいっぱいいた。戦争を体験した世代です。後藤田などは護憲だって言ってましたから。「あんな戦争はやるべきじゃない」と。

そういう人たちが、どれだけ保守政党が右翼化しないためにがんばってきたか。もちろん自民党の中にも右翼はいましたけど、バランスを取っていたのです。それが自民党政権の良さだった。今は、それがまったくない。党内のバランスがまったく働かない。右翼化した政党になってしまった。

戦前に法体系が変わるときには、治安維持法ができました。これは、もともと共産主義者を取り締まる法律でした。ところが、共産党員は、逮捕されたり、転向したりして、いなくなった。すると、次に自由主義者、今度は宗教家、さらに純正右翼、と対象がいなくなるたびに範囲を広げていった。

なぜ拡大解釈したか。治安維持法を運用するため、警察機構の中に一つの組織ができた。これが特高警察(特別高等警察部)です。ひとたびできてしまうと、逮捕する対象がいなくなっても組織があるわけだから、仕事を作っていくわけです。

一つの法律を運用し始めると、そこにできた組織が、自動的に増殖していくのです。今度の法律でも、取り締まる部署ができるでしょう。取り締まる連中は、特定秘密を扱うから身元調査される。それは、ある意味でエリート意識を与えられることになる。

お前たちは国を守っているんだ、などと言われるでしょう。張り切って、人を捕まえてきて調べて、調書を法律に引っかかるように作っていかなきゃいけない。そのときには、強制、威圧、拷問、脅かし、いろんな手が使われると思うね。かつての特高警察と類似のね。

特高警察のようなものは社会の病理です。特定秘密保護法の成立は、我々の社会にとっては、くしゃみが出るようなもの。ほかにも、教科書に政府見解を入れること。集団的自衛権で自衛隊が地球の裏側まで行くこと。

そういうことが重なって、熱が出て、カゼを引く、肺炎になる、というように、徐々に社会の体力が弱まっていく。そうなれば、民主主義社会の権利が侵害されて、みんな黙ってしまう。権力を怖がる。それが病気、つまり、社会の衰退です。やがて戦時体制に移行するのではないでしょうか。

今すぐ戦争をやるわけではありません。でも、ゆくゆくは、太平洋戦争の前にできた国家総動員法みたいな法律を平気で考え出すのではないかと心配です。今の自民党は、保守政党じゃなくて右翼化した全体主義政党ですから。

(保阪正康『週刊朝日』12月20日)http://ch.nicovideo.jp/magosaki/blomaga/ar418298

小沢判決/検察の「闇」が裁かれた

2013年12月20日 | 国内政治
全面可視化しか道はない

裁かれたのは検察の深い闇だ。そう受け止めざるを得ない。政治資金規正法違反罪で強制起訴された小沢一郎民主党元代表への判決で、東京地裁は無罪を言い渡し、検察の手法を厳しく批判した。
 供述を検察が「ねつ造」したことが明らかになったからだ。大阪地検の証拠改ざんもあった。断罪されたのは検察の体質そのものと言える。もはや検察の調書は信頼できない。取り調べを全面可視化するほか信頼回復の道はない、と法務当局は認識すべきだ。
 今回、「ねつ造」された供述はそのまま検察審査会に送られ、強制起訴の根拠になった。検察審査会の在り方も議論すべきだろう。

証拠改ざんに通底
 この裁判の最も重要な瞬間は、小沢氏の弁論などではなく、むしろ田代政弘検事の証人尋問だった。昨年12月の公判で田代検事は、事実と異なる捜査報告書の作成を認めたのだ。
 2010年5月、田代氏は元小沢氏秘書の石川知裕衆院議員を再聴取した。その報告書には「あなたは国会議員。やくざの手下が親分を守るようなうそをついてはいけない」と検事に言われたのが効いた、と石川氏が述べ、小沢氏の関与を認めたかのように記した。
 だが石川氏はかばんに録音機をしのばせ、隠し録音していた。このため、そのような応答は全くなかったことが証明できた。
 田代氏は「過去の供述と記憶が混同した」と弁解したが、あまりに不自然だ。録音されていない「供述」はほかにも数多くある。裁判所が弁解を「にわかに信用できない」と退けたのも当然だ。
 取調室は密室である。隠し録音をしていなければ報告書が虚偽だとは証明できなかっただろう。ほかの調書類でも同様の「ねつ造」がないと信用できるだろうか。
 検察のストーリーに合わせて事実をねじ曲げた点は、大阪地検の証拠改ざんとも通底する。もはや検察の体質と化していた、と疑わざるを得ない。
 検察は取り調べの一部可視化を始めているが、全面可視化は拒んでいる。だが一部可視化は可視化しないのと同じだ。検察に都合のいい部分だけを公開し、ほかは隠しておける仕組みでは、可視化の意味がない。法務当局は、国民の信頼を取り戻したいなら、全面可視化を断行すべきだ。
 市民団体は田代検事を虚偽有印公文書作成・同行使罪で告発したが、検察は起訴を見送る方向という。大阪地検の証拠改ざんは最高検が捜査したが、今回は東京地検が担当だ。東京地検の犯罪を東京地検が捜査して、公正と言えるはずがない。最高検か他の地検、警察が捜査すべきではないか。

資料開示も必要
 検察審査会(検審)の仕組みもあらためて問われる。今回は検察が起訴を見送った事案だが、市民の告発を受けて検審が2回議決し、強制起訴となった。
 だが検審の仕組みもあまりに不透明だ。政治的に対立する人が恣意(しい)的に告発することは、いくらでもできる。審査が何回開かれたか、委員がどんなメンバーかも分からない。
 検審に開示する資料を検察が恣意的に選ぶことも可能だ。今回の審議も、くだんの捜査報告書を基にしていた。全面可視化と同時に全ての捜査資料を全面開示する仕組みでなければ、公正な審議はできないのではないか。これは裁判員裁判にも言えることだ。
 強制起訴が可能になったのは裁判員制度と同じ09年の司法改革からだ。それ以前、検審が起訴議決をしても、警察官や検察官が身内の犯罪をかばうかのような不自然な不起訴が続き、市民の不信感が高まったことが背景にある。
 だから強制起訴の仕組みの必要性にはうなずける点もある。だが政治家は起訴だけで議員辞職を迫られてしまう。特定の政治家を恣意的に排除できるかのような仕組みは改善の余地がある。国民的議論で改善策を導き出すべきだ。

『琉球新報』社説 2012年4月27日
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-190529-storytopic-11.html

小沢氏の後援会に入っていると生活に支障を来す事態が生じている

2013年12月16日 | 国内政治
 政権与党である民主党内で小沢派が冷や飯を食わされていることは周知の事実ですが、菅・仙谷一派による弾圧は、民間人にまで及んでいるようです。信じられないことに、小沢氏の後援会に入っていると生活に支障を来す事態が生じているのです。とても民主国家とは思えませんが、週刊誌には実例が3件載せられていますので、これが氷山の一角とすれば被害はもっと広範囲に及んでいる可能性があります。3つの事例を簡単に紹介しましょう。

(1)住宅ローン拒否事件
 都内に住む40代の会社部長は、今年の夏、自宅の建て替え計画し、地元の金融機関に10年ローンを申し込みました。その人は地域でも有名な資産家だっただけに、金融機関は二つ返事で応じました。
 ところが契約書を交わす寸前になって金融機関の役員の訪問を受け、「契約できない」と言われてしまったのです。驚いた部長が問い詰めると、件の役員は担保や返済能力に問題がないことを認めた上で、こう告白しました。
「最終審査で、あなたが小沢一郎さんの地域後援会の幹部をなさっていることが問題視されまして…。私どもも政治的な誤解を受けることに臆病でして、こういう形でお断わりするのは決して良いこととは思っておりませんが、私どもも弱い立場です。お察しください。申し訳ありません」
 それっきりだんまりを決め込み、深々と頭を下げて帰って行ったそうです。

