石井信平の 『オラが春』

古都鎌倉でコトにつけて記す酒・女・ブンガクのあれこれ。
「28歳、年の差結婚」が生み出す悲喜劇を軽いノリで語る。

石原慎太郎氏は「物議の人」

2009-09-08 20:43:16 | 人物
 石原慎太郎氏は「物議の人」である。それが、彼の政治手法の全てではないかと思うほどだ。『タイム』では、氏は巨人軍の長嶋監督と並んで人気があるそうだ。

 石原氏の人気の理由は何だろう? 景気低迷、官僚腐敗、国政も地方政治も、どん詰まりの状況だ。大衆レベルの不平と不安の中で、彼ならば風穴をあけてくれそうだ、他に誰がいるのか。見よ、あの憎っくき大銀行どもに、外形標準課税を見舞ってくれたではないか!

 しかし、もし、NYやパリの市長が「三国人」発言をしたら、訂正や謝罪ですんだだろうか? 「外国人による騒擾事件には治安出動を」と自衛隊にけしかける知事が、「頼りになる政治家」として人気を集めていることは、国際的には相当ヘンなことではないだろうか?

 三国人は「外国人」の意味で使った、と彼は釈明した。しかし、敗戦後の世相を知りぬいている彼が、この言葉に差別感が含まれ、在日のみならず、近隣諸国の人々を不愉快にさせることを知らなかったのだろうか? とするなら、『タイム』からは落ちているが、彼の作家としての鈍感さも指摘しなければならない。

 芥川賞受賞の「太陽の季節」で、彼は、男性器で障子を破るという、「物議」の描写で一躍有名になり、今日の知名度の基礎を作った。障子は極めて日本的なインテリアだ。外国人は、これを破る描写にエキゾチズムを感じただろうが、そこに文学的感動があっただろうか?

 文学はもちろん、彼の発言も政治信条も、国際的に通用する品格や説得力に欠けている。ただの「物議の人」に、多くの日本人が「変革」を託そうとしている。
        

Text by Shinpei Ishii
文・石井信平(湘南ビーチFM・DJ)
English Network 2000.5.


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