8月19日には、京都市立病院PFI事業参入業者の入札が行われます。ただし入札企業は1グループのみなので事実上の決定と言えます。
今回は、まとめ的問題提起として資料提供します。
入札参加業者が1社の矛盾
神戸市立中央病院PFI事業(新築移転、同時に地方独立法人化)では、2つの民間企業が入札参加を申し込みましたが入札書類の提出期限直前に1グループが撤退。その結果、神戸製鋼及び伊藤忠商事グループが1社のみの参加となります。入札予定価格は事前に公表されていますので、神戸製鋼・伊藤忠SPCによる入札金額は、
予定価格 102,380,000,000円
入札金額 102,378,150,000円
ところが、1グループのみの参加状況の中で、最終的な審査結果は
定性評価(提案内容の優劣) 合計600点
定量評価(入札金額の評価) 合計400点
で、
定性評価は274点/600点
定量評価は400点/400点
という結果になっています。1グループのみの入札参加なので定量評価が満点となり、定性評価で基準の半数以下であっても参入できるしくみです。
ちなみに定性評価は
A:具体的に極めて優れた提案がある
B:具体的に優れた提案がある
C:愚弟的に提案がある
D:特に提案がない
4ランク評価で、審査結果は
A:なし
B:14項目中8項目
C: 5項目
D: 1項目
これでは、VFMのもう一つの内容(同一金額で比較した場合サービスが向上する)も期待することはできないと思います。
京都市立病院は、当初に述べたようにワタキューグループ(ワタキューと三菱商事、麻生)1社のみの入札になります。1社の場合には「予定価格は公表しない」としていますが、まさに「入札金額」及び「審査結果」が注目されます。
神戸新中央病院「応募者提案に関する審査結果(答申)及び審査講評」
PFI手法の見直しは、各地の公立病院ですすんでいます
平成21年3月に公表された仙台市立病院基本計画では、新病院の建設について以下の記述をしています。
「病院施設の整備方式としては,公共による財源調達方式のほか,民間資金を活用したPFI方式によるものがありますが,病院事業では,医療技術の進歩や診療報酬改定等の変動要素をあらかじめ見込んだリスク分担等が難しい上,院内に病院とSPC(受注事業者)の2つの指揮命令系統ができることによる運営面の弊害が懸念されます。」「新病院の整備にあたっては,PFI方式による整備は行わず,公共による財源調達方式を採用しますが,経済性を考慮した設計等により,整備費用抑制に取り組んでまいります。」とし、PFIにたいして率直な問題点を指摘しています。
仙台市立病院基本計画(概要版)
京都市が、算出根拠不明なVFMの幻想の上に立ち、全国の教訓であるPFI事業の問題点を学ばず、このまま京都市立病院整備運営事業をすすめるなら、市民にいのちと健康を守る上でも、税金の使い道としても、重大な負担を強いることになりかねません。
「いまからでも遅くない」!
京都市の賢明な判断を期待して連載を終わります。
(以上 京都社保協政策部)
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