2006年6月17日公開
ジャンル:ヒューマン
製作年:2006年
製作国:日本
配給:東映
監督:出目昌伸
出演:松平健/ブルーノ・ガンツ
阿部寛/國村隼/高島礼子/大後寿々花
ベートーヴェンの「交響曲第九番 歓喜の歌」が日本で初演奏されたドイツ兵俘虜収容所の実話に基づいた作品。
第一次世界大戦で、ドイツ極東の拠点だった青島を攻略した日本軍は4700名のドイツ兵を捕虜にする。日本の各地の俘虜収容所に送られたドイツ兵達は劣悪な環境の中、暮らしていたが、二年後移った徳島県鳴門市にある板東収容所は、収容所所長・松江の方針で自由で豊かな環境だった。パンを焼き、新聞を印刷し、音楽を教え、柔道を習い、夜は酒保でビールを飲む。夏には海で泳ぐことさえ出来た。そんな松江所長の寛容さは、彼が明治維新で苦渋を呑まされた会津藩士の血を引いていたからだった・・・。
「バルトの楽園」を「バルト海のらくえん」なんだと思ってました・・・どうしてドイツなのにバルト海なんだろう、と。バルトって独語では「髭」なんですね。そして「楽園(らくえん)」ではなく「音楽の園」だったと。いろいろ誤解をしたまま見に行ってしまいましたが、戦争モノというのではなく、心の交流を描いた作品でした。
先頃上映された「戦場のアリア」も、クリスマスの一夜、敵味方なく共にクリスマスを祝う、という感動モノでしたが、一部では「美しすぎる話」と言われたようです。「バルトの楽園」も、そういう意味では日独という第一次世界大戦においては敵味方であった者同士が、収容所において捕虜の待遇を良く扱うという、ちょっと自己賛美的な作品と思われても仕方ない感じのお話です。しかし、「戦場のアリア」も「バルトの楽園」も共に実話に基づいた話。つまり、戦争とは悲惨なもので、友情や愛情などの差し挟む余地はないものであるのも事実ですが、ほんの一部でも、本当に心を通じ合うような出来事があった---それが人間らしさだった、というような、「たまにはこんなことがあってもいいさ」と思わせてくれるような映画だということです。パンフレットのブルーノ・ガンツのインタビューにも複雑な心境を答えていますが、それも松江所長が敗者の気持ちを理解出来る会津藩士の息子であった、ということから納得したと言う風にありました。ただの「勝者が敗者に優しくしたんだよ宣伝」ではない作品になったのは、この明治維新で日本人同士が勝者と敗者になった、という事実があるから。映画を観るまではまさか維新の話が出てくるとは思わなかったので、この意外に日本人自身が知らない維新~第一次世界大戦の歴史を再認識させられました。松平健が軍人役というのもはじめは
ピンと来なかったのですが、「会津藩士としての誇り、サムライとしての誇り」を大事にした松江という軍人の役としては、ぴったりだったと思います。
ブルーノ・ガンツが「ヒトラー~最後の12日間」に続いてドイツ軍人役を受けてくれたのは嬉しかったですね。そして他のドイツ兵達も良い役者さんたちが揃っていて見応えがありました。ユーハイムを創業してくれたカルルさんと志を(大後寿々花)ちゃんのエピソードは微笑ましかったです。ありがとう美味しいお菓子を広め
てくれてカルルさん!阿部寛のちょっと堅物の伊東少尉も良かったです。
クライマックスの第九のシーンはスクリーンで聴くと迫力ありますね。年末の第九、という日本独自の風習(外国にはないそうな)の原点を見た感じです。第九を聴きながら、席を立って亡くなった部下の墓に向かい佇むハインリッヒ総督(ブルーノ・ガンツ)がじわじわ感動させてくれました。初めはドイツ兵に優しくすることに反対していた伊東少尉が総督に何も言わず上着を着せてあげるシーンも。
総制作費15億円というのは、殆ど収容所セットとドイツキャストの分だと思うのですが、大作というイメージよりも、心温まる小品という感じでしたね。徳島にあるという収容所ロケセット、見に行ってみたいなあと思います。「大和」も行ったことだし。
