石井信平の 『オラが春』

古都鎌倉でコトにつけて記す酒・女・ブンガクのあれこれ。
「28歳、年の差結婚」が生み出す悲喜劇を軽いノリで語る。

年度末の主婦たち

2008-03-31 22:52:37 | 雑談
 妻は勤め始めて一ヶ月、風邪でダウンしてしまった。きょうは休みを取って自重する。それでも、台所に立って料理などしてくれた。あまりに美味しい炒め物にびっくり。

 「ど、どうやって味付けしたんだ?」

 「ちょっとした隠し味。最近、いい砒素が手に入ったのよ」

 きょうは3月の末日。もろもろの支払いを「処理」と言いたいところ、銀行、郵便局、どこも長蛇の列でウンザリ。

 くたびれて帰宅。妻は寝込んでおるし、夕食は作らず「ピッツァーラ」を電話で注文する。

 「申し訳ありません、いま、大変に混んでいまして、1時間ほどお待ち願います」

 午後5時だよ。日本の主婦たちはどうしちゃったんだ?

長生きのリスク

2008-03-30 23:27:31 | 社会
3月27日、オラは生命保険の支払いを完了した。長い長い重荷から、やっと解放されたのである。

 と、思っていたら「特約保険料の支払いを」という督促が来た。まったく、保険会社というのは、合法を装った「振り込み詐欺師」ではないのか。

 きょうは、日曜日だというのに、昼過ぎに保険会社の湘南支社・鎌倉営業部長が「生保レディ」を伴って来宅した。こちらも妻を伴い、応接間でツーカップルの、ゴタイメーン!

 引き続き「入院保険」を払い続けると、「もしもの病気の際に、1日1万円の入院費用が出ますヨ」と向こうは太鼓判を押した。

 病気にならぬ自信はないし、1日1万円の入院費用の補填は、喉から手が出るように欲しい。「もしも」の断崖絶壁に人を追い詰め、「欲しいか」と詰問してくれば、山のこだまは「ほ・し・いーーー」と応える。

 「欲しいなら、払い続けよ」と無言のプッシュ、すごい圧力である。今後の最悪の事態に想像を巡らせて、ここは、「ロープ」に逃げるか。

 先方曰く「長生きのリスクに対応してください」。そーか、長生きそのものが、「リスク」なのだ。示されたデータによれば、オラが90歳まで生きる可能性は「23パーセント」とのこと。生きたいか? そんなに。

 「鋭意検討シマス」と政府答弁のような一言で、お引取り願った。気分を変えようと、石丸美術館での「ビオラ・コンサート&パーティ」に出かける。

 リスクも、病気も、ましてこんな「取調べ」のような状況は勘弁して欲しい。不良の、遊民の、助平な老いぼれでいたいのである。

花見宴会

2008-03-29 20:34:31 | 雑談
お花見だよー。妻の両親と鎌倉駅西口で待ち合わせ、銭洗弁天を経て源氏山に。急坂を登りながら妻が言う「このメンバーで、いつまでこの坂を上れるかねー」

 車椅子では無理な坂道。今年の花を愛でる前に、動いている我が足腰こそ、頼もしけれ。 

 オラは後生大事に、シャルドネのボトルをアイスで冷やし、抱きかかえて、「移動ワインセラー」である。

 満開の桜の下で、オカーさんが用意した結構なご馳走を頂く。この席で、オラは最年長にして、立場は「ひとり息子」。

 「やっぱり、外で食べるのはおいしいねー」とオトーさん。

 「そうですね、でも、僕は外でしか食べたことありませんでしたよ」とオラは冗談で返す。「引揚者でしたから・・・」

 オカーさんは声を上げて笑ってくださった。 

ベイビー、中間層がいないぜ

2008-03-28 23:49:33 | 政治
昨夜は、「寝なきゃいけない」と思いつつも、テレビに釘付けで、ついに午前2時過ぎまで見続けてしまった。

 NHK・BS「伝説のロック・全米ベストヒット・スペシャルセレクション」。いやー、ロックを、これぐらい徹底的に集めて、並べて、聴かされ、見せられると、もう、無条件降伏「ゴメンナサイ」である。

 エルビス、ジェリー・イー・ルイス、レイ・チャールズ、ビーチ・ボーイズ、ジミ・ヘンドリックス、ドアーズ、クリ-ム、CCR、ザ・バンド・・・ローリング・ストーンズ、ビートルズ、マイケル・ジャクソン・・・ボブ・ディラン