(2)設備投資妨害事件
 東京のある会社経営者が某大手銀行と設備拡充の融資話を進め、交渉は順調に行っていました。ところが契約寸前に、銀行の担当者が融資担当部長を伴って社長を訪ねてきて、融資できない旨を告げたのです。その説明に納得が行かなかった社長が本当のことを言うように強く迫ると、担当部長はこう言いました。
「申し上げにくいのですが、あなたは小沢一郎後援会に入っているようですね。仮に当行の融資が小沢さんに迂回するようなことがあるといけない、と心配する声が社内にあるのです」
 社長は絶句しましたが、自分が小沢氏の後援会に入っていることは誰も知らないはずなので、その点を問い質すと、担当部長は「私どものところにも、いろいろな信用調査資料がありまして…」と語ったそうです。

(3)検察批判弾圧事件
 これは記者の間で広まっている伝聞情報なので、真偽は確認されていません。
 ある中小企業経営者がテレビの街頭インタビューを受け、小沢氏の強制起訴を議決した検察審査会についての問いに、「ちょっとおかしいと感じる」と疑問を口にしました。そのシーンが放映されると、経営者の元に地元の市役所幹部から呼び出しがかっりました。その幹部は、「あなたは市の事業を請け負う業者だ。政治的に偏向しているとみられることは、いうべきではない」と言ったそうです。その経営者は脅されたと感じ、陳謝して帰りました。

 如何でしょうか? こうしたことが社会の裏側で起きているのです。財務省から銀行に対して、小沢氏の支持者には融資しないように指示が出てるようです。背後には政権与党、そして米国がいるのでしょう。また、小沢一郎後援会名簿などの資料が流出していることが窺われます。最後の市役所幹部の言動は、公務員でありながら思想や表現の自由を定めた憲法の規定を蹂躙していますから、実際にあったことなら言語道断です。
 独裁国家でしか有り得ないこの動きは、小沢支持かどうかとは関係なく、国民全体が問題視しなければなりません。菅総理や仙谷官房長官は左翼であり、特に後者は真っ赤に染まっています。このような人たちが政権を牛耳っていること自体、あってはならないことで、長期政権となればスターリン時代のソ連と同様の恐怖政治が行われるようになるでしょう。日本のために一刻も早く倒閣すべきです。

「週刊ポスト」2010年11月26日・12月3日合併号

(陽光堂主人)http://yokodo999.blog104.fc2.com/blog-entry-90.html

小沢氏を巡る裁判は江戸時代のお白州と同じ

2013年12月15日 | 国内政治
 昨日(2011年10月6日)、陸山会事件を巡る小沢一郎氏の初公判が開かれましたが、小沢氏が行った意見陳述は、事件の本質のみならず、我国が置かれた危機的状況にまで言及しており、よくまとまった内容となっています。読み返す価値があると思いますので、少々長いですが、以下引用します。

 起訴状への見解を申し上げます。検察の不当な捜査で得た調書を唯一の根拠にした検察審査会の誤った判断に基づくものに過ぎず、裁判は直ちに打ち切られるべきと思います。百歩譲って続けるにしても、罪に問われる理由は全くありません。政治資金収支報告書に間違った記載をした事実はなく、虚偽記載に当たる事実はありません。まして、虚偽記載の共謀をしたことは断じてないのであります。検察は、特定の意図で国家権力を乱用し、議会制民主政治を踏みにじったということにおいて憲政史上の一大汚点として残るものであります。

 そもそも政治資金規正法は収支報告書に間違いがあったり不適切な記載があった場合、会計責任者が総務省に報告書を修正することが大原則と思います。贈収賄、脱税、横領など実質的犯罪でないものについて、検察などが報告間違えや不適切な記載を捜査すると、自由な政治活動を阻害する可能性があります。国民主権を侵害する恐れもあります。何百件、何千件と数え切れない報告間違えがあっても実質的な犯罪でないものは、すべて収支報告書の修正で処理されてきました。唯一、私と私の資金管理団体だけが、実質的犯罪を犯した証拠は何もないのに、東京地検特捜部によって強制捜査を受けたのであります。

 もちろん私は収賄、脱税、背任、横領など実質的犯罪はまったく行っていません。なぜ、私だけが単純な虚偽記載で、何の説明もなく、突然に原則を無視して強制捜査を受けなければならないのか。到底、公正で厳正な法の執行とは言えません。

 西松事件の強制捜査、陸山会事件の強制捜査など、延々と捜査を続けたのは明らかに常軌を逸していたと思います。検察が政治家・小沢一郎個人を標的としたとしか考えられません。政治的、社会的に抹殺することが目的だったと推認できますが、明確な犯罪事実と根拠がないのに特定の政治家を対象に強制捜査をしたのは明らかな国家権力の乱用であり、民主主義国家では到底許されない暴力行為であります。

 特に許せないのは国民から何も負託されていない検察・法務官僚が議会制民主政治を踏みにじり、公然と国民の主権を侵害したことであります。一昨年の総選挙の直前、証拠もないのに検察は国家権力を乱用し、野党第1党の代表である私を狙ったのであります。とりわけ2年前の総選挙は本格的な政権交代が十分に予想された特別なものでした。こんな時に、総選挙の行方を左右しかねない権力の行使が許されるなら、日本はもはや民主主義国家とは言えません。

 戦前、軍人と官僚や検察・警察官僚らが結託し、マスコミを巻き込んで国家権力を乱用し、政党政治を破壊しました。その結果は無謀な戦争への突入と敗戦という悲劇でありました。昭和史の教訓を忘れ、権力の乱用を許すなら、日本は必ず同様の過ちを繰り返すに違いありません。

 東日本大震災からの復興はいまだ本格化せず、福島第1原子力発電所の事故は収束のめどすらつかず、加えて欧米の金融財政危機による世界恐慌の恐れが目前に迫ってます。政治の混迷が深まると、国民の不安が遠からず爆発して、偏狭なナショナリズムやテロリズムが台頭し、日本の将来は暗たんたるものになります。悲劇を回避するには、国家権力の乱用をやめ、政党政治への信頼を取り戻し、真の議会制民主主義を確立するしかありません。まだ、間に合うと私は思います。裁判官の皆様の見識あるご判断をお願い申し上げ、私の陳述を終わります。ありがとうございました。

 呆れたことに、我国の裁判制度(法意識と言った方が適切かも知れません)は、江戸時代と変わっていません。近代的な装いの裁判所も、お白州と同じなのです。

 我国の司法制度は欧米由来のものですが、基本原則は「疑わしきは罰せず」です。1000人の犯罪者を見逃すことより、1人の冤罪を作り出す方を恐れているのです。だから欧米の有罪率は半々ですが、日本の場合は99.9%です。つまり、起訴されたら殆ど有罪が確定したようなものなのです。起訴されただけで犯罪人扱いされるのは、このためです。

 有罪率99.9%は凄い数字ですが、これにはトリックがあります。有罪になりそうもない案件は、起訴されないのです。警察や検察はかなりの裁量権を持っているわけですが、逆に言えば、確実に有罪になるケースでも、彼らの胸先三寸でお構いなしにできるということです。だから身内の犯罪にはどうしても甘くなります。

