(前回)
【承前】
A-1.ギリシャ語辞書
A-1-2 Benseler Griechisch-deutsches Schulwörterbuch
1999年にギリシャ語の独習を始めた時、最初は簡便な辞書を使っていた。具体的には、英語では "An intermediate Greek-English lexicon"by Liddell and Scott で、ドイツ語では "Langenscheidt Taschenwörterbuch Altgriechisch"。Liddell and Scott の Intermediateは、充実した辞書でたいていの用途にはこれで間に合っていたが、Langenscheidtはあまりにも簡単すぎてすぐにもの足りなくなった。もっとも、この辞書には独希(Deutsch-Altgriechisch)部分があるので、現在でも重宝している。
ついでに言えば、この Langenscheidt のギリシャ語フォントは適度に丸みがついていて、私は大好きだ。と言うのは、ギリシャ語のフォントは、私の眼には、辞書出版の各社が勝手に作っているように思えて、なかなか趣きのあるフォントが少ない。とりわけ、フランスの出版社のギリシャ語フォントは私のセンスに合わないことが甚だしい。フランス語で、ギリシャ古典を読むには、Budeというシリーズがあるが、英語でいうLoebのようなものだ。ギリシャ語のフォントはと言えば、とても文化愛好の点ではヨーロッパでも屈指のフランスらしからぬダサいものだ。このようなフォントで印刷されれば、古典ギリシャ語を学びたくとも、学ぶ気持ちが失せてしまうであろう。
閑話休題
さて、Langenscheidt が物足りなくなったので、ドイツのアマゾンのサイト amazon.de でいろいろと調べると、Benseler の辞書に当たった。Schulwörterbuch というのは、日本語でいう「学習辞典」という意味で、ギムナジウムでギリシャ語を学ぶ学生のために編纂されたということが分かる。この辞書は送料こみで、6000円位するのだが、 Webでは中味は見ることができなかったが、思い切って購入したが、良い買い物だった。
Mengeでも取り上げた、 syrigma, syrinx, syrizo のBenselerの部分を下に示そう。
syrigma の部分に(syritto)とあるのは、、名詞の syrigma は動詞の syritto に由来するということを示す。すぐ下に syrizo,syritto があるが、Mengeで書かれていたような語源的な説明は一切ない。この辺りが、Schulwörterbuch の物足りないところであろう。
ただ、説明文は学生にも分かりやすくなっている。Menge では syrigma とは das Pfeifen(吹くこと)と説明し、後ほど c)に [一般的に叫び声、例えば象。 überhaupt Geschrei (z.B. des Elephanten) ] と追加の説明をする。 Benseler では、この説明が本文として書かれているので、見落とすことがない。( das Pfeifen, insbesondere Auspfeifen, dann der Ton der Pfeife oder der pfeifende Ton des Elefanten; überhaupt pfeifender, zischender Ton)
このBenseler のドイツ文は Menge と違って亀甲文字でなく、普通のローマ字であるのはうれしい。しかし、後日述べるが、フランス語―ギリシャ語の Bailly を使って、ギリシャ語の語源に興味を抱くようになってからは、Benseler では物足りなくなった。それで現在では、専ら Menge を使っている。それでもたまに、この Benseler を使って、ドイツ語がローマ字で印刷されていると、非常に読みやすく、緊張がほぐれる。
(続く。。。)
【承前】
A-1.ギリシャ語辞書
A-1-2 Benseler Griechisch-deutsches Schulwörterbuch
1999年にギリシャ語の独習を始めた時、最初は簡便な辞書を使っていた。具体的には、英語では "An intermediate Greek-English lexicon"by Liddell and Scott で、ドイツ語では "Langenscheidt Taschenwörterbuch Altgriechisch"。Liddell and Scott の Intermediateは、充実した辞書でたいていの用途にはこれで間に合っていたが、Langenscheidtはあまりにも簡単すぎてすぐにもの足りなくなった。もっとも、この辞書には独希(Deutsch-Altgriechisch)部分があるので、現在でも重宝している。
ついでに言えば、この Langenscheidt のギリシャ語フォントは適度に丸みがついていて、私は大好きだ。と言うのは、ギリシャ語のフォントは、私の眼には、辞書出版の各社が勝手に作っているように思えて、なかなか趣きのあるフォントが少ない。とりわけ、フランスの出版社のギリシャ語フォントは私のセンスに合わないことが甚だしい。フランス語で、ギリシャ古典を読むには、Budeというシリーズがあるが、英語でいうLoebのようなものだ。ギリシャ語のフォントはと言えば、とても文化愛好の点ではヨーロッパでも屈指のフランスらしからぬダサいものだ。このようなフォントで印刷されれば、古典ギリシャ語を学びたくとも、学ぶ気持ちが失せてしまうであろう。
閑話休題
さて、Langenscheidt が物足りなくなったので、ドイツのアマゾンのサイト amazon.de でいろいろと調べると、Benseler の辞書に当たった。Schulwörterbuch というのは、日本語でいう「学習辞典」という意味で、ギムナジウムでギリシャ語を学ぶ学生のために編纂されたということが分かる。この辞書は送料こみで、6000円位するのだが、 Webでは中味は見ることができなかったが、思い切って購入したが、良い買い物だった。
Mengeでも取り上げた、 syrigma, syrinx, syrizo のBenselerの部分を下に示そう。
syrigma の部分に(syritto)とあるのは、、名詞の syrigma は動詞の syritto に由来するということを示す。すぐ下に syrizo,syritto があるが、Mengeで書かれていたような語源的な説明は一切ない。この辺りが、Schulwörterbuch の物足りないところであろう。
ただ、説明文は学生にも分かりやすくなっている。Menge では syrigma とは das Pfeifen(吹くこと)と説明し、後ほど c)に [一般的に叫び声、例えば象。 überhaupt Geschrei (z.B. des Elephanten) ] と追加の説明をする。 Benseler では、この説明が本文として書かれているので、見落とすことがない。( das Pfeifen, insbesondere Auspfeifen, dann der Ton der Pfeife oder der pfeifende Ton des Elefanten; überhaupt pfeifender, zischender Ton)
このBenseler のドイツ文は Menge と違って亀甲文字でなく、普通のローマ字であるのはうれしい。しかし、後日述べるが、フランス語―ギリシャ語の Bailly を使って、ギリシャ語の語源に興味を抱くようになってからは、Benseler では物足りなくなった。それで現在では、専ら Menge を使っている。それでもたまに、この Benseler を使って、ドイツ語がローマ字で印刷されていると、非常に読みやすく、緊張がほぐれる。
(続く。。。)