 ヒット当時の映像と録音には迫力があった。当たり前だけど、全部「英語」。アジアも、フレンチも、お呼びじゃないわけである。そこにはアメリカ「中間層」という、とてつもない「カルチャー・マーケット」が現存していた。

 なぜ、改めて、そこに感銘を受けたか。オラは昨日、早稲田大学に行って小林英夫教授「1920年代・ワシントン体制」の講義を聴いてきた。お金を払う、公開授業である。

 第1次大戦で「漁夫の利」を得た日本に、国際協調と好景気の気分が流れた。そこで芽生えたのが「都市文化」だった。関西に小林一三が阪急電車を走らせ、関東に五島慶太が東急電車を走らせた。沿線に住宅、百貨店、「都市ソフト」が作られた。

 しかし、それは脆弱な、うたかたのものであった。国家は「シベリア出兵」で有り金を使い果たし、言論弾圧と満州事変になだれ込んで「破綻の隠蔽」を敢行した。国民は従順に従い、都市文化など、泡の一粒で消えていった。

 かたや、20年代のアメリカは、広範な中間層が車を持ち、モータリゼーションの波が、全米にインターステーツの道路網を張りめぐらした。

 オラが昨夜見とれたロック・ミュージックは、そのような桁外れの厚みを持ったアメリカ「中間層」の持続系である。

 いまや、富裕層と貧困層に二極分解を完了したともいう日本。戦後復興→経済大国→バブル・・・の時系列を生きてきたオラは、深夜、ただひとり、全米ベストヒットを見続ける、日本中間層の「敗残兵」なのだろうか。

火達磨おじさん

2008-03-27 23:08:49 | 社会
夕方、東京の祐天寺で立教大学の教授と痛飲。終わって駅前を歩いていたら、ボヤ騒ぎで消防自動車が出動した。

 オラは消防車に何の興味もない。消防夫にも興味ない。びっくりしたのは消防「婦」がいたことである。

 テレビ取材の現場で、女性が重いカメラを担いでいるのは、今や普通だ。録音や照明も女性がどんどん活躍している。でも、彼女たちに「制服」はない。

 きょう、オラが眼を見張ったのは、ヘルメットに、消防の「制服」で完全武装した女性を見たことだ。酔いも吹っ飛び、「失禁」しそうになった。

 もう、カミングアウトしてしまうが、オラは「制服フェチ」である。いい女だった。走っていた。オラの前で立ち止まり、無線で何か手短にしゃべっていた。

 ほれぼれと、見とれてしまった。長い人生を生きてきたが、生まれて始めて、消防「婦」に出会った。

 火事は「江戸の花」というけど、オラのココロも火達磨になって燃え上がったゼ!
 

選りすぐりのニュース

2008-03-26 23:57:46 | 社会
横浜そごう百貨店ホールで、マイケル・ムーア監督の映画「シッコ」を見る。きっかけは、オラが通院している歯医者の女医さんが切符をくれたのだ。

 主催が「神奈川県保険医協会」。医師たちも、医療保険のあり方を問い直し、マイケル・ムーアの問題提起が注目されている、というわけだ。

 映画はアメリカの医療が絶望的な状況にあることを、実にリアルに描き出している。金が払えない患者は、どんどん病院から追い出され、ゴミ捨て場に車で運ばれて、ホントに捨てられていた!

 「ずっと支える、もっと役立つ」はずの民間医療保険が、とんでもない騙しのテクニックで、一番必要なときに金を支払わないカラクリが暴かれる。
 
 このアメリカに比べれば、国民皆保険のイギリスとフランスは別天地。そして、キューバは「天国」ということになる。この、あまりに分かりやすいムーアの言い分に、観客は押しまくられてしまう。

 テロリスト容疑者たちが第一級の医療を受けている(らしい)、キューバのグァンタナモ基地に、アメリカの「医療難民」たちが「俺たちを見捨てるな!」とデモを仕掛けるブラック・ユーモアは「演出」としても第一級である。

 キューバの医師たちに、アメリカ人の患者が深々と抱きしめられている場面では、オラの周囲の高齢者たちは、みなハンカチで涙をぬぐっていた。

 怒って、笑って、泣ける・・・忙しい映画である。

 「新銀行東京」に400億円、追加融資、きょう都議会で決定。都議会公明党「やむおえない決断です」、同自民党「苦渋の決断です」。

 かくして、1400億円がドブに捨てられようとしている。昔なら、石原知事は「切腹」だろ、やむおえんが。

 ニュースは「苦渋の事件」ばかり。岡山ではホームの乗客を18歳の少年が突き飛ばして死亡させ、某小学校で、卒業式直後に生徒が自殺。

 パチンとテレビのスイッチを切って、妻曰く「選りすぐりの悪いニュース、こんなのばかり見てちゃいけません!」

イノセント・クェッション

2008-03-25 23:46:25 | 雑談
オラが住まいの隣に「向福寺」という幸せな名前の小さな寺がある。境内で、桜の花が二分咲きだ。いいなあ、今の季節。花も人も、狂うのである。