 小沢氏のケースは、検察が不起訴にしたわけですから、彼らの強引な手法でも有罪に持ち込めないことが判っていたのです。ですから、今回の検察審査会による起訴も、勝てる見込みは殆どありません。裁判を長引かせて、小沢氏の政治生命を断つのが狙いです。何とも汚い連中です。

 今回の裁判について、テレビなどで識者がコメントしていますが、誰も皆、司法制度を理解していません。4億円の原資についてどんな金なのか明らかにせよと述べていますが、こんなことは裁判とは関係ありませんし、法廷は真実を明らかにする場ではありません。この辺に大きな誤解があるようです。

 真実が存在することは確かですが、神様でない限り、それを知ることはできません。人間にできることは、それに近づくことだけです。ましてや、世間知らずの裁判官に真実など判るはずはありません。法廷に存在するのは、告発する側にとっての真実と、弁護側の真実だけです。両者が弁論を戦わせたところで、真実は明らかにはなりません。裁判官は、法律に照らして犯罪を構成するかどうか判断するだけです。

 これはもちろん、裁判そのものが成立するとした場合の話です。そもそも裁判自体が成立しなければ(起訴すること自体無効ならば)、真実性など問われる筋合いはありません。たとえそれが犯罪がらみの話であってもです。それを明らかにするには、別の司法手続きを必要とします。

 今回の裁判の問題点はただ一つ、指定弁護士による起訴自体が無効であることです。検察役の指定弁護士は、焦点の4億円の借入を収支報告書に計上せず虚偽記入したとしていますが、この訴因について検察審査会は処分当否の審査をしないまま議決をしています。手続きに瑕疵があり、これでは起訴は成り立ちません。

 刑事事件では、裁かれるのは行政(検察)側であって、被告人ではありません。法律の専門家を含めて、一般の人は被告人が裁かれると思っていますが、これは間違いです。法曹関係者がこれを理解していないのて、日本の司法制度は前近代性を抜け出せないのです。

 強大な権限を持つ検察に告発されたら、国民はとても太刀打ちできません。これでは冤罪を防ぐことはできませんから、逮捕から起訴に至るまで、詳細な手続きが定められています。この手続きにわずかでも瑕疵があれば、有罪に持ち込むことはできません。法廷は、検察が行った手続きが適法なものであったかどうかを問う場でもあるのです。近代司法制度の下では、今回の検察審査会による起訴は無効であり、後の争点は瑣末なものに過ぎません。

 こうした無法が罷り通るところに、日本の社会が持つ暗黒面が表れています。デビッドが失脚したことで、こうした旧弊も改められると思いますが、司法や行政サイドの浄化を待っているだけでは根本解決にはなりません。見識を持った日本人を育てることが急務で、そうしなければ我々の権利は守られないのです。

(陽光堂主人)http://yokodo999.blog104.fc2.com/blog-entry-405.html

小沢一郎・民主党元代表に対して、東京第5検察審査会が「起訴相当」議決

2013年12月15日 | 国内政治
 2010年10月4日に、小沢一郎・民主党元代表に対して、東京第5検察審査会が「起訴相当」議決をしたことが発表されました。議決自体は9月14日になされていますから、民主党代表選の結果をにらんで設定されていたことは明らかです。小沢氏が敗北したので、不自然にならないように発表を延ばしたのでしょう。
 この「議決」はどう見ても不当ですが、マスコミのネガティブ・キャンペーンに乗せられた小沢嫌いの人が多いですから、基本的なことを再確認する必要があります。問題は、小沢氏が違法なことをしたかどうかです。この前提が成り立たなければ、これは暗黒裁判になってしまいます。

 結論から言えば、何も違法なことはしていません。順に説明しましょう。
(1)土地取得が04年だったのに05年の報告書に書かれているという問題
 小沢氏の政治資金管理団体・陸山会が問題の土地の所有権を取得したのは05年で、04年に仮登記しています。検察は契約は04年だから04年分に記載すべきとしてしますが、本登記して所有権の移った翌年分に載せただけです。こんなことを問題にする方が可笑しく、どうしてもと言うなら修正すれば済む話です。
(2)土地購入が記載されていないという問題
 これは(1)で明らかですが、検察の言う04年分に載っていないというだけの話です。翌年に載せているのに記載されていないと言うのは、ヤクザの言い掛かりと同じです。
(3)土地購入に充てた4億円が収支報告書に記載されていないという問題
 04年の収支報告書には、収入欄に「借入金 小澤一郎 4億円」と書かれています。問題視されたのは、一旦小沢氏が提供した4億円を後に銀行借入れに切り替えている点です。これが不自然であるかのように論じられていますが、お金があっても資金繰りを考えて借入れするというのはよくあることで、事業経営をしたことのある人なら直ぐ納得できるでしょう。
そもそも、一時的に用立てる仮受金などは政治資金報告書に記載する必要はないのです。その理由は、ほぼ全ての議員は個人で事務所の経費を立て替えているからです(そうしないと献金が集まるまで秘書の給与などが支払えない)。

 以上のことから、小沢氏が起訴される理由などないことが判ります。検察が行ったのは明らかに「国策捜査」だったのですが、さすがにこれでは起訴できません。そこで検察審査会の出番となったのです。
 検察審査会に小沢起訴を申し立てたのは「市民団体」とされていますが、その正体は「真実を求める会」という極めて怪しげな団体です。しかも今回の申し立てをしたのは、中心メンバーである元新聞記者一人だったそうです。つまり小沢氏は、匿名のたった一人の人物によって政治生命を断たれようとしているのです。これは小沢氏に対する好き嫌いの問題ではなく、我国が法治国家かどうかが問われる重大な事件なのです。
 今回議決した審査員の平均年齢は30.9歳とされていますが、有権者の平均年齢は52歳なのでこれも不自然です。1回目の議決をした審査員の平均年齢も34.3歳であり、若過ぎます。統計分析でこうなる確率を計算すると、0.00067%になるそうですから、当局が意図的に若い人を選んで操ったとしか思えません。
 今後は弁護士に検察の役割をさせて裁判が行われますが、長引いた末に結局無罪に終ることは目に見えています。検察はそのことが判っていますが、弁護士が恥をかくだけなので一向に構わないのです。小沢氏は怪しい人物だという印象を国民に根付かせて、政治力を弱めるのが狙いだと思われます。小沢氏は、検察とその背後にいる米国に徹底的に嫌われていますが、それが何を意味するか、小沢嫌いの人はよく考えてみる必要があります。彼らにとって都合の悪い人物であるからこそ、ここまでやられてしまうのです。

「週刊ポスト」2010年10月22日号

(陽光堂主人)http://yokodo999.blog104.fc2.com/blog-entry-57.html

マイケル・グリーン総督

2013年12月09日 | 国内政治
SNSI中田安彦レポート

副島国家戦略研究所(SNSI)研究員 中田安彦

 参議院選挙が終わった。結果は中道左派の大敗北であり、日本の政治は、自民党という宗教右派的な勢力と経団連を代表する財界勢力、そして官僚勢力を支持母体とした「利権連合体」となって圧倒的な存在感を示すことになった。そこで、今回は私が最も専門としている「アメリカの知日派(ジャパン・ハンドラーズ)」が、参院選後の日本をどのように再編していこうとしているかという点について述べたい。

