京都社会保障推進協議会ブログ

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一部負担金に係る2つの通知文書(3)

2009年08月07日 05時07分51秒 | 資料&情報

 今回は、国保一部負担金減免に関する参議院厚生労働委員会での質疑を紹介します。

 6月18日参議院厚生労働委員会での小池晃議員(日本共産党)の質疑

○小池晃君 
 (前略)医療保障の問題をちょっと今日取り上げたいんですが、国民健康保険法の四十四条は一部負担金の減免制度を設けております。医療機関の未収金問題の検討会の求めに応じて、厚生労働省が一部負担金減免の実施状況について調査をやっていますが、全国の保険者のうち減免制度があるのはどれだけでしょうか。
○政府参考人(水田邦雄君) 
 国民健康保険制度におきましては、法律に基づきまして、保険者は、これは市町村でございますけれども、一部負担金の減免又は徴収の猶予を行うことができると、このようにされております。したがいまして、特段の定めがなくてもすべての自治体でこれを実施することは可能となっているものでございます。なお、条例、規則等におきましてその運用の基準を定めている自治体の数で申し上げますと、平成十九年度の調査では、1818保険者のうち1003保険者となっております。
○小池晃君
 この一部負担金減免制度というのは、本来公平性の観点からいえばすべての自治体で実施されるべき制度でありますし、非正規雇用の広がり、あるいは不況の深刻化の中で生活苦しい方は増えているわけですから、これは制度の必要性が増していると思うんです。 大臣にお伺いしますが、今御説明があったように、これは条例がなくても国民健康保険法四十四条を根拠に直接実施可能というふうにされている、そのことから考えても、保険者の半数近くが制度を持っていないという実態について、このままでいいというふうにお考えなのか、どうすべきなのか、大臣の見解を伺います。
○国務大臣(舛添要一君)
 今、未収金検討会の報告書は出ていまして、それに基づいてこの二十一年度にモデル事業をやりたいと思っていますが、様々な識者の意見をお聴きした上で統一的なガイドラインのようなものが出せるかどうか、まさに国保法の四十四条で規定がなくてもやれるんですけど、これは半分ぐらいがやっていないということですから、どうするかちょっと検討させていただきたいと思います。
○小池晃君
 基準を示すということになると、今既にやっている自治体の関係者からは制約されるんじゃないかという心配の声が上がっているので、低所得者に対するものを含めて今やっているその制度を否定しない、手を縛るものでないというふうにしていただきたいと思うんですが、その点確認します。大臣、いかがですか。
○国務大臣(舛添要一君)
 これは費用負担の問題がありますから、先ほど申し上げましたモデル事業を見た上で、その点についても検討させていただきたいと思います。
○小池晃君
 今やっているものを、手を縛る、制約するようなものにはしないということでいいですね。イエスかノーかでお答えください。
○国務大臣(舛添要一君)
 そのことも含めて、特別調整交付金の算定との絡みもありますから、少し検討させてください。
○小池晃君
 今お話もありましたが、やっぱり財政影響というのを自治体は心配をしているわけです。これは未収金検討会の報告書でも、市町村への財政影響に対する配慮等の対策を検討すべきと、こうなっております。やっぱり今、自治体財政厳しい中で持ち出しが増えるようなことになると、二の足を踏む自治体が多いことは、それはそうだと思うんですね。局長、具体的な財源の手当てについて、検討状況どうなっていますでしょうか。
○政府参考人(水田邦雄君)
 今お話ありましたとおり、医療機関の未収金問題に関する検討会の報告書におきまして、市町村の財政影響の懸念に対する配慮を検討すべきであると、このようなことは記載されてございます。この内容を含めまして、私どもとしてどのような方法がいいか検討をしているところでございます。
○小池晃君
 大臣、基本的な認識をちょっと聞きたいんですけど、やっぱりこれ、今こういう社会状況、苦しい人が増えている中で、この制度をやっぱり前向きに広げていくという基本姿勢で臨むべきじゃないかと思うんですが、その点について、大臣、スタンスをちょっと言ってください。
○国務大臣(舛添要一君)
 滞納者の中に悪質なやつもいるわけですね。これに対しては厳しく当たらないといけない。しかし、生活が困窮してどうしてもという方に対しては、それはセーフティーネットを更に広げるという方向で努力すべきだと思っております。
○小池晃君
 是非そういうふうにしていただきたい。一部負担金減免制度を持っている自治体のうち、低所得を理由にする減免制度を持っている保険者は155なんですね。基準はいろいろあるんですが、ほぼすべてが生活保護基準を参考にして減免の判断を行っております。最後に、大臣に伺いたいんですが、医療を受ける権利を、低所得者の皆さん、生活に本当に苦しんでおられる方も含めてひとしく保障していくためにも、やはりこの低所得者に対する一部負担金減免制度というのは重要な制度だというふうに思っておりますし、本来は国がやはり自らやるべきような仕事ではないかなというふうにも思っております。やっぱり自治体がやっている取組を国としても支援をして、更にこれ拡充を図っていくということが必要じゃないかと思いますが、大臣の見解を最後に伺います。
○国務大臣(舛添要一君)
 まさに、モデル事業でそういうことが実現できればというふうに思っておりますので、特別調整交付金、これを負担分の半分ぐらいは国が見るという形でできないものかということで検討を進めておりますので、セーフティーネットは重層的に様々なものがあっていいと思いますから、これも一つとして活用したいと思っております。
○小池晃君
 やはり、年金財政と並んで国民健康保険というのは今の財政問題で非常に深刻な問題だと思いますので、きちっとセーフティーネットとしての役割を果たせるように見直していくということを引き続き求めていきたいというふうに思います。終わります。


 以上が質疑の内容ですが、
①国保44条により、ずべての自治体で「特段の定めがなくても実施することが可能」であること。
②同時に、条例等で基準を持っているのは1818自治体(保険者)のうち1003であり、その中でも低所得者を基準にしているものは、わずか155にすぎないこと。
③すべての自治体で「低所得を理由」とする減免規定を策定させる必要があること。
④単に「医療機関の未収金対策」でなく、重要なセーフティーネットとして「国保44条減免制度」を拡大・拡充することが大切であること。
などが、明らかにされた質疑といえます。

 国会内の答弁に終わらせず、実行をせまる運動を市町村に求めていきましょう。


 次回は、無料低額診療問題について検討します。

(つづく)

















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