京都社会保障推進協議会ブログ

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疑問だらけの「新しい要介護認定」-(2)

2009年04月07日 11時37分06秒 | 資料&情報

 参議院厚生労働委員会で衝撃的な資料が公表されました。日本共産党小池議員の質疑によるものです。

 まず、厚生労働委員会での質疑を報道する「しんぶん赤旗」を紹介します。

認定方式変え介護費削減
厚労省が内部文書作成
舛添厚労相「調査する」
小池議員追及

 介護保険の要介護認定方式の改悪(一日から実施)などで給付費を二百八十四億―三百八十四億円削減できると明記した内部文書を厚生労働省が作成していたことが二日の参院厚生労働委員会でわかりました。日本共産党の小池晃議員が質問で明らかにしました。
 同省は要介護認定方式の改悪について、「給付費抑制の意図はない」と説明してきました。この説明を根底から覆すものです。
 小池氏は「要介護度を低くして給付費を抑制する狙いは明白だ。『介護切り』ともいえる認定方式改変の四月実施を中止すべきだ」と要求しました。
 小池氏が入手した文書は、「介護報酬改定に係る平成21年度予算要求関係スケジュール(案)」。介護報酬を「プラス改定」した場合には「財源確保策が必要」だとして「介護給付費の縮減効果額」を列挙しています。
 「認定の適正化」の項目では「非該当」とされた一次判定が二次判定で重度に変更される割合を10%減らせば「約八十四億円縮減」できると記述。「介護給付の適正化」の項目では「認定の適正化」などで「二百―三百億円」を縮減できると書いています。
 また、小池氏が入手した別の同省文書「要介護認定平成21年制度改正案」では、要支援2と要介護1の認定の割合を現在のおよそ五対五から七対三へと軽度の人を増やす方針を明記しています。「介護認定審査会委員の関与を減らし…当初想定していた割合に近づける」などと、二次判定を行う審査会の役割を後退させる狙いも書き込まれています。
 小池氏は、東京都北区では介護保険課長が、同省から要支援2と要介護1を七対三にするよう指導を受けたと公の席で述べていることなどを挙げ、「この文書の記述の多くが実際に行われている」と指摘。政策決定の過程を徹底調査するよう求めました。
 他党議員からは「すごい資料だ」と驚きの声が上がり、舛添要一厚労相は「初めてみた。どういう資料か調査したい」と述べました。(4月3日付報道記事)



 参議院厚生労働委員会での質疑(抜粋)
 「要支援2と要介護1を7:3にせよ」との指導を行っているのではないか!
 
○小池晃君 局長も替わられたことだし、それ以前の検討のものなのかもしれない。しかし、これ、私、かなり書かれていることはそのとおりにその後なっているなというふうに読んで思っているんですよ。
 実は、介護予防を導入した国会の審議の中でも、厚労省は、要支援二と要介護一の見込みは七対三程度になるというふうに答弁をしていたんですね。しかし、実際はそうなっていないんです。これは認定審査会で実態を踏まえた判定が行われてきたから実態としては五対五になっている。何とかこれ七対三にしようと。要するに、要支援二になればかなり介護給付抑制されるわけですから、そういう意図があっても不思議ではないと思うんですね。
 これ、ちょっと厚労省、これね、要支援二と要介護一の比率については、実際に七対三にしようという指導は実際現場でやっているんじゃないですか。
○政府参考人(宮島俊彦君) 今の御指摘でございますが、十七年に開催された全国担当者会議で、第三期介護保険事業計画のサービス見込みの推計で、要介護一のうち七割から八割が予防給付、つまり要支援二の対象になると、そういうふうに仮置きして推計してくださいということを言っております。
 これは、最終的には市町村の結果を踏まえて人数を見直すことは可能ですというようなことを言っておりまして、これはあくまでも第三期介護保険事業計画で、まだこの予防給付導入前のときに市町村が介護保険計画を作るときにどういうふうに見込みをすればいいかというものを仮置きの数字としてその数字を担当課長会議で言及しているというものでございます。
○小池晃君 いや、私が聞いたのは、実際七対三にせよという指導をしているんじゃないかと。実際に、これはもう公開されている資料ですが、東京の北区の介護保険運営協議会の議事録では、区の介護保険課長が、要支援二と要介護一について厚生労働省はこれを六対四、最終的には七対三にしろという指導があるというふうに述べているんです。それから、埼玉県久喜市の、これはインターネットに出ていますが、介護保険運営協議会の会議録でも、要介護一のうち七割を要支援二に落としなさいというのは厚労省の指示かという質問があって、そのとおりですというふうに市の担当者が答えている、それはインターネットに出ています。
 まさにこの文書のとおりのことが実際、水面下では自治体に対して指導されているということが出ているんですよ。こういう指導しているんじゃないですか。大臣、どうですか、こういう実態あるんですよ。



 上記の質疑で紹介された「東京北区」「埼玉県久喜市」の議事録を掲載します。


(東京都北区 平成19年度第1回介護保険運営協議会議事録より抜粋)
 今現在の状況を申し上げますと、例えば非該当者の率が、この決算上は、1 8 年度5 % 台になってございますけれども、今は2 % 台になっているとか、そういった意味で、あるいは要介護1 と要支援2 の状況がさらに、
厚生労働省は、これを6 対4 、要支援2 を6 にし、要介護1 を4 という割合に1 8 年度はしろ、最終的には、これを7 対3 にしろという指導がありますけれども、北区におきましては、これを5 対5 の比率として認定を実現しているというような改善をしているところでございまして、そういった意味ではよりきめ細かな、しかも国の認定基準に基づいた枠の中での、よりきめ細かな認定が実施されつつあるというふうに考えてございます。そういった意味でも、これからさらにそういった取り組みを、実態を見据えながら、さらに取り組みを強めていきたいというふうに考えてございます。

 【東京都北区の介護保険運営協議会議事録
ここから】 


 

(久喜市 平成17年12月15日第5回介護保険運営協議会議事録より抜粋)
委員:
先ほどの説明に、要支援2と要介護1を、7対3で分けるという話がありましたが、これは逆に言うと「各自治体は、要介護1のうちの7割を要支援2に落としなさい」という厚生労働省の指示でしょうか。
事務局:要介護1の概ね7~8割について、4月以降は要支援2に位置付けされるという事については、そのとおりです。
委員:指導という事ですね。
事務局:そうです。そうしなさいという事です。これは要介護度を下げるという事ではなく、その人にあった適切な予防給付をしていこうという意味での措置、と理解していただきたいと思います。
委員:予防に力を入れるのは大変良いことだと思いますが、例えば久喜市を見た時に、要介護1の5割が要介護として合致しているという場合、残りの5割しか要支援に落とさない、というのは許されるのですか。
事務局:許されます。最終的には要介護認定審査会において、公平・公正に審査されるため、結果的に7対3になるか、5対5になるかは分かりません。概ね7~8割というのは、あくまでも見込みの数字になります。

 【久喜市介護保険運営委員会議事録は
ここから】 


(以上 つづく)






 


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