 ご存じない人のために説明しておくと、日本という国はアメリカの同盟国とは言いながらも、軍事力の差や諜報力の差を踏まえると、実際は「従属国」(クライアント・ステイト)というにふさわしい。日本は独立国ではなく、アメリカの思惑によって動かされてきた属国なのである。これは、私の師匠である副島隆彦だけではなく、オーストラリア人の大学教授であるガヴァン・マコーマックや、果てはアメリカのエスタブリッシュメントのズビグニュー・ブレジンスキー元米大統領国家安全保障担当補佐官も長年指摘してきたイデオロギーの左右を問わず通用する世界の「常識」なのだ。

 知らぬは日本人ばかりなりといったところだが、それでも最近はタクシー運転手ですら「日本はアメリカの属国ですからね」とボヤく。庶民レベルではすでに浸透している認識であるといってよい。この事実を無視しているのは大手メディアだけである。

 覇権国の周辺国が属国になってきた例は枚挙にいとまがない。例えば、大英帝国の支配下にあったインドもそうだ。インドには英国の植民地行政官が派遣されており、そのイギリスの「知印派」は独特の知的階層を構成してきた。それと同じようなことが、サンフランシスコ講和条約とその抱き合わせとしての米日安全保障条約によって、名目上独立した日本においても行なわれている。つまり、日本の統治機構、なかんずく、外交政策においては、この支配体制が顕著である。内閣のもとに外務省があって、それが時の内閣の指揮監督を受けて外交方針を決定するのではなく、実際は内閣は外務省の助言に基づいて外交を行なっており、その外務省を指揮監督するのが同盟国アメリカの国務省という構図になる。

 その米国務省において日本を担当するのが東アジア担当国務次官補という役職であり、あるいはホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長といった役職である。これらの官職を経験した国務省の官僚たちが民間に天下って、シンクタンクなどで財界の支援を受けながら日本研究を行なっている。逆もまた真なりで、シンクタンクの知日派が官職に抜擢される場合もある。これが俗にいう「回転ドア」というやつである。

 今回、皆さんに紹介するのは、そのような回転ドアを行ったり来たりしている、マイケル・ジョナサン・グリーンという人物である。グリーンは現在、ワシントンにある米戦略国際問題研究所(CSIS)というシンクタンクの日本部長をしているが、かつてはブッシュ政権においてNSCアジア上級部長を経験していたほか、米外交問題評議会の研究員でもあった。

 なぜこのグリーンが、ここでとくに紹介するほど重要なのかというと、グリーンは現在日本に滞在中であり、お盆頃まで日本の有識者と参院選後の日本の安全保障について議論していくということが、すでに報道されているからである。そして、参院選に圧勝した自民党政権は憲法改正まで視野に入れながら、安倍首相が参院選後の記者会見で明らかにしたように、「集団的自衛権の解禁」にまで踏み込んでいくと思われる。さらに、グリーンがかつて役職を務めていたNSCと同格の国家安全保障会議(日本版NSC)を、日本国内においても設置する動きが急加速している。

 実は、集団的自衛権とNSCの設置はグリーンが、かねてから日本政府に要求してきた内容である。それ以外にも他のジャパン・ハンドラーズであるリチャード・アーミテージやジョゼフ・ナイも「アーミテージレポート」という形で主に安全保障問題に視野を定めた対日戦略案を去年の終戦記念日に発表しているが、同レポートの発行元もグリーンの所属するCSISである。

 グリーンは、参院選直前に来日して、自民党の勉強会にも出席している。グリーンは自民党の勉強会では、安全保障問題とTPP推進の2つを大きく主張していた。

 なお、グリーンと面会した自民党の政治家としては、参院選直前に週刊誌で海外での買春疑惑が報道された西村康稔・内閣府副大臣のほか、桜田義孝・衆院議員、安倍首相の閨閥に属する岸信夫・参院議員ら中堅議員の名前が確認されている。それ以外にも、自民党青年局の小泉進次郎局長、辻清人、牧原秀樹、大野敬太郎、豊田真由子衆院議員らのような米国留学経験がある議員たちが面会している。自民党内には党政務調査会の田村重信・調査役などの橋本龍太郎政権の「日米新ガイドライン」の改定時から続く太い独自の「グリーン人脈」もある。民主党では前原誠司・元外相や長島昭久・元防衛副大臣などが揺るぎないグリーン人脈を持っている。長島元副大臣などはグリーンと同じ外交問題評議会研究員の出身である。

 小泉進次郎は、2006年に小泉純一郎が首相を退任した直後にコロンビア大学に留学し、歴代首相の指南役であるジェラルド・カーティス教授(日本政治)のもとで学んだあと、07年にはグリーンのいるCSISで客員研究員を努めて何本かグリーンと簡単な英語での情勢レポートを書いている。そして、08年10月の写真週刊誌「フライデー」で、純一郎が進次郎に地盤を譲ったことが報道された直後に、マイケル・グリーンらしき米国人と進次郎が駐日米国大使館に近い赤坂のホテルで密談している姿が確認されている。

 なお、カーティス教授は、かつてCIAに対する情報提供者として、船橋洋一・前朝日新聞主筆とともに並んで「CIA文書」に名前が挙げられた人物である。その船橋洋一だが、震災後に経済復興や国家戦略を議論する「日本再建イニシアチブ(RJIF)」を設立し、グリーンと前アジア担当国務次官補のカート・キャンベルを特別招聘スカラー(研究者)に抜擢している。このように書いていくと、読者の皆さんも、米日関係というものは、極めて狭い「インナーサークル」の間で動かされているのだな、と思われるだろう。実際そのとおりなのである。
 
 グリーンの経歴は非常に興味深い。今後もこのようなルートで人材が供給されていくのだろうことは想像できるので、ここで紹介したい。古森義久氏の『透視される日本』(文藝春秋社)などを参考にした。
 グリーンは、1983年に、米オハイオ州のケンヨン・カレッジ史学専攻を卒業しているが、14歳ころにジェームズ・クラベルの『将軍』という小説を読んで、東洋の国日本に関心を持ったという。そこでグリーンは、ケンヨンカレッジ卒業後に日本の文部省の英語教員募集に応じて、来日。静岡県榛原郡吉田町に配属されて公立学校で英語の先生をしている。今回の来日でもこの「静岡のど田舎」をグリーンは訪問し、旧友とTPPについて議論をしたと、記者たちを前に語っている。その後、グリーンは東大大学院に学び、中曽根康弘の側近であった椎名素夫衆議院議員(当時)の秘書をしたり、「岩手日報」で研修をしたりしていた。何やら計画的に知日派として育成されたかのようなお膳立てである。

 なお、グリーンが秘書を務めた椎名素夫とは、自民党の大物政治家・椎名悦三郎の息子であり、アーミテージ元国務副長官と極めて親しい関係にあった。中選挙区時代の岩手では、田中派の小沢一郎と後藤新平の閨閥にある椎名家が自民党議員として存在していたが、グリーンが反田中系の中曽根の部下のもとで研修をしているのは興味深い。なお、前述した小泉進次郎のもう一人の師匠であったカーティスも知日派になるきっかけは、中曽根派の政治家である佐藤文生のもとで選挙運動に参加したことであった。

 これらの話を見るにつけ戦後の米日関係はつくづく中曽根康弘を軸に動いていたと実感する。中曽根は、伝統的、宗教的な価値観を重視してきた岸信介系の反共保守の系統とは異なる系譜に属しており、若い頃からヘンリー・キッシンジャーを始めとする米支配層に育てられてきた人物である。外交政策上はリアリズムに属するこの系譜は、民主党の長島昭久・元防衛副大臣にも引き継がれている。安倍晋三の祖父である<岸信介の清和会系>と<中曽根=民主党(凌雲会・花斉会)系>は「対米従属」である点は全く同じだが、イデオロギーの面で全く違う。そして米国は前者のほうが管理しづらい勢力だと感じている。そして旧田中派系は小沢一郎に引き継がれていたが、もう殲滅されてしまった。自民党内に残っている額賀派なるものは、もはや田中派ではなく清和会とほとんど同じである。