 テレビを見ながら、夕食はステーキ! 
番組は「芸能人42人、春の学力テスト、義務教育クイズに挑む!」、男性陣はお笑い系、女性陣はおバカ・キャラ。

 「薄暮」を何と読みますか、「うすぐらし」

 「浅野内匠頭」を何と読みますか、「あさのないとうあたま」

 義務教育レベルの質問に、こんな答えが連発されて、スタジオは爆笑だが、聞いてるほうはサムーイ感じでありました。

 織田信長が戦った戦場は? 妻が横で答えた「壇ノ浦!」。オラはぎょっとして妻を見た。オイオイ、大丈夫か? 答えは「桶狭間」だよ。

 自慢じゃないが、オラは全問正解であった。「壇ノ浦」で負けを喫した妻が、決死の「切り込み」を仕掛けてきた。

 「あなたは、そこまで出来るのに、何で、ここに並んだタレントの誰にも収入が及ばないの?」

 この鋭い質問にだけは、オラは答えられなかった。「桜散ル」の心境である。

「皰」という字を、何と読みますか?

2008-03-24 22:48:02 | 雑談
 テレビ朝日「漢字検定スペシャル」を見ながら、勤務を終えた妻と夕食。

 きょうのメニューは、妻の母から差し入れの「きんき」の干物。ホウレン草のお浸し。オラが作った浅利のお汁。

 ここで、テレビ画面から出題が出た。さて「皰」という字は何と読むのでしょうか? 「皮」ヘンの右に「包」である。

 妻の答えは「ほうけい」。見れば見るほど、そう読めるから不思議だ。スタジオの回答者は誰もそう言わない。この断固たる答えに、オラは自分の回答を差し挟めなかった。

 よくよく考えれば、「ほうけい」は、「包茎」と書くはずだが・・・。固唾を呑んで、正解のアナウンスを待つ。

 4、3、2、1、・・・正解は「にきび」。

 伊藤整の詩集「雪明りの道」の中に「ああ、何のための、遠い夜道だったのだ・・」という、忘れがたい一節がある。

 こんな字を読めないなんて、長い人生を、オラは、何のために生きてきたのだろうか。

オラが春

2008-03-23 17:16:47 | 社会
 「オラが春」は本ブログのタイトルである。春はいのちが萌え出ずるとき。オラもこの春は「何か一発やったろか」という気分である。

 学校の入学時期は4月がいいか、9月にするかの議論が絶えない。4月に決めた明治人のセンスも悪くない。春はものみな芽吹き、息吹くときなのだから。

 伊吹・自民党幹事長が、そういう春の日曜日に早朝からテレビの報道番組に出まくっている。

 日銀総裁の人事、道路特定財源、国会の会期末、問題山積の国政のカギを握るらしい、この男に妻は手厳しい。

 「人を見下した顔がイヤだ。身を砕いて他人に奉仕する顔じゃないね。公卿の悪相。エー? やっぱり京都出身なんだ」

 オラは京都の春の素晴らしさを知っている。大学1年で初恋、2年で新しい寮に入った。春に発情し、事態が急展開したものだ。

 その頃の「ちから」が蘇り、「何か一発やったろか」の、今日この頃の気分だ。高齢者の発情は、いずれ日本の「治安問題」に発展しそうだ。

これが車内の「ケータイ検査」

2008-03-22 14:51:59 | 雑談
 昨夜は帰宅に際して、横須賀線のボックスシートに妻と座れた。

 オラは携帯電話の画面で、テレビ番組を見ていた。チャンネルはオラの大好きなフジテレビ。世界フィギア・スケート選手権「女子フリー」、スェーデンからの中継だ。

 疾走する電車内で、世界の一流選手が「艶技」するのを眺める。何という贅沢さ! ヨダレだけは流すまい、と思いつつ、オラの眼はどんどん小さな画面に近づいてゆく。

 あまりに近づき過ぎたとき、妻の声が・・・「信平ちゃん、車内ですよ。ケータイで片眼をふさいで、視力検査の真似するの、よしなさい」