石井信平の 『オラが春』

古都鎌倉でコトにつけて記す酒・女・ブンガクのあれこれ。
「28歳、年の差結婚」が生み出す悲喜劇を軽いノリで語る。

情報は社内にあり

2012-12-10 21:05:09 | メディア

 テレビ取材の隠語で「どてらカット」というのがある。 旅番組のロケで、旅館に着いて、ドテラに着替えて、部屋の窓から付近の山を撮って、「ハイ、きょうの撮影はオシマイ」これが、どてらカット、である。早い話しが、苦労しないでラクして取材する、これがこの隠語の本来の意味である。

 苦境にあるTBSに、敢えて言いたい。

 いや、TBSという抽象体は存在しない、TBSの一人一人に言いたい。

 今は、苦渋に満ちた「おわび」などするな、むしろ、「どてらカット」に徹し給え。楽をしろ、ではない、外に出ないで、中を取材せよ。

 いまTBSの番組制作者たちは見当外れなことをしている。ビデオ問題を検証する、と称して、カメラとマイクは外に出掛けて、町の人の意見を聞いて回ったり、外から評論家たちを呼んでご意見を伺ったりしている。

 社内調査というやつが終わらないことには何も出来ません、ということなのだろうか。情報の宝は社内にあり。今、視聴者は、TBSの社内情報を、カケラでもいいから知りたがっている。それに答えるアクションを知恵をしぼって起こすべきである。

 それを今出来るのは、沢山のメディアの中でひとりTBSのスタッフだけではないか。最大の危機は、実は、最大のチャンス。苦悩しているヒマなどない!

 厚生省、大蔵省、ミドリ十字を取材しても本質に迫れない歯がゆさを、TBSスタッフも感じてきたと思う。役所の正式報告書が出るまでは、何もしません、などという人間は、取材者として失格だろう。

 手を変え、品を変えて本質に迫ろうとする、その試行


錯誤から、何かが開けてくる。TBS死して、番組よみがえる。何をおいても、あの夜、オウム側と会ったプロデューサーをテレビに出すこと。または、自己証言の番組をつくることを「業務命令」すべし。

 お役所ではない、テレビ局なのだ。対応は「速報、中継」つまりテレビ的であっていい。次のようなテーマで、各番組が競争で、死に物狂いで作ってみたらどうか。

 今日の役員の動き。
 ここまでやった、今日の調査委員会の動き。
 今日の職場集会・組合大会。
 報道部員、ワイドショー担当者・座談会。
 今日の抗議電話・FAX。
 今日の、他局、他紙誌の報道を社員はこう考える。

 社内取材の困難は当然である。しかし、これらは視聴者が知りたいことであり、それに応えられるのは、TBSのスタッフだけである。

 テレビ・メディアの自己点検、自己取材。これは日本のテレビ史上初めてのことであり、世界的にも例を見ない、ユニークかつ千載一遇のチャンスといえないだろうか。このチャンスに、TBSはなまけていないか?

 今、TBSの受付ロビーには、「取材・撮影禁止」の張り紙がある。必死で「守り」に硬直していく企業の、ありふれた光景だ。だれがこれを決めたのだろう?

 そして、彼らは今、何から、何をまもろうとしているのだろうか。見られてはならぬ、知られてならぬ、何かがあるのだろうか。

 TBSは、「どてらカット」と悪口をいわれようと、今こそ、カメラとマイクを社内に向けるべきである。

 政府に「情報公開」を求めるなら、同時に「社内の情報公開」を要求し、社内取材の自由を確保せよ!

 トヨタ自動車はクルマを作る、TBSは真実を伝える。それが出来ないのです、むずかしいのです…って?それじゃ、寝ていてください、私共、外部の制作スタッフにその仕事、やらせて下さい!   


(96・4・3)


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