 さて、グリーンが日本に来るきっかけになったのが、JET(The Japan Exchange and Teaching)プログラムである。これは国の仲介で、県や市町村などが外国の青年を誘致する事業で、地方の学校で英語を教えたりするものだ。このJETにグリーンは参加していたわけだ。これが属国日本を管理する高等弁務官のような国務省役人の育成に役立っている。アメリカという国はこういう地味なプログラムも大きな戦略目標に基づいて行なっている国だ。

 五百旗頭真・元防衛大学校長によると、このJETに参加して、他に現在知日派として活動しているのは、マイケル・オースリンAEI日本部長、ロバート・エルドリッヂ在沖縄海兵隊外交政策部長らであるという。オースリンは米経済紙WSJのアジア版に定期的に米日関係についてのコラムを寄稿している。

 もっと言えば、グリーンの現在の妻であるアイリーン・ペニントンもグリーンとたくさんの共通点を持っており、元はと言えば、JETの派遣で長崎県で英語を教えていた。グリーンと奥さんは、彼が日本では中曽根政権のころに博士論文を「日米の同盟関係」というテーマで書いた際に在籍した大学院、ジョンズ・ホプキンス大学国際問題大学院(SAIS)の同窓生という関係である。(「週刊新潮」2006年2月2日号)

 このグリーンを高く買っているのが安倍晋三首相である。安倍首相はマイケル・グリーンが米外交専門誌「フォーリン・アフェアーズ」に07年に書いた「Japan is back」(日本は戻ってきた)という論文に明らかに呼応する形で、去年の衆議院選挙の自民党スローガンを「日本を、取り戻す」と決めている。また、今年2月に訪米した折にグリーンのCSISで記念講演をした際にも安倍首相は「Japan is Back」という表現を使って演説を行なっている。つまり、自民党の「日本を取り戻す」というのは、「日本をアメリカが取り戻す」ということにほかならない。この背景に、民主党鳩山政権時代に日本が対米自立を模索したことへの知日派のいらだちがあることは言うまでもない。何しろ、安倍晋三は、グリーンの結婚式が米東部で05年の大晦日に開催された際に、「日本国民が最も信頼するマイケル・グリーン博士とアイリーンへ おめでとう!安倍晋三」というメッセージを送っている。「日本国民を勝手に一人で代弁してほしくないよ」と、私などはあきれ果ててしまうが、これが米日関係の実態である。

 そのグリーンが、カート・キャンベルとともに、参院選期間中の16日に船橋洋一の設立した「日本再建イニシアチブ」のスカラーの肩書きで日本記者クラブの会員(つまり記者クラブメディア)に向けて1時間半ほどの講演会を行なった。まず、共同通信の報道を引用する。

元米高官、安倍政権に注文 中韓との関係改善を

 来日中のキャンベル前米国務次官補とグリーン元米国家安全保障会議アジア上級部長が16日、東京都内の日本記者クラブで会見した。知日派として知られる両氏は参院選の投開票日を21日に控えた安倍政権に対し、外交面では日韓、日中関係の改善を促し、内政・経済面では環太平洋連携協定(TPP)の年内妥結や日本経済の持続的成長に期待を示した。  キャンベル氏は、歴史認識問題でぎくしゃくする日韓関係などを念頭に「近隣諸国との関係改善を促す」と注文。グリーン氏も、関係悪化は台頭する中国に対処する上で「日韓双方の立場を弱める」と述べた。

2013/07/16 20:20 【共同通信】 

 この講演のもようは一部では報道されたが肝心なことがまったく報道されていない。この講演はインターネットで動画配信されているのでそちらを視聴したところ、グリーンが他の部分で極めて重要な日本の安全保障政策についての発言をしていることを私は確認した。以下に箇条書してみよう。船橋洋一もこの講演ではしゃべっている。「グリーン語録」をじっくりと読んでいただきたい。

*船橋洋一「グリーン、キャンベルは私どものシンクタンクの特別招聘スカラーに参加している。2年間の契約だ。毎週15人と日本の戦略プランを話し合っている。2人はこの20年間のアジア太平戦略の要。深い洞察力を持つ2人である」

*船橋洋一「グリーンは共和党だが過激な茶会党と違った穏健派だ。キャンベルは、ハードリアリズムの思想の持ち主。違っているように見えて、実は2人は似ているんですね。この2人がいれば最強タッグだ」

*グリーン「私達のRJIFのプロジェクトでは15人の著名な専門家と一緒にNSCの役割の検討を行なっている。日本政府に対してどのようにグランドストラテジーを立てるかどうか提案する前提で検討している」

*グリーン「アジアの秩序がパックス・アメリカーナになるのかパックス・シニカ(中国覇権)になるのか、その間で緊張関係が続くのか。真剣に考える時期が来ている。国家目標のために、日本の持っている手段を検討する必要があり、そのために日本版NSCが存在するわけだ」

*グリーン「米国は強い日本を必要とし、NSC設置は日本を強くするチャンスだ。私も船橋さんのシンクタンクでNSCをどのように設計していくかの議論に参加する特権を得た」

*グリーン「私は政府の人間ではないが、安倍政権の政策のうち、経済復活政策は米国の国益に一致する。他の海洋国家に手を差し伸べる政策も米国の国益と米日同盟に一致する。米国政府は国内の問題なので改憲、9条改正に反対することはないだろう。経済と集団的自衛権の問題の優先順位が私的には高い」

*グリーン「米日の戦略が緊密に整合性を持たなければ中国に対抗できない。日本側にはワシントンで日本の対中戦略を説明尽くしてくれ。抑止力、説得が含まれていなければならない。米に日中関係改善の手段も説明せよ。これらは一応安倍総理の戦略に含まれているが包括的な形でワシントンに説明せよ」

*グリーン「経済は国家の強靭さにとって根本的に重要だ。だから、安倍政権にとって、経済成長を促す三本目の矢は重要だ。市場の反応は今そこまで好意的ではない。参院選後に規制撤廃や構造改革が必要だ」

*グリーン「経済以外では日本の戦略にとって重要なのは日米同盟だ。日米同盟は日本が国益を実現させるためのツールであると認識している」

*グリーン「危機が発生すれば米国はアジアに駆けつけることは当然だが、危機発生前の統合戦略というものが、まだ存在しない。他には日韓関係が重要だ。米国は日韓関係を危惧している」

*グリーン「日本は強力なソフトパワーを入手した。TPPへの参加を決めたことだ。私は、先週静岡の"ど田舎"にいってTPPがいいか悪いか、日本酒を片手に農家の旧友たちと激論を語り合った。60歳より上の人は反対、下の人は賛成だった。しかし、地域の機構を大転換するきっかけとなるのがTPPで重要だ」

*グリーン「靖国についてだが、個人的な見解を述べたい。国の指導者が犠牲を払った国民に敬意を表明するのは当然。豪州のキャンベラの例もある。日本の指導者の多くが靖国を参拝することは、日本が平和愛好国ではないことを決して意味していない。そのことを世界は理解するべきだ」 