ジャンル:ヒューマン
製作年:2006年
製作国:日本
配給:東映
監督:出目昌伸
出演:松平健/ブルーノ・ガンツ
阿部寛/國村隼/高島礼子/大後寿々花
ベートーヴェンの「交響曲第九番 歓喜の歌」が日本で初演奏されたドイツ兵俘虜収容所の実話に基づいた作品。
第一次世界大戦で、ドイツ極東の拠点だった青島を攻略した日本軍は4700名のドイツ兵を捕虜にする。日本の各地の俘虜収容所に送られたドイツ兵達は劣悪な環境の中、暮らしていたが、二年後移った徳島県鳴門市にある板東収容所は、収容所所長・松江の方針で自由で豊かな環境だった。パンを焼き、新聞を印刷し、音楽を教え、柔道を習い、夜は酒保でビールを飲む。夏には海で泳ぐことさえ出来た。そんな松江所長の寛容さは、彼が明治維新で苦渋を呑まされた会津藩士の血を引いていたからだった・・・。
「バルトの楽園」を「バルト海のらくえん」なんだと思ってました・・・どうしてドイツなのにバルト海なんだろう、と。バルトって独語では「髭」なんですね。そして「楽園(らくえん)」ではなく「音楽の園」だったと。いろいろ誤解をしたまま見に行ってしまいましたが、戦争モノというのではなく、心の交流を描いた作品でした。
先頃上映された「戦場のアリア」も、クリスマスの一夜、敵味方なく共にクリスマスを祝う、という感動モノでしたが、一部では「美しすぎる話」と言われたようです。「バルトの楽園」も、そういう意味では日独という第一次世界大戦においては敵味方であった者同士が、収容所において捕虜の待遇を良く扱うという、ちょっと自己賛美的な作品と思われても仕方ない感じのお話です。しかし、「戦場のアリア」も「バルトの楽園」も共に実話に基づいた話。つまり、戦争とは悲惨なもので、友情や愛情などの差し挟む余地はないものであるのも事実ですが、ほんの一部でも、本当に心を通じ合うような出来事があった---それが人間らしさだった、というような、「たまにはこんなことがあってもいいさ」と思わせてくれるような映画だということです。パンフレットのブルーノ・ガンツのインタビューにも複雑な心境を答えていますが、それも松江所長が敗者の気持ちを理解出来る会津藩士の息子であった、ということから納得したと言う風にありました。ただの「勝者が敗者に優しくしたんだよ宣伝」ではない作品になったのは、この明治維新で日本人同士が勝者と敗者になった、という事実があるから。映画を観るまではまさか維新の話が出てくるとは思わなかったので、この意外に日本人自身が知らない維新~第一次世界大戦の歴史を再認識させられました。松平健が軍人役というのもはじめは
ピンと来なかったのですが、「会津藩士としての誇り、サムライとしての誇り」を大事にした松江という軍人の役としては、ぴったりだったと思います。
ブルーノ・ガンツが「ヒトラー~最後の12日間」に続いてドイツ軍人役を受けてくれたのは嬉しかったですね。そして他のドイツ兵達も良い役者さんたちが揃っていて見応えがありました。ユーハイムを創業してくれたカルルさんと志を(大後寿々花)ちゃんのエピソードは微笑ましかったです。ありがとう美味しいお菓子を広め
てくれてカルルさん!阿部寛のちょっと堅物の伊東少尉も良かったです。
クライマックスの第九のシーンはスクリーンで聴くと迫力ありますね。年末の第九、という日本独自の風習(外国にはないそうな)の原点を見た感じです。第九を聴きながら、席を立って亡くなった部下の墓に向かい佇むハインリッヒ総督(ブルーノ・ガンツ)がじわじわ感動させてくれました。初めはドイツ兵に優しくすることに反対していた伊東少尉が総督に何も言わず上着を着せてあげるシーンも。
総制作費15億円というのは、殆ど収容所セットとドイツキャストの分だと思うのですが、大作というイメージよりも、心温まる小品という感じでしたね。徳島にあるという収容所ロケセット、見に行ってみたいなあと思います。「大和」も行ったことだし。