石井信平の 『オラが春』

古都鎌倉でコトにつけて記す酒・女・ブンガクのあれこれ。
「28歳、年の差結婚」が生み出す悲喜劇を軽いノリで語る。

腰からテレビ

2007-10-05 20:43:09 | 社会
 昨日は携帯電話を抱いて寝てしまった。何しろオラの携帯はテレビが映るのだ! そう思うだけで感無量なのだ。目を覚まして、思わず枕の周りをまさぐった。

 これは大変なことだ。何しろオラは「3丁目の夕陽」世代、テレビは他人の家にお邪魔して見せて頂くものであった。

 昭和30年代初頭、そばや、または電器店の店先でもテレビを見ることが出来た。街頭テレビでプロレスも見た。でも、これらは自分でチャンネルをどうすることも出来ない、あなた任せ。

 他人の家で大相撲を見せて頂くと、結びの一番が迫り、その家で夕食の準備が始まる。何とも気詰まりな夕暮れだったが、「もう、帰ってくれ」とは一度も言われなかったなー。

 その頃のお相撲さんは、栃錦、吉葉山、若の花、鏡里、三根山、信夫山、安念山、北の洋、大起、大内山・・・アナウンサーはNHKの志村正順氏、今も90歳を過ぎて藤沢市でご健在と聞く。テレビはもちろん白黒だった。

 ああー、そーだよー、と、突然「からたちの花」が歌いたくなる。テレビというのは、特別に特権的なもので、普通の家にはなかった。それを、オラはおもむろにポケットから出す。

 ゲーリ・クーパーが「真昼の決闘」で腰から拳銃を抜くときのように、オラは自分自身のカッコ良さに、シビレちゃうのである。