 以上のように、安倍政権の支持母体である靖国崇敬者(カルトオブヤスクニ)と米国で呼ばれる政治勢力について、宗教的な感情を尊重しながらも、政治的な影響力については警戒。同時に安倍政権が推し進める日本版NSC構想については、しっかりと議論の段階で介入し、米国の利益を損なうような制度設計には、断固として反対する姿勢を見せている。経済問題について言えば、TPPを安全保障問題とリンクさせ、中国を国際ルールに従わせるために、日本のTPPへの積極参加が必須であるとしていることがわかる。グリーンは、震災直後にもCSISのスタッフと来日し、ボーイングなど米財界の意向を受けて東北復興プランを作成した。このプランは経団連との共同プロジェクトでもあり、グリーンは軽井沢で行われる経団連夏期セミナーにも参加していた。(今年のセミナーに参加したのは同じく知日派のケント・カルダー)

 民主党政権時代、アメリカの知日派は、日本のアメリカ離れを危惧して欧州型の東アジア共同体を模索した鳩山政権に対し厳しい圧力を加え、民主党内に知日派が育てた前原誠司、長島昭久、渡辺周らの凌雲会・花斉会系政治家を重視し、対米自立派の拡張を抑えた。この対米自立派に対する攻撃の背景にはグリーンら知日派と連携して、民衆が選んだ政府を潰しにかかった外務省の官僚の存在があった。ウィキリークスの流出米公電で明らかになったことは、拙著『日本再占領』で指摘した通りである。

 グリーンは日本版NSCについての議論を船橋洋一のシンクタンクと行なう一方で、知日派の枠を広めるための活動を、笹川平和財団とCSISの連携事業として行なっている。例の統一球問題で、楽天球団オーナーの三木谷浩史から叩かれた、プロ野球コミッショナーの加藤良三・元駐米大使らと一緒になって、笹川平和財団で日米安全保障研究会という勉強会を立ち上げており、RJIFと並行して「日本のアメリカ離れ」を防ごうとしている。

 中曽根政権時代の1986年に設立された笹川平和財団は、岸信介の盟友であった笹川良一の資金で設立されたものだけあって、反共親米の政治色が強い。スタンフォード大学で国際政治学を学んだ、加藤元駐米大使の娘・加藤和世は、アーミテージのコンサルティング会社である「アーミテージ・インターナショナル」に所属したあと、CSISに所属し、現在は笹川平和財団に所属している。米国全体では、中国を重視する動きが高まっていくなか、知日派という一種の「利権マフィア」の間では、「日本のアメリカ離れ」を抑止するような動きが先鋭化している。笹川マネーはアメリカの日本工作のための財団である米日財団も1980年に設立している。

 知日派にとって日米関係は、あくまで生きていくための「飯の種」であり、それが外務省にとっては日米同盟が中核の利権であることと呼応しあっている。それはオスプレイ配備などで浮き彫りになった日米地位協定問題だけではなく、原子力政策に大きな影響を持っている、中曽根政権時代に現在のかたちになった「日米原子力協定」の問題を見てもおなじ構図である。外務省が「日本の安全保障」とは名ばかりに自分たちの権益・省益を守ろうとして、日本の国益を長期的に損ねる外交政策を時の政府に行なわせている。

 なお、日本版NSCの要職には、ウィキリークスでさんざん日本の民主党政権を悪し様にこき下ろし、米国との交渉で「あまり早く日本政府に譲歩してくれるな」と普天間交渉について要請したことが派手に暴露された、高見沢将林(たかみざわのぶしげ)(安全保障・危機管理担当)が就任すると噂されている。高見沢は、防衛省の背広組官僚で、防衛政策局長から防衛研究所長を歴任している。外務省・防衛省ともに対米従属が全面復帰している。

 最後に、参院選後の日本政界について述べよう。マイケル・J・グリーンは、去年の衆院選の真っ最中(12月15日)に「東洋経済」の電子版にて、「総選挙が左派に最後のとどめを刺す」という予言めいたインタビュー記事に登場している。実際、衆院選でも自民圧勝でリベラル系の親米派や対米自立派の受け皿になるはずだった小沢一郎のグループは殲滅された。今回の参院選でも、小沢が率いる「生活の党」や亀井静香が所属していた「みどりの風」は大惨敗。小沢は選挙戦終盤で新潟県の浦佐駅前の田中角栄銅像前で今の自民党政権の政策の誤りを訴えたが、世論はまったく受け入れなかった。これは、小沢一郎がアメリカ主導の国策捜査によって打撃を受けたこともあるが、一方で震災直後に被災地入りしなかったことや、自由党時代の中道右派的な政策から急速に社民党に近い左派政策にかじを切ったと受け取られたことの影響だろう。

 グリーンの薫陶を受けた小泉進次郎は、震災直後に被災地を訪問するパフォーマンスも忘れず、今回の参院選でも「ドブ板選挙」に徹した。これまで述べてきたことからも、進次郎が現在のグリーンにとっての最強の「代弁者」であることは理解されるだろう。その背後には、衆院選と参院選で当選した若手政治家がもれなく所属する党青年局の存在がある。極論すれば、グリーンは青年局を進次郎を通じて牛耳り、名実ともに植民地日本駐在の高等弁務官になりおおせたとも言えるだろう。

 空恐ろしい話であるが、残念ながらこれが衆参両院選挙の結果が突きつけた現実である。私が書いた『日本再占領』からそろそろ2年。米知日派の外務省と談合しての日本再占領政策は、中国の台頭を背景にしながらますます加速し、日本は世界から「米国の腰巾着」という目で見られて、軽んじられていくだろう。

(了)

<プロフィール>
中田 安彦 (なかた やすひこ)
1976年、新潟県出身。早稲田大学社会科学部卒業後、大手新聞社で記者として勤務。現在は、副島国家戦略研究所(SNSI)で研究員として活動。主な研究テーマは、欧米企業・金融史、主な著書に「ジャパン・ハンドラーズ」「世界を動かす人脈」「プロパガンダ教本:こんなにチョろい大衆の騙し方」などがある。

http://www.data-max.co.jp/2013/07/24/j_2_nkt_1.html

プルトニウム made in Japan

2013年12月08日 | 核・原発
「まだ日本の『 非核三原則 』を信じちゃってる人がいますが、あの311以降、発電に必要のない『原発』とJAXAのロケット技術は、すでに核ミサイル保有国の既成事実に気付いた方も多いですよね。

実際、日本国内にある、とある基地には核ミサイルサイロが偽装されてますが堂々と建設されているのも実名の内部告発でバレてますもんね・・・w

世界中にある軍需複合産業が売りつけた各国の『核弾頭』は時間と共に自然劣化が進むので、劣化した核弾頭を新品に取り替える為に大量のプルトニウムが必要になるため、あのフクシマの使用済み核燃料は、現地で再処理(プルトニウム濃縮)され、輸出されていました。

そもそも日本の原発の管理をしているのが、アメリカのボス軍事国家イスラエルの会社『 MAGNA bsp 』だってのがその証拠・・・w」

(中村 泰士)http://goo.gl/RZ8Ohb


日米合意超える秘密法案

2013年12月08日 | 国内政治
 政府・与党が制定を急ぐ特定秘密保護法案。その原点は第一次安倍政権の二〇〇七年、日米で軍事に関する秘密保護協定を締結したことにあるようです。
 協定は「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」で、二〇〇七年八月に締結されました。それまで日米の軍事秘密の保護対象は、日米相互防衛援助協定(MDA)に伴う秘密保護法に基づき、米国から導入した武器技術に限られていました。

◆日米軍事協定が原点
 GSOMIAは違います。日本全体に軍事秘密の保護を義務づけ、漏えいを禁じる包括的なものです。作戦計画、武器技術などあらゆる軍事分野におよび、口頭、文書、写真、録音、手紙、メモ、スケッチなどすべての伝達手段による漏えいを禁じています。
 今から二十五年ほど前にも、GSOMIAの締結をめぐって国会で議論がありました。中曽根政権で世論の反対で廃案になった「国家秘密法案(スパイ防止法案)」の二の舞いになるのを恐れた政府は「このような協定を結ぶつもりも意図も全くないということに尽きる」(一九八八年五月十七日衆院内閣委、岡本行夫外務省安全保障課長)と締結を否定しました。
 方向転換したのは、〇三年十二月に小泉政権が閣議決定した米国からのミサイル防衛システムの導入がきっかけでした。弾道ミサイルをミサイルで迎撃するこのシステムは、衛星でミサイル発射を探知する米国からの情報がないと使いものになりません。
 〇五年十月、自衛隊と米軍の一体化を打ち出した米軍再編中間報告は「共有された秘密情報を保護するために必要な追加的措置をとる」と明記しています。具体的な秘密保護策が必要だとの認識で日米が一致したのですが、まだ日本政府は動きません。

◆事件摘発で急展開
 事態が動いたのは第一次安倍政権の〇七年一月です。防衛省情報本部の一等空佐が秘密漏えいの疑いで自衛隊警務隊の事情聴取と家宅捜索を受けたのです。南シナ海で中国潜水艦が火災を起こし、航行不能になったとの読売新聞記事の情報源とみなされたのです。
 報道から実に一年八カ月も経過していました。事情聴取後の同年五月には日米がGSOMIAの締結で合意し、八月には締結と長年の懸案が驚くべきスピードで決着します。強制捜査に踏み切ったのは、秘密保護が必要だと国民にアピールする狙いだったのではないか、との疑いが消えません。一等空佐は起訴猶予となり、刑罰を受けることはありませんでした。
 当時、国会では秘密保護法の制定につながるとの懸念が示されましたが、政府は「国内法の整備は必要ない」(〇七年五月七日衆院特別委、久間章生防衛相)とかわします。その言葉に反し、「秘密保全法制の在り方に関する検討チーム」を発足させ、民主党政権でも検討が引き継がれて今回、特定秘密保護法案になったのです。
 第一次安倍政権では、首相ら四人の閣僚が安全保障政策を決定する国家安全保障会議(日本版NSC)を設置する法案を国会に上程しています。福田政権が廃案としたので、日の目をみませんでしたが、安倍晋三首相の再登板により、再び上程されています。
 米国からのマル秘情報を日米で共有するためにGSOMIAを締結したのですから、政府からすれば、情報の受け皿になる日本版NSCを設立したり、特定秘密保護法を制定したりするのは、当然の帰結ということなのでしょう。
 GSOMIAが締結されて、米国の軍事技術が提供され、日本の防衛産業でも米軍の最新兵器の生産や修理ができるようになりました。米国製の最新鋭戦闘機F35の国内生産は、その典型例です。F35の生産をきっかけに、安倍政権は武器輸出三原則の見直しにも着手しようとしています。
 すべては、ミサイル防衛システムの導入を決めた十年前に始まったのです。

◆国民は国家の付属物か
 安全保障上、公表できない情報があるのは当然です。しかし、政府は最近十五年で公務員による主要な情報漏えい事件は五件とし、安倍首相は「(前出の)中国潜水艦に関わる事件以外は特定秘密に該当しない」と明らかにしています。二〇〇一年、自衛隊法が改正され、情報漏えいの罰則を懲役一年以下から五年以下に厳罰化し、民間人も罰するとした抑止効果が表れています。
 日米で合意した「共有された秘密情報を保護する」を飛び越えて、保護対象を無限定に拡大するのは明らかに行き過ぎです。
 民主主義の生命線である「知る権利」など、もはやどこ吹く風の安倍政権。国民は国家の付属物ではないのです。

『東京新聞』社説 2013年11月24日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013112402000130.html

知る権利を守れば良いのではない。秘密保護法案

2013年12月08日 | 国内政治
「そもそも、この秘密保護法が決定していたと考えられるのは、小泉政権下での2005年の2+2(外務・防衛担当閣僚協議会)で、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の締結が宣言された時。この協定を実質的に運用するためには、法的整備が必要だからである。
http://jkcc.gr.jp/data/gaimu121220-9.pdf

この協定の最初にはこう書かれている。
「防衛に関する秘密情報を受領する政府が情報を提供した政府と同等の保護を確保する。」

わかりやすく言えば、軍事機密について、日本に米国と同じ法的保護を求めるものである。日米合同で軍事を進めていくのだから、同じ法律を作っておけよという事。

小泉政権時代に導入した米国のミサイル防衛システムは、米国からの軍事情報がなければ成り立たない。その情報を得るには法的整備が必要なのである。

さらに、今後、米軍の戦争兵器の開発整備(米国製の最新鋭戦闘機F35の国内生産等)や、さらなる米国からの兵器購入にもこの法律は必要不可欠であり、戦争をしたい政治家にとっては、欠かすことのできない法律なのである。武器輸出三原則もへったくれもない。

そこで、米国のケリー国務長官とヘーゲル国防長官、岸田外務大臣と小野寺防衛大臣の4名で行われた今年の2+2(外務・防衛担当閣僚協議会)で、この秘密保護法の制定に圧力をかけ、共同声明「より力強い同盟とより大きな責任の共有に向けて」が出された。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000016027.pdf

戦争をしたい政府としては、引くに引けないわけで、遡れば、中曽根政権時代「国家秘密法案(スパイ防止法案)」からの一部の戦争屋達による策略であり、国民を欺くことになろうとも、この法案を通すことが悲願であるからだ。

注意しなければならない。この法案は、国民に「知る権利が奪われる」という分かり易いお題目を与え、そのお題目に対し譲歩することで、法案への抵抗を無くそうとしている。

本当の目的は戦争への布石であり、軍事情報の保護を飛び越えて国民の知る権利が奪われるとマスコミが流布し、マスコミの抵抗により、国民の知る権利はある程度守られたという印象を与え、法案可決をゴリ押しする可能性がある。

もちろん、法案が通ってしまえば、原発だってTPPだって遺伝子組み換えだって秘密にできるのだから、一石二鳥なのかもしれないが。」

(岡本 よりたか)https://www.facebook.com/yoritaka.okamoto?hc_location=timeline

遺伝子組み換え食品表示ルール

2013年12月08日 | 食料農業

「遺伝子組み換え食品セミナーに行けないという主婦の方々からのご要望で、一番大事なことを投稿します。
どの原材料にも遺伝子組み換えと書かれていないお菓子があったとします。こんなお菓子は実際には存在しませんが、近いものはあります。
原材料表示に関しては以下のルールがありますね。

■原材料の上位から4番目以降は表示義務がない
■重量割合が5%未満なら表示義務がない
■加工段階でタンパク質やDNAが検出できない場合も表示義務はない
■5%以内の遺伝子組換えの混入は認められている

このルールを参考に、原材料から遺伝子組み換えを探し出してみてください。
--------------------------------------------
答えです。
■原材料の上位から4番目以降は表示義務がない
ぶどう糖果糖液糖以降の原材料はすべて表示義務を逃れます。しかしほとんどが遺伝子組み換え食品です。
・ぶどう糖果糖液糖
 遺伝子組み換えトウモロコシから作りますが、そもそも表示義務なし
・植物性油脂
 遺伝子組み換えの大豆油、コーン油、ナタネ油かもしれませんが、そもそも表示義務なし
・たん白加水分解物
 遺伝子組み換え大豆から作られたかもしれませんが、4番目以降なので表示義務なし
・醸造酢、酒精
 遺伝子組み換えトウモロコシが使用されているかもしれませんが、表示義務なし
・乳化剤
 遺伝子組み換え大豆由来かもしれませんが、4番目以降なので表示義務なし
・デキストリン
 遺伝子組み換えトウモロコシから作られたかもしれませんが、そもそも表示義務なし
・ビタミンB2
 遺伝子組み換え大豆由来かもしれませんが、4番目以降なので表示義務なし
・アミノ酸
 遺伝子組み換え添加物かもしれませんが、そもそも表示義務なし

■重量割合が5%未満なら表示義務がない
・大豆粉
 遺伝子組み換え大豆の場合は3番目なので表示義務はありますが、5%未満なので結局表示義務なし

■加工段階でタンパク質やDNAが検出できない場合も表示義務はない
・コーンフレーク
 遺伝子組み換えトウモロコシの場合は1番目なので表示義務がありますが、DNAが検出出来ないので表示義務なし
・砂糖
 遺伝子組み換え甜菜から作られたかもしれませんが、DNAが検出出来ないので表示義務なし

■5%以内の遺伝子組換えの混入は認められている
仮に遺伝子組み換えでない原材料であっても5%は混入している可能性がある。
--------------------------------------------
以上の結果で、全部遺伝子組み換えかもしれないというのが結論です。クワバラクワバラ。」

(岡本 よりたか) https://www.facebook.com/yoritaka.okamoto


従属のための自立

2013年12月07日 | 国内政治
 心配なのは、イスラエルに安全保障の的確な分析者が多く、イランとの自滅的な戦争を避けてきたのと対照的に、日本の安全保障関係者は対米従属のことしか考えておらず、中国とほんとうに戦争になってしまうかもしれないことだ。日本が中国と戦闘してしまったとき、米軍が出てきてくれるとは考えられない。中国とうまく停戦できる外交手腕もない時、日本はどうするのだろう。またもや「無条件降伏」か、もしくは今度こそ「本土決戦」か。最もまずい点は、日本が中国と敵対する理由が対米従属のためだということだ。日本が本気で自立して、その上で中国と敵対するなら、それはそれで全力を傾注してやることになるので、国家の力がつく。

 中国と本気で対立して日中間の経済関係を断絶すると、日本経済への悪影響が甚大になり、日本企業がどんどん潰れる。それなのに日本の財界は中国敵視で満ちている。財界人が、自社を潰しても中国と敵対すべきと思っているなら敬意を表するが、実際のところそんな財界人はいない。財界人は、本気で中国と対決する気などないのに、国内の官界や政界との関係性だけをみて中国敵視をやっている。

 中国人民元は国際取引に使われる比率が増加し、今や世界の貿易取引の8・7%が人民元建てであり、ユーロの6・6%を抜いて、ドルに次いで世界第2の通貨になった。ドル建て貿易は81%だから、元はまだまだドルに匹敵しない。しかし、私が注目したのは、日本円の比率が1・9%から1・4%に低下していることだ。円はまだ世界第4位の通貨だが、人民元の6分の1しか使われていない。

 中国は、主要な諸国との間で、相互の自国通貨建ての貿易決済体制を組み、人民元建ての貿易決済を積極的に拡大し、アジアでは「元圏」を形成している。かつて日本も1980年代に、アジア諸国から「円圏」を作ってくれと頼まれた。だが当時の日本(大蔵省)は対米従属に固執するあまり、ドル決済体制のライバルになってしまう円圏の形成を拒否し、そこから今の低迷へとつながっている。日本が中国と本気で対決するなら、小さな島をめぐる対立を棚上げし、通貨体制を含む国際政治の場で、中国に負けない動きをした方が良い。それをやっていくと、対米従属から離脱せねばならず、中国との関係も、ライバルでありながら必要に応じて協調するようになる。

(田中宇)http://tanakanews.com/

世界が食べられなくなる日

2013年12月05日 | 食料農業
「科学誌の憂鬱」

「世界が食べられなくなる日」という映画をご覧になった方はどのくらいいるだろうか。

この映画の上映が全国で始まり、俄かに注目されてきた今、この映画の中で描かれていたフランス、カーン大学のセラリーニ氏の遺伝子組み換えトウモロコシによるラットの実験論文を掲載した科学誌『Food and Chemical Toxicology』が、その掲載を撤回した。
http://wired.jp/2013/12/02/gmos/
http://www.nature.com/news/study-linking-gm-maize-to-rat-tumours-is-retracted-1.14268

まず、この実験を説明すると、200匹のラットにモンサント社の遺伝子組み換えトウモロコシを2年間食べさせたところ、雌に乳がん、雄に腎臓や肝臓障害が、食べさせないラットよりも2倍~3倍の確率で発症したというものだ。

この論文により、EUでの規制に影響を与え、ロシアも全面的に輸入を停止した。それだけ影響力のある実験だったのである。特に、モンサント社が90日で実験を終了するのに対し、セラリーニ氏は700日の実験を行ったことにより、ラットの健康障害が90日を過ぎた頃から発症し始めるという事実を突きつけたからである。

当然、論文は他の研究者が査読し、出版社も自信を持って掲載に臨んだわけだが、その掲載後に、信じられない人事異動があった。なんと、元モンサント社の研究員だったリチャード・E・グッドマンが、この出版社に編集員として乗り込んできたのである。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=535986463149197

そして、事は起きるべきして起きた。この論文の掲載撤回を出版社が決めたのだ。

その撤回の理由が実験に使用したラットの数が少なすぎるということと、元々このラットは腫瘍を作りやすい種類だからということなのだが、セラリーニ氏が200匹に対し、モンサント社は当初20匹で実験していたのだから、馬鹿馬鹿しい批判である。現在ではモンサント社も200匹使用するそうだが、それでも同じ数である。かつ、使用しているラットも同じ種類であるというから、批判の理由にならない。

セラリーニ氏の研究グループは、掲載撤回にグッドマン氏が絡んでいると主張しているが、グッドマン氏は関与を否定している。しかし、時系列的に考えれば、状況証拠としては真っ黒だ。

権威ある科学誌を発行する出版社が掲載した論文であるだけに、その撤回はありえないと思われていたが、やはり、多国籍バイオ企業は、こうした科学誌にも強い影響力を保持している。

今やネイチャーだろうが、ナショナルジオグラフィックスだろうが、全ての記事をそのまま鵜呑みにはできない時代になってきたということだ。

https://www.facebook.com/stashiron/posts/672554316099509?notif_t=like

CIAの代理人ナベツネ

2013年12月03日 | 国内政治
 アメリカの権力は1%、すなわち産軍複合体、その手先が10万人を擁すると言われるCIAである。
 共和党のロン・ポールは「CIAを廃止、海外の基地撤去」を公約に掲げて大統領選を闘った。アメリカ版宇都宮徳馬である。悪しきCIAを承知しているからだ。このCIAと関係するナベツネの読売でいいのか。
小沢・鳩山事件の本質は、いうなれば日米対等を実現しようとして、CIAによって抹殺されたものだ。この事件追及に必死となった読売だった。しかし、ナベツネも歳に勝つことは出来ない。黄昏が迫ってきている。民衆もこの新聞の正体を知るようになってきている。
 民衆に奉仕する新聞に変質するのかどうか。これが将来を決することになる。不買運動の拡大は、NHKに対すると同様である。

(本澤二郎)http://blog.livedoor.jp/jlj001/archives/52